第12話リーファ排除計画③★
そして、風呂を上がった後に開かれた緊急家族会議。
「リィィファアア!」
「はぁ、どうせそいつの体見たんでしょ?なにも言うことなんてないわよ!」
ユーゴや使用人はリーファの清々しいほどの開き直りっぷりに目を見開いて驚いていた。
ユーゴは母からの心無い言葉に涙を貯めて鼻を啜っている。
「公爵夫人になったところで我慢すべきだったわ〜。あーあ輝かしい未来が全部パァよ。お前のせいでね!役立たずのユーゴ!」
「うっ……っっ……うっ」
ユーゴの水色の瞳は大粒の涙をズボンにふらせている。リーファのその醜悪な表情には微かに後悔が入り交じっているようだ。そしてリュカは計画どうりに風呂前にしっかりアマンダに即効性の毒をもっていた。
「おい!アマンダはどうした!なんで来ないんだっ!」
ガータリオンが激怒し、威圧で使用人たちが口を開けないでいた。
「旦那様、夫人は夕方から体調を崩し休んでおられまして……」
「それだけか!!!」
「い、いえ、どうやら毒を盛られたらしいのです……」
「毒……ぅ!?」
こんな状況で毒を盛るなんてリーファしか思い浮かばない。他家からの暗殺なんて考えられないからだ。
「リーファ……お前がこんなに醜い女だなんて思わなかった」
(俺からすればあんたの方が充分醜いがな)
「毒??私はもってないわよ。」
「部屋に入ったのはアリサ・リュカ様・リーファ様・アマンダ様の4人だけです。紅茶に毒を仕込んだとしてもリュカ様には理由も入手法がありません。アリサはそもそもアマンダ様の連れてきた使用人でもあります。」
「はぁぁあ?私はもってないって言ってるじゃない」
「言い訳は見苦しいぞリーファ!」
「はあ、どうせ私は男爵家の子。ここまで来れたのが奇跡だっただけよ。今更弁解したってなんにも聞いてくれないでしょ?」
「リーファ、お前は絶縁だ!」
「……はい。はい、でもひとつ言っておくわ。アリサはアルシオンの味方じゃない」
どうやらリーファはアリサに図られたと思っているようだ。リーファは諦めたような目をしており、自ら命を絶ちそうなくらいだ。怒りなんてものは通り越したのだろう。
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そんなこんなでリーファはアルシオン公爵家から絶縁され、この屋敷に頭のいいやつはいなくなった。しかし俺には新たに敵が現れていた。
8歳になった俺はもう剣術も勉強も教えることがないと教師はいなくなった。ユーゴはリーファ絶縁後はやはり実の母であったため、思うところがあったのか少し落ち込んでいた。しかし、新たにレイアを専属にするとパタリと塞ぎ込むことはなくなった。
きっと母親から直伝の
負の連鎖って面白いな。
俺はユーゴから譲られたジョンを専属にし、もはや次期公爵家当主の座は手に入れたようなものだ。
しかし、現在。俺は窮地に立たされていた。
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「パルサパン、腕をくれ」
『お主って本当に気持ち悪いんじゃな』
「ありがとよ」
パルサパンから腕を受け取ったリュカはその血の抜けた青白い腕を机に置き、ワイシャツのボタンを外し、服を脱ぎ始めた。ベッドに寝転がり、腕を腹や胸、顔にスリスリと擦り付ける。
この重量感のあり、冷たい少し固くなった皮膚が自分に触れる感覚がどうしようもなく心地よかった。腕はもちろんあの時に貰ったもので、少し痩せて角張っており、華奢であれた手は少年少女特有の中性的な魅力がある。関節を触るとコリコリと少し動き、親指の付け根の、比較的肉が着いた部分はぷにぷにしていた。
まるでお気に入りの人形のようにこねくり回し、切断面は柔らかな肉の感覚が楽しめるお気に入りのスポットだ。この少年の手は中指の爪が剥がれており、ほかの爪には土が入り込んでいて少し汚れていた。しかし、それすらもこの腕が少年であった本物としてのあかしであり他とない死体の魅力だ。
「な、何してるんですか?」
今、俺の脳内ではホラー番組で流れてくるような不気味な雰囲気の曲が流れている。
「すまない。君は幻覚を見ているようだ。」
「いや、見てませんよ!」
「ジョン、お前……なんでノックもせずにはいるんだ。」
「ノックは3回しました。開けますよとも3回聞きました。というよりその腕本物なんですか?」
「もちろん本物だ」
「どうやって盗ったんですか…」
「ふつうに殺して貰ってきた」
「どうやって外に出たんですか」
「窓から飛び降りて」
「……あなたは私以上に猫かぶりの上手いバカのようですね」
「ハハッ!あったりぃ〜」
「……。?それがあなたの本性ですか?私がこれからどう行動するか分かりますか?」
ジョンは顔面蒼白になっている。
「ちげーよ!お前は今から死ぬんだよ!俺の本性を知ってるのは
「……頭がおかしくなったんですか?」
リュカ以外には悪魔の名前は聞こえない。ジョンからすればいきなり死刑宣告をし、架空の友達に依存している精神異常者にしか見えない。もっともそれは正解なのだが。
「だからお前にそんな戯言言ってる暇はねぇ〜んだ!」
ジョンはどうして高位貴族には頭のおかしな奴が多いんだと頭を抱えていた。リーファだけでなくまだ8歳であるリュカもこの有様。
つい目で追ってしまうような美しい容姿はどこかに置いていってしまったようで、目の前のリュカはすごい形相だ。目を見開き、眉はバカにしたように下がっている。頬は赤く染まり、口角はつり上がっており、興奮しているようだ。真っ赤な瞳は瞳孔が開き、やっぱり頭のおかしな奴にしか見えない。シャツは前を全開にしており、腕を左手で掴んでいる。まさにカオスだ。
「はぁはぁ〜!?んっ!はぁ!」
グチャ
リュカはいきなり自身の親指の付け根を噛みきって、えぐれた血肉を飲み込んだ。ジョンはそんなリュカの様子を怯えながらみていた。
「ぁぁああ、あ!」
(やばいっ!殺人衝動が押えらんねぇ!)
