第伍話「雷鳴と深紅」
「轟雷ノ忍…さん?あの……助けてくれてありがとうございます」
「お易い御用でござる!正義の忍ここに見参!」
(この人も慎太郎君と同じタイプの人なんだ……2つの意味で)
健人にはどうしても聞いてみたいことがあった。
「あの……突然なんですけど、どうして轟雷ノ忍さんはそんなことが出来るようになったんですか?」
「拙者にもそれは分からないでござる!できると思った瞬間できただけでござる!」
やはり慎太郎と同じか、と健人は少しガッカリした。
(魔法みたいな力に目覚めた人達は皆、何か特別な事をしたわけではなく、突然できるようになっただけなのか……だとしたら、どうして「でき)
「健人逃げろ!!!」
慎太郎が現れ、二人の間に鎌を突き立てた。
驚いた顔をする健人と忍。
「慎太郎君!?何を!?」
「そいつは”覚醒者”の1人だ!ここで会ったが百年目!我が友に無礼を働いたその大罪、血潮と共に斬り裂いてやろう!あと俺の名前は漆黒の裁定者だ!」シュッ
鎌が回転しながら轟雷ノ忍の元に飛んでいく。
(何者でござるかこの男!既に『二級覚醒者』程の実力……しかし……)
轟雷ノ忍は華麗に攻撃を避ける。
「大地に堕ちよ、蒼き稲妻『
ドカーン
雷が辺りに落下し、轟音を鳴らす。
それは慎太郎のすぐ横を掠めた。
「フフフ…どうやら相当強いらしい、が、まだ使い慣れていないようだな。奥義、『
「止めて!!!」
健人の声で、2人の動きがピタリと止まる。
「慎太郎君違うんだよ。この人は僕を助けてくれたんだ」
「何……!?友の友は我の友、我としたことが……早とちりをしてしまったようだな。悪かった」
「拙者もすまなかったでござる…てっきり健人殿の刺客かと……」
「いや……良いんだ、これで俺たちは…あれ?」
気づいた時には、3人とも周囲を校庭にいた化け物達に囲われてしまっていた。
今にも飛びかかってきそうな勢いで、ヨダレを垂らしてこちらを見ている。
「しまった!拙者としたことが戦いに夢中で気が付かなかったでござる!」
「うわぁああああ!ヤバいってこれ!」
「慌てるな2人とも!1秒間だけ目を閉じろ、『反天・
ピカッ
一瞬眩い閃光が放たれ、その勢いに慄いて、化け物達が動きを止める。そこには確かな「隙」が生まれた。
「全速力で駆け抜けろ!!!」
3人はその隙に向かって一気に走る。しばらくは化け物も追ってきていたが、数百メートル離れたところで追跡をやめた
「かたじけない漆黒の裁定者殿……」
「後は拙者の遠距離攻撃で殲滅できるでござる」
その時、耳を貫く様な音が辺りに響いた。
暗雲が立ち込め、周囲の温度が急激に下がっていく。
「…なんだ…?」
ホーホッホッホッホッホッホ!
「誰!?」
天空に色鮮やかな大穴が開き、中から1人の男性が出てきた。タキシードを着て、シルクハットを深く被っているため、その素顔は見えない。
「ワタクシの名は『ミスター・ブラック』……貴方がたの世界の正装を真似させて頂きました」
「先程の戦い……実に素晴らしかった……ワタクシの用意したモンスター達は如何でしたでしょうか?」
「まさかお前が…?」
慎太郎が落ち着いた表情を見せながらも、内心焦りながら口を開く。
「そのまさかですよ。あれはワタクシの用意した小さなゲーム……死者を蘇らせた聖なる存在です」
健人はハッとした。もしかして、校庭で殺された人達は皆、あの姿にされたのか……?だとしたら轟雷ノ忍が殺したアイツは……
「さぁ、新しい世界の始まりです。」
to be continued…
厨二魂ダークネスフレイム @Shadow_Night
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