第10話 運命の歯車

「ご覧の通り、今回は付け替え5つ、破棄1つという結果になりました」

 イチルは白い部屋の真ん中で両手を広げて終了をアピールする。


 すると部屋の白い壁は消え、精巧に組み合わさった無数の歯車が全面を取り囲んだ。


 イチルがパチンと指を鳴らすと、大小様々な歯車は一斉に回り出す。


「全く、これだけの数を調整するのは大変なんですからね!『運命の気まぐれ』は程々にしといてくださいよ」 

 そう言いながらイチルは床に長方形の扉を出現させた。


「さぁ、次は『運命の分かれ道』に行って交通整理をしてこなくっちゃ。

 あそこに迷い込むのは大抵、優柔不断な人間なんだよな。ああ、めんどくさい」


 ブツブツ文句とため息をこぼしつつ、イチルは足元の扉に身体を滑り込ませる。


 バタンと閉じられた扉には金文字で『運命の歯車』と書かれていた。






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運命の気まぐれ 仁科佐和子 @sawako247

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