後半:某国会議員事務所で話を伺ってきた体験談

「キムチ/紅酢は美容と健康に良い!」

「マッコリ/辛ラーメンは美味しい!」

「K-POPは完成度が高い!」

「韓国ドラマは勉強になる!」

「韓国人俳優の演技力はすごい!」

「新大久保は若者に大人気!」


 このような言葉を、実際にテレビなどのメディアで、又は芸能人のSNSなどで、目に耳にした覚えがある人は多いのではないでしょうか。それがステマです。そういうメディアや芸能人の言葉に乗せられ、流されて「すごい!」「大人気!」などと周囲に語った覚えはありませんか?

 これらはただの宣伝用の売り文句であり、本当にそんな影響や効果があるかは不明です。例えばキムチで美容効果があった、なんて正確なデータはありません。逆に韓国産キムチ (に付着した寄生虫)に体を蝕まれたり、発がん性物質で体に悪影響があった可能性すらあります。K-POPの完成度とは何でしょう? 何の指標も根拠ない出任せであり、誇大広告です。K-POPというのは、日本のポップスを(劣化)コピーして韓国人グループが売り出した程度のものにすぎません。楽曲的に優れている、ダンスが本当に上手だ、などという実態はありません。それでも「テレビで言ってたから」「有名人の○○さんが推薦していたから、自分もそう思う」・・・それ、騙されていますよ?

 そう、ステマの問題は、そこにあるのです。実態がないものを、メディア戦略や有名人の口を借りて、さも「そうである」かのように広めてしまう。他人を騙して金銭的な利益を得ようとするわけですから、簡単に言えば詐欺のようなものです。


 2012年前後だったと思います。こうした問題を、まだ世間が認知していなかったか、認知し始めた当時10年前に、地元埼玉県選出の国会議員の事務所でお話させて頂く機会がありました。正確に言うと、ステマに関して話すために行ったわけではありません。色々な話をする中で、ステマの話も出たという程度です。

 どの国会議員の事務所に行ったのかは、問題があるといけないので伏せておきます。地元埼玉県選出の、衆参両院国会議員の誰かとだけ言っておきましょう。どうして行く事になったのかと言えば、インターネット上の某サイトが発端です。ステマに限らず、この時代は色々な社会問題がありました。その根本的な原因は、当時政権を担っていた民主党です。基本は民主党政権に対する不満から、野党だった自民党を応援したい、意見を述べたい、叱咤激励したい。そのような考えの方が多く集まるサイトでした。

 主催者は女性で、その時点で30代ぐらいだったでしょうか。正確な年齢や本名は知りません。そこに自分を含めて、合計5人ほどだったでしょうか。車1台で全員乗れたか、もしかしたら車2台で向かったような記憶もありますので、もう少し人数が多かったかも知れません。訪問する予定の事務所は2か所、いずれも自民党の国会議員でした。

 しかし最初の議員事務所に行ったところで、問題が発生しました。事務所側には事前に連絡し、アポを取っていましたが、留守だったのです。後で分かったのですが、訪問メンバーの一人は、在特会こと「在日特権を許さない市民の会」に所属している男性だったのです。見た目も態度も、特段問題がある人には見えませんし、話をしても落ち着いた印象のある、20代ぐらいの方でした。しかし在特会と言えば、少々過激な抗議活動が有名で、公安もマークしている組織です。その時期はちょうど選挙前でした。そうです、思い出しました。自民党が政権を奪還したあの選挙の前でしたので、2012年の秋頃だったでしょうか。公安からの連絡を受けて、その選挙前の大事な時期なので、何か問題があったらマズいと考えたのではないかと推察します。事務所は明かりが消えていて、呼び鈴を鳴らしても誰も出ませんでした。仕方がないので、その時は意見書として書き置きだけを残し、その場を離れました。

 それから次の事務所に向かいました。また(居)留守ではないかと、少々不安になりましたが、約束の時間、事務所は空いていました。議員さん本人がいるという話だったのですが不在で、秘書の方と事務員の方が4~5名ほど、自分たち一行を迎え入れてくれました。やはりこちらにも、同様に公安から連絡があったのではないでしょうか。そう言えば、ここに来る前の、一件目の事務所の外で、黒服を着た見回りの私服警察のような人に声を掛けられました。特に何か、身体検査や持ち物チェックのような事をされたわけではなく、二言三言、職質みたいなものを受けただけです。もしかしたらですが、そこで問題はなさそうだとなって、二件目の事務所の方は入れて貰えたのかも知れません。それでも念のため、議員本人はいないように、とでも言われたのでしょうか。詳しい事情は知りません。

 一件目の事務所に向かう前に、途中のミスタードーナッツに寄って、ちょっとした手土産のおやつを購入していました。事務所の方に「皆さんでどうぞ召し上がってください」と出したのですが、固辞されてしまいました。こういう、一個100円程度の安いお菓子でも「賄賂」にあたってしまうようです。頂けませんと、キッパリ断られてしまい、逆に缶コーヒーなどを出してくれて、せっかく買ったのでドーナッツを食べながらの会談になりました。もちろん事務所の方は一切手を付けませんでした。皆さんも、もしこういう形で議員の方 (今回は議員本人はいませんでしたが)と直接話す機会などがあれば、賄賂になってしまうので手土産は用意しないよう、ご注意ください。


 会談は1時間以上、2時間近くに及んだでしょうか。様々な話をさせて頂きましたが、今回は表題の件、ステマに関する部分だけ、覚えている範囲で記します。と言っても、先に説明したような話を、ステマを知らないと言っていた秘書の方に説明して、その問題点として、以下のようなことを意見した程度です。

