第42話 プレーオフ第2試合

 今回は前回のプレーオフ決勝のカードがプレーオフの初戦で当たる展開だ。海のダンジョンと地のダンジョンの戦いは今シーズンから新たに雷系のAランクの魔物を入手した地のダンジョンが有利に思われていた。その雷属性の魔物を守備に配置してレヴィたち攻撃部隊を待ち構えていたのだが。


「同じオーガ系の1ランク下のBランクにドライアドの回復でアンサー。そのためのドライアドレンタルか。」


 1ランク落ちるとはいえ相手は回復ありこちらは回復無しでは慎重に立ち回ざるを得ないため、攻めあぐねてしまう。そこにキャノンダイルやアースリザードの援護射撃が飛んできてはなかなか攻撃に回れない。水属性に有利な雷属性のオーガだが攻撃は近接攻撃に雷属性を纏わせるものであり水属性の敵に近づけなければ有利を活かせない。


「地のダンジョンもなんとか援護に回ろうとしてるけどディーヴァの存在が厄介か。」


 ディーヴァの探知能力で敵の動きをいち早く察知した海のダンジョン側が雷オーガを他の魔物から引き離している。雷オーガを隔離することで地のダンジョンの有利はほとんど無くなったと言ってもいい。


「それに加えてアイスドラゴンの存在も大きいか。」


 氷のダンジョンにいたはずのアイスドラゴンを入手した海のダンジョンに対し、地のダンジョンが対空で用意できる攻撃はキャノンダイルの砲撃のみ。そのキャノンダイルもアイスドラゴンのブレスによりダメージを負ってはドライアドの力を借りて回復しながら戦っているが撃ち合いは明らかにアイスドラゴンが有利。そして、海のダンジョンの遠距離コンビがここにもちょっかいをかけるためアイスドラゴンはかなり自由になっている。


「制空権をここまで完璧にとられると地のダンジョンも厳しいか。」


 氷のダンジョンとの対決ならばその分地上の戦力が手薄になっているため力で押せるのだが海のダンジョンは地上部隊がかなり潤沢なためどうやっても押し切れない。


「そして海のダンジョンは元々レヴィを中心としたダンジョン。これだけ周りに戦力を使わされるとレヴィが止まらないな。」


 上空のアイスドラゴンから遮蔽を作るためにSランクまで動いてしまっているのでレヴィを牽制する魔物がいない。フリーになったレヴィは敵の戦力を1枚ずつ剥いでいく。そして、フリーになった海の魔物は天敵である雷オーガの包囲網に加わっていく。地のダンジョンの防衛ラインはこの時点で崩壊が決定的だった。



「あとは海の防衛ラインが耐えきれば勝ちか。」


 ここまでは前回のプレーオフと同じ展開。海の防衛ラインはいつもの水中ステージ。攻防も前回と同じステージを凍らせてしまえば水中の魔物は無力化できるのだが。


「とはいえAランクの魔物を手に入れたのは地のダンジョンだけでは無いか。」


 地のダンジョンがドラフトで雷オーガを入手したように海のダンジョンも戦士系のAランクの魔物を入手していた。氷の魔物は水中の魔物を無力化できるだけで水属性の魔物に強いわけでは無いため地のダンジョンはこのAランクの魔物を抑えるためにリソースを回さないといけない。そして、氷の対策として入手した炎の魔物もここに配置されている。地の攻撃側は氷の魔物を守りながら戦わなければ水中ステージの突破は難しい。


「海の防衛側はドライアドの回復もあるし水中からの攻撃がフリーか。」


 水中から触手が伸びてきて地の魔物が水中に引きずり込まれる。こうなると引きずり込まれた地の魔物はどうしようも無い。海のダンジョンが前回より増やした水上部隊の効果が出ており、海のダンジョンの防衛ラインも海のダンジョン側が有利であり、地のダンジョン側が倒される可能性はあっても海の防衛ラインが崩れそうに無い。間違いなく海の攻撃が終わるまで耐えられるだろう。


「雷オーガがやられたか。」


 地の防衛ラインでは雷オーガがフリーになって増援に来た氷の熊の攻撃で倒され、海のダンジョンは雷オーガにかけていたリソースを全てダンジョン攻略に使えるようになった。


「こうなると速いか。」


 海のダンジョンの猛攻を地の防衛ラインは耐えられずどんどん後退していく。最後まで抵抗していたSランクも多勢に無勢で倒され海のダンジョンの2シーズン連続での決勝進出が決まった。



 勝負が終わった後、俺はルイスと海のダンジョンの戦いを振り返る。


「海のダンジョンはかなりリソースを使って対策してたな。」


 わかりやすいのはアイスドラゴンだろう。氷のダンジョンにいたはずの魔物がいるということはおそらくレンタルしたのだろう。1体で地のダンジョンから制空権を取れると考えて補強したのだとしたら見事な対策だった。


「もう1体、ガーゴイルも守備側にいたわね。あれも本来鋼のダンジョンの魔物だし海のダンジョンは制空権をかなり意識してると見ていいでしょうね。」


 俺たちとの戦いも見据えて氷では不利をとると考えて空をとる魔物を増やしているのだろう。海のダンジョンはかなりプレーオフを見据えて補強してきたようだ。


「氷の熊もいたしあれで全部だと思うけれどもう1体くらい隠し球がいるかもしれないから警戒はしとくわね。」


 雷オーガを倒したあの氷の熊もおそらくは鋼のダンジョンにいたもの。海のダンジョンの補強はこれで全てだと思いたいが俺たち用の対策がなにかあるかもしれないしの警戒は必要だろう。

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ダンジョンリーグ いかづち1 @ikaduchi1

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