「ジョオォォォオォンンンンンン!!!!!」
扉の前に立っていたジョンが急いで扉を開けようと金の取っ手に手を伸ばす。が、焦りすぎてうまく鍵を開けられない。勢いよく走ってきたリュカに壁ドンされる。
ジョンはガタガタと震えており、「あ、これ死んだわ」状態だった。
「……?」
壁ドンしたまま動かないリュカを不思議に思い、目を開ける。すると短剣を首元に当てられており、少し下にあるリュカの顔は真剣な表情をしていた。
「ぇえっとぉお〜!ここで殺しちゃうと、俺の次期公爵家の座がぁ〜!遠のいてしまうんですよねぇ〜〜ええ!!!?」
「……」
「だから〜!!お前は、今からあああ!俺の奴隷っ!ほんとは、人間なんて身近に起きたくねぇんだけどさ、仕方ないよね……俺が魅力的すぎて、メスは媚びてくるからさっー!オスであったことを感謝しなさいっ☆
まぁ、冗談だ。てことで絶対服従な、俺のこと他の人に話たらお前の家族殺すから」
「はっ、は、は、いっぃ!」
「とりあえず俺の自家発電に付き合ってくれ」
ジョンの脳内では性の目覚め早すぎないかということと、まあ生きてるだけマシかと、自家発電の本当の意味を分かっていなかった。
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「ぐぅっあああああっ!!!」
「はい、これで4枚目、あと1枚じゃん!頑張れっ!」
今ジョンなリュカの自家発電という名の拷問に付き合わされている。
今剥がされたのは人差し指の爪。最後はいちばん痛そうな親指だ。血が流れる度にリュカは指をねぶって吸血鬼のように血を吸った。
「ああ〜たまんねぇんじゃあ〜まるで味の玉手箱やっ!ってな。ハハハハッ」
時々意味のわからないジョークをするリュカに、余計に不気味さを感じ、ジョンはもう痛みで考えることをやめていた。リュカの目に映る、真っ黒な目をして、涙をポロポロと流すジョンはリュカの性癖にドンピシャだった。痛みを耐えるために、唇をかみ、形の良い唇からは血が出ていた。
「ああ〜!美少女のおっぱいが揉みたい……!ああぁ!ジョン!妹とかいねぇの??」
「いません!!!!!!」
「なぁーんだ。ジョンの妹なら美人だと思ったのになぁ」
ジョンは妹を守れたことにほっとし、息を吐く。
リュカはジョンの瞳に安堵の感情が浮かんだことを見逃さなかった。
「えっ?今ほっとした。?ほっとしたよね、!?アハハハハッ!いるんじゃん!妹っ!」
(嘘ついてるんならまだまだだな。見せしめに妹ちゃん殺すか?でもジョンの妹はまだおっぱいなさそうだな。)
「お願いします!!絶対服従しますからっ!家族には手を出さないでください……っ!」
「さあねぇ、それは未来の、お楽しみ!てか、お前、いま嘘ついたばっかなのにそれ言う?」
「……」
「ハハハハハハハハハハ!!!!」
「はい、これで最後」
ベリッ
「っ……っ!」
「ちっ、つまんねぇーの。声出せよ」
俺は男がだす声が好きだった。支配欲なんかを満たせるからだ。
ダラだと血の流れる傷口を歯でかじる。
「ぁあっ……ぐっ」
気持ちしょっぱい不思議な味の血液。鉄のようなくせになる匂いと共にほのかにほかの味を感じるような気もする。
そういえば前世で、確か今くらいの年齢の時、好きだった女の子を怪我させて、膝から出た血を舐めたことを思い出した。その時はなんの疑問も持っていなかったが、今思うと引かれた原因だろう。たしかブドウや桃みたいな風味がして、そこから血を食べたいというカニバリズムな気持ちが出てきた。
中学生の頃のおかずはほとんどその子だった。転校して会うことなんてなかったのにな。
不思議と肉は食べたいとは思わない。というより俺は肉は嫌いなんだ。焼肉を好き好んで食べれなかった。
ゲイビデオを見ても興奮はしなかった。だけどLoveではなく、Likeという意味で男の苦しんでいる声が好きだ。
と言うより苦しんでいる声が好きなだけだと思うが。
アルシオンの懺悔〜裏攻略対象に転生した俺は本性をひた隠す〜 あなず @anazu1225
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