【ステマ禁止法】某国会議員事務所で話を伺ってきた体験談

武藤勇城

前半:ステマって何?

 皆さん「ステマ」という言葉を聞いた事があると思います。よく知っているよ、という方もいるでしょう。聞いた事はあっても、何の事かよく分からない、という方もいると思います。もしかしたら全く知らない、聞いた事もないという方もいるかも知れません。今回は、そのステマそのものについて、及び以前国会議員の事務所でステマの話をしてきた体験談と、どうやらステマが日本でも禁止されそうだという話題を取り上げます。


 まずはステマ、正式名称「ステルスマーケティング」について、確認しておきましょう。基本的な説明部分は、WIKIより一部引用させて頂きます。(ウィキですので引用文が変更・修正される可能性もあります)



ステルスマーケティング ウィキペディア

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

>ステルスマーケティング (英: Stealth Marketing)とは、消費者に広告と明記せずに隠して、非営利の好評価の口コミと装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙う犯罪行為。「ステマ」の略語で知られる。やらせやサクラなどもこの一例に分類される。映画などの映像の中に目視では認識できない短時間の画像などを挿入して脳内に刷り込む宣伝方法で、ステルス機のように相手に気づかれずに宣伝する手法が語源とされる。

(以下略)



 要するに、企業広告や宣伝なのに、それと気付かせないよう偽装したものです。ステルスしている宣伝広報活動ですね。マーケティングの意味は大体分かると思いますが、ステルスの方はあまり使わない言葉で少々分かりにくいでしょうか。ステルス戦闘機のステルスです。念のため「ステルス」と「マーケティング」の個別の意味も、WIKIより引用しておきます。



ステルス ウィキペディア

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9

>ステルス (英語: stealth)は英語で「隠密」「こっそり行う」という意味。

(以下略)


マーケティング ウィキペディア

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

>マーケティング (英: marketing)は、価値あるプロダクトを提供するための活動・仕組みである。すなわち「顧客・クライアント・パートナー・社会にとって価値あるものを、創り伝え届け交換するための、様々な活動・プロセス・組織」がマーケティングと呼ばれる。

>価値を探るための顧客インタビュー、価値を組織として創るための戦略、価値を顧客へ伝えるための営業・広告、価値を届ける流通、価値を渡す販売、など様々な活動・仕組みがマーケティングに含まれる。良いマーケティングを体系的におこなうための様々な方法論・ツール・プロセスが存在する。

(以下略)



 本来であれば、企業広告が咎められる謂れはありません。企業が何か商品をアピールする目的で、お金を出して宣伝をする。それ自体に違法性はなく、テレビやラジオのCM、電車の吊り広告や街中の看板、近年ではインターネットでの広告など、様々な場所で目にします。

 しかしステマの問題は、「それ自体が広告である」と認知させないまま行う点にあります。ステマの「ステ」、つまり「ステルス」部分に問題があるわけです。これに対する言葉として「ダイマ」という言葉もあります。「ダイレクトマーケティング」の略で、要するにそのまま「マーケティング」ですね。ダイレクトを付けずに「マ」とだけ表記する場合もあります。そしてダイマ/マの方は、今も昔もこれからも、何ら問題は生じません。


 おまけにもう一点、先のWIKIの説明文にもあった「映画などの映像の中に目視では認識できない短時間の画像などを挿入して脳内に刷り込む宣伝方法」の話も少し触れておきましょう。

 これは「サブリミナル効果」と呼ばれるものです。何十分の一秒、何百分の一秒という、映画やアニメの一コマだけ、ある映像を差し込みます。人間の目や脳は、これを殆ど認知できません。そんな映像に何の意味があるのだろう、と不思議に思うかも知れません。ですが、潜在意識に働きかける、瞬間的な映像だけでも、十分な宣伝効果が得られてしまうという実例があります。

 映画館で映画鑑賞をする時、本編が始まる前に様々なCM映像が流れますね。大体は同系列の他の映画の紹介でしょうか。それと「盗撮はダメ」という内容をアピールするため、黒スーツで頭部がカメラの形をしたキャラクター「NO MORE 映画泥棒」のCMなどです。その他、映画館自体のCM、ホットスナックや飲み物などを紹介する場合もあります。この番宣や他社CMの中に、コカ・コーラがサブリミナルのCMを差し挟む実験を行った事がありました。その結果、なんと売り上げが2割~5割も増加したのです。視覚として認識できなくても、無意識に、深層心理に働きかけてしまう。それがサブリミナルです。

 日本でも1990年以前、アニメ映像などに一コマだけ別の映像を差し挟む、サブリミナルが恒常的に行われていました。有名なのは、オウム真理教の麻原彰晃の映像を、「シティ・ハンター」の中に紛れ込ませていたという事件でしょう。何のために行われたのか、真相や詳細は不明ですが、一種の洗脳のように感じてしまい、気持ちの良い話ではありません。人物の顔などは、見慣れると愛着が沸く、親近感を覚えるといった影響も出て来てしまいますから。

 それに似た話としては、音楽もあります。最初は「なんだこれ?」と思って敬遠してしまうような楽曲であっても、繰り返し聞く間にだんだん良い歌に思えてしまう。昔、マイナーバンドではありますが、音楽をやっていた知り合いが、このような現象を「洗脳」と呼んでいました。どんな音楽であっても、駄作であっても、繰り返し繰り返し聞かせるだけで売れてしまう、ヒットしてしまう。そんな意味です。CMソングやアニメソングなど、繰り返し聞く機会の多い楽曲は、CM効果と言いますか洗脳効果と言いますか、とにかく売れてしまうものです。


