第2話自分のやりたいこと
「ねね、咲楽はさ、進路とか決めた?」
「んー?僕はー苺恋にお世話してもらいながら家でゴロゴロするかなーこの先ずっと」
いやいやいや、やっぱり咲楽に聞いた私が馬鹿だった。咲楽が真剣に進路のことを考えているはずがないのだ。(私のやりたいことってなんだろう……)そう考えた時、何も思いつかなかった。自分の好きなことを仕事にする、それが簡単に出来たらどんなにいいものか。現実はそう甘くないものだと私は知っている。ただ、人に教えることが好き、だとか料理をするのが好き。というのを仕事にしている人は多い。私の好きなことといえばバスケと歌くらいでただ好きなだけではなく実力がいる。その実力が私にはないのだ。
「苺恋は何か決めた?」
「んーん、なーんにも。まだ時間はたっぷりあるしいいかなー」
と、言いつつも内心は少し焦っていた。でもまだ咲楽も何も考えてないんだ、多分他のクラスメイト達もまだ決まってないだろう。
「小杉くん、小杉くんは進路とか決まった?」
同じクラスの小杉尚道(こすぎなおみち)に声をかけてみる。
「おう、俺はもう決まってるぜ。美容師の専門学校だ!!」
「え!?美容師になりたいんだ」
少し意外だった。
「なんだよ、男が美容師で悪いかよ!!」
「いやいや、悪くは無いけどちゃんと先のこと考えてて凄いな〜って」
クラスの人の大体がもう進路について考えていた。何も考えていないのは私と、咲楽だけなのかもしれない。もっと色んなことに興味を持って自分のやりたいことを探し、そろそろ自分の将来について考えないといけないのかもしれない。そうこう考えているうちに今日も一日が終わった。すぐに決めなければならないというわけではないので、深く考えることは辞めにした。今すぐ決めなくていいとはいえ、全く考えないわけにはいかない。これから少しずつ考えて決める。
家に帰ると、とーや君がいた。とーやくんとは、幼い頃からよく遊んでいた今は美術大学に進学している大久保 冬弥といういわゆる幼なじみの関係にあたる人物だ。久々に冬弥が来たので沢山ゲームをして遊んだ。私はゲームが大の得意だったが、冬弥には1度も勝てたことがなかった。
「あぁー、また負けちゃった……。とーや君はやっぱり強いなぁ。」
「それでも苺恋もどんどん上手くなってるさ!!次やったら俺が負けるかもな笑」
もう3時間近くもゲームで勝負しているのにまだ私は一回も勝てずにいた。格闘ゲームに、レーシングゲーム、PUGBなど色んなジャンルのゲームをした。冬弥は昔からなんでも出来て、運動神経抜群で頭もよく美術大学に進学してるだけあって、絵のうまさも物の創作もずば抜けて上手かった。同学年の人には勿論、年下の子や近所の人達にもすごくモテモテだ。
ICHIGO!! 月城あげは @ageha_Latte
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