 芸能人が、自分のブログなどで、この商品やコンテンツが素晴らしい、と宣伝します。これは先に書いたようなステマなので、本人が本当にそう思って薦めているわけではありません。それなのに、そのブログを読んだファンの人は、「自分の好きな芸能人が使っているなら同じものを使いたい!」とか、「この人が薦めるなら良いモノなのだろう」と思って買ってしまう。これはファンを騙す行為ですし、ファンの信頼を裏切る行為になります。海外では、2012年当時、既にステマが法規制されているところも多かったのですが、日本では問題視されていませんでした。詐欺紛いのステマ行為は、法律で規制するべきではないかと確り伝えました。

 また、日本国内のステマの実例として、元モーニング娘。の一人と、ヒーローものを演じた事のある男性俳優が、ほぼ同じ日に(一日か二日違いだったと記憶しています)、ほぼ同じ内容のブログを更新し、それが日本にある歯磨き粉のメーカーの商品だった、という話もしました。文言に男性口調と女性口調の違いがありますが、文章構成や宣伝文句などもほぼ同一。似た構図の、歯磨き粉の新商品を顔の横に持った写真が添えられていました。

 こういったステマでは、商品アピールする側、広告主が作成した文章の下地があり、そこに数枚の写真を撮ってアップするだけ、というひな型が用意されます。お金を貰ってブログに載せる側の負担が少なくなるように、という事ですね。文章まで自分で考える必要はないのです。更には、週刊誌ネタではありましたが、その「ステマの料金表を入手しました」なんて記事もあって、有名人のフォロワー数であったり、影響力であったりを考慮した料金体系が一覧になっているものも見ました。当時、最も高額とされていたのは、一度のステマで200万円ほどの金額だったと記憶しています。ひな型が用意されており、写真を数枚撮って掲示するだけで、数十~数百万円のお金が入るのですから、有名人の美味しい小遣い稼ぎだったのでしょう。

 因みにですが、近年、こうしたステマ行為が一般認知され、「あいつステマやってんじゃね?」みたいに噂されるのが、芸能人本人にとってのマイナスイメージになっています。だから逆に、こういうステマ紛いの行為、ステマに間違われかねない宣伝行為を、敢えて避ける人も増えているようです。実名を挙げるのは避けますが、ある有名な男性声優は、ステマかと勘繰られないよう、自分の出演作品であっても絶対に「好きだ」とか「面白い」とか「これは良い」というような話をしないようにしている、と語っています。いや、自分の作品をアピールするのは、特に問題ないだろうと、自分などは思ってしまうのですが・・・そのぐらい、周囲の人に嫌がられる、マイナスイメージだというわけです。


 自分たちが議員秘書に直接話したのが功を奏した・・・かどうかは分かりませんが、あれから10年、自民党内でようやく「ステマ規制」の話が出て来ました。これに関するするニュース記事も幾つか引用しましょう。



口コミ装う「ステマ」に刑罰も、政府が規制強化へ…再発防止命令に従わなければ対象に

読売新聞 2022/12/24 15:00

www.yomiuri.co.jp/national/20221223-OYT1T50522/

>政府は、ネット上などで個人の感想と装って広告と明示しない「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制強化に乗り出す。景品表示法で禁じる「不当表示」の対象に、ステマの内容を追加する方向で調整を進めている。

>政府は同法の不当表示の対象に、「(広告について)一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」という内容を追加する方向だ。早ければ来年6月頃までに告示する。告示後にステマの投稿を行ったと確認された場合、再発防止等を命じる措置命令の対象となり、事業者名も公表される。措置命令に従わなかった場合は、刑罰の対象になる。

(以下略)


「ステマ」規制へ “インフルエンサー 2割近く行う”結果も

NHK 2022年12月27日 19時43分

www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935901000.html

(こちらはステマを実際に行う側へのアンケートなど、詳しく掲載されています。ステマを「悪い」と思う割合は56パーセント、逆に「思わない」は9パーセントという結果。詳細はリンク先でどうぞ)


ステルスマーケティングに関する検討会

消費者庁

www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_005/



 こうしたステマが世間に広く認知されてきた事もあり、近年は減少傾向ではありますが、一部の国内大手出版社原作アニメの宣伝など、寧ろ逆に増えている部分もあります。韓国のブランド委員会も2013年に解散しましたが、その後も別団体となって今現在でも活動継続しています。

 今年にもステマは規制されそうですので、今後はこうした詐欺紛いの行為は出来なくなりますが、今はまだ行われていますので、個人個人で騙されないよう、メディアに簡単に流されないよう、注意しておく必要がありそうです。また、法規制された後、今まで何かを喧伝していた人物・アカウントが、急にしなくなったら「あっ・・・」と察するところですね。


 最後に、参考記事を2つほど貼って、今回の話は終わります。



韓国政府、K-コンテンツ育成に過去最大800億円支援

AFP 2023年1月8日 8:38

www.afpbb.com/articles/-/3446179

>韓国政府が、世界の注目を集めている韓国文化に投資を集中する。

>K-コンテンツをさらに育成し、効果を高めるため、過去最大規模の政策金融を支援する。支援規模は「K-コンテンツファンド (4100億ウォン=約431億円)」など7900億ウォン (約832億円)だ。

(以下略)


「いいとも」炎上事件の再来…「ポップUP」“人気の鍋ランキング第1位”に視聴者ブチギレ

2022年10月18日

news.infoseek.co.jp/article/asajo_155750/

(あくまで韓国系企業モランボンが実施した、同社の商品ランキング結果です。それでも疑問ですが・・・)

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【ステマ禁止法】某国会議員事務所で話を伺ってきた体験談 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro

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