つぶれろ! モギモギくん
輪島ライ
つぶれろ! モギモギくん
「あああああああ、塾行きたくねえええええええ、一日中パケモンのランクマで遊びまくりてえええええええええ」
「大体大学受験なんてものがあるからいけないんだ、鶴亀算とか旅人算なんて中学行ったら使えないし中高の物理学って何か大学レベルだと古典力学とか言われるらしいし(知らんけど)、さらなる受験勉強のための受験勉強なんてもううんざりだ!」
「そうかいそうかい、じゃあボクが君の力になるよ!!」
セーイチ君がこましゃくれた小学生にありがちな不満を口に出していると、天井から小さな妖精っぽいおじさんが飛び出してきました。
「うわっ誰だぁお前!!」
「ボクは子どもたちの味方、超科学妖精のモギモギくん! ボクは君みたいな受験勉強に苦しむ子どもたちを救うためにイキリアサイエンス界からやって来たのさ!」
「はえーすごそう(知らんけど)。で、君に頼めば俺は受験勉強しなくていいんだよね?」
「もちろん! この世界の原理なんてボクの超科学パワーがあれば一網打尽さ! つぶれろ、中学受験!!」
モギモギくんがそう言った瞬間、この世界から中学受験という文化は消滅しました。
「うわっ、何か今から一日中パケモンで遊び呆けていい気がしてきたぞ! 高校受験もお願いできる?」
「もちろんさ! つぶれろ、高校受験!」
「ヒャッホー! でも肝心なのは大学受験なんだよなあ……」
「お任せあれ! つぶれろ、大学受験! つぶれろ、大学院受験! ついでにつぶれろ小学校受験!!」
そうしてこの世界から学校の受験という文化は消滅し、セーイチ君はいつでもパケモンで遊んでいてよくなったのです。
セーイチ君が喜んでいるうちにモギモギくんは著作の原稿を書くためイキリアサイエンス界にさっさと帰り、セーイチ君は友達とパケモンで通信がしたくなり家の外に出ました。
すると……
「貴様ぁっ、今日は何の日か忘れたのか! 庶民の子どもが工場勤務をさぼって自宅で遊んでいるとは嘆かわしい!!」
「はいっ!?」
セーイチ君の家の周りをパトロールしていた兵隊は、セーイチ君を叱りつけると持っていたライフル銃を向けました。
「この国では貴様のような庶民階級は死ぬまで工場で働き続けるのが常識だろう! そのように貴族階級のような暮らしがしたければ成人してから戦場に行って活躍しろ! 役に立たない庶民の学問など、つぶれろ、つぶれろ、つぶれろ!!」
「ぎゃああああああああ元の世界に戻してくれええええええええ」
セーイチ君が兵隊に引きずっていかれながら叫んでも、もはや元の世界に戻ることはできません。
中学受験も高校受験も大学受験も、庶民が立身出世するための学問など必要ないと彼は判断してしまったのですから。
つぶれろ、つぶれろ、つぶれろ!!
(完)
つぶれろ! モギモギくん 輪島ライ @Blacken
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