 ステマについての基本的な説明は、大体お分かり頂けたかと思います。ここからはステマの実例と、自分の体験談を交えて話を進めていきます。表題の自分が国会議員の事務所に行って、色々お話させて頂いた件は、もう10年ほど前だったでしょうか。ステマが世間で認知され、多くの人が問題であると認識し始めた頃です。

 韓流ブーム、と呼ばれるものがありました。第二次韓流ブームと呼ばれる、K-POPアーティスト。「東方神起」「BIG BANG」「少女時代」「KARA」などの名前を、一度は耳にした事があると思います。それぞれ、デビューが2003年、2006年、2007年、2007年。日本での活動は、2005年、2008年、2010年、2010年頃からになります。これらアーティストが日本に来るようになって、話題になり始めたのが、ちょうどステマという言葉が認知され始めたのと同時期になります。なぜなら、これら韓流アーティストたちが日本で売り込んだ手法こそが、ステマだったからです。

 それでも第二次韓流ブームの初期は、まだステマの認知度が低かったかも知れません。しかしその後、2011年のフジテレビ「笑っていいとも」で、「好きな鍋は?」というアンケート結果が放送された際には、10代~60代までの全年代で「キムチ鍋」が1位という、常識では考えられない内容が放送されました。今でこそスーパーに行けばどこにでもキムチがありますが、当時はまだそこまで世間一般に流通しておらず、スーパーでも売っているお店と、売っていないお店がありました。外食でも一部の焼き肉屋にあるかどうか程度で、ほとんどのお店で扱っていませんでした。そんな情勢下で、全年代、特に高齢者世帯がキムチ鍋って・・・?

 後で分かった話ですが、このキムチに関しても、やはり韓国の国家ぐるみのステマ行為が行われていたのです。ジャーナリストの木村太郎氏が、「韓国国家ブランド委員会」という組織の存在を暴露しました。2009年から2013年までの間、韓国のブランド力、「地位」や「イメージ」を向上させるという名目で、巨額の予算を組んで様々な活動を行いました。年間予算は数十億円から、最後の年には150憶円もが投じられていました。



[報道資料]大統領直属の「国家ブランド委員会」が発足

2009-01-22

overseas.mofa.go.kr/jp-ja/brd/m_1055/view.do?seq=665927

>国家ブランド委員会は1月22日午前11時半、(中略)発足式を行い、活動を本格的に始めた。同発足式で魚委員長は、「韓国の国家ブランド力の低評価問題は、韓国の商品価格をきちんと受け入れてもらうためにも早期に解決されなければならない課題だ」とし、「他の国の経験からわかるように国家ブランド力の向上活動は民間分野との協力が重要なだけに、企業と国民が参加し、共感できる国家ステータス向上方策を設けるつもりだ」と明らかにし。(原文ママ)

>新たに発足した「国家ブランド委員会」は、委員長をはじめ民間中心にメンバーが構成されることで民間協力と国民参加が強化される見込みである。同時に国家イメージ関連の政府コントロールタワーとして機能させることで、政府の部処別に推進されてきた国家ブランド力向上活動は国家レベルの目標と戦略の下、より効率的に推進されると期待される。

(以下略)


韓国が政府予算で韓流支援「国の品格を高めるきっかけに」=韓国

2012年1月31日 サーチナ

news.livedoor.com/article/detail/6237250/

>韓国の文化体育観光部が中長期的に韓流を支援するための支援策に乗り出した。30日に「韓流文化振興団」が正式に設立し、「伝統文化の創造的な発展戦略」も発表された。政府を挙げて伝統文化を通じて韓流ブームを多様化させ、国の品格を高めるきっかけに活用するという。韓国メディアが伝えた。

>「韓流の競争力を確保するためには新しい韓流戦略が必要だ」と述べ、「韓流文化振興団」の活動を通じて「韓流を伝統文化・芸術・観光・スポーツ・文学など多様なジャンルで広めて行く」と意気込みを語った。

(以下略)



 これら韓国国家ブランド委員会の活動時期は、メディアでK-POPなど「韓流ごり押し」が行われた時期と、ピッタリ符合します。先に述べたK-POPやキムチ以外に、韓国ドラマ、サムゲタン、マッコリ、紅酢、辛ラーメン、それに韓流の街として新大久保などを売り出したり、更には全く流行の気配すらなかったK文学などというものまであったのです。

 こうした韓流ごり押し、テレビやラジオで芸能人本人の口から語られるものや、ブログ・SNSを利用してのステマ行為に嫌気がさした人たちが数万~十万人も集まり、「フジテレビ抗議デモ」が行われました。これが2011年から12年にかけての出来事です。当時テレビ局の中で1位、圧倒的な人気を誇っていたフジテレビですが、フジデモが起きた2011年頃を境に、視聴者がどんどん離れる凋落の道を辿り、僅か5~6年後の2017年には主要放送局6局 (テレビ東京を含む)の中で最下位にまで転落しました。視聴率でも全国区の放送局の中で最低、首都圏のみのテレビ東京にも追い付かれそうな現状です。



テレビ局の人気ランキング 1位 NHK、2位 テレビ朝日、3位 日本テレビ

2017年07月14日 niftyニュース

news.nifty.com/article/item/neta/12225-170712012036/


日テレもTBSも…主要テレビ局の複数年にわたる視聴率推移

2022/11/17 ガベージニュース

www.garbagenews.net/archives/2020115.html

(視聴率推移グラフは中段下、2011年以降に急降下)



後半へ続く

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