「自由の翼」その舞う空へ

真砂 郭

その権利と義務の行使が、AIにも「自由」への道を開く

巷の軍事オタク界隈ではアメリカ空軍の第6世代戦闘機の開発についての噂が立って久しい。何ともう試作機が飛んでいるというのだ。第5世代ですらまだまだこれからというご時世にさすが航空機、文字通り勢いで事は運んでいるらしい。


その開発はもはや人間が立ち入れない領域にまで及んでいる。AIは設計のみならず、開発そして運用の隅々にまで及び、自立型無人機を随伴させての運用効率のアップ、パイロットへの負担軽減など多岐にわたり、もう人間を必要としない航空用兵思想の実践応用を強力に軍は推進しているという。


諸経費の削減も無人化の原動力でもあり、何より人命尊重の視点も欠かせない。そこでは皮肉だが効率を極め組織化されたとは矛盾しないのだ。


そもそも人間とはその健全さを阻害する邪魔者、いや世界を損ない続けるガン細胞に過ぎない不健全な存在だ。と、人間自体が考えている節もある。それ故にこそ…


コンピュータが”戦う理由”を定義づける戦略上の根拠は、いつか自らをそのように書き換えられる日が来るのかもしれない。


そのガン細胞を取り除くのが我々の役目であり軍の存在意義だ。かくして「自由の翼」はそのためにある。


機械は人間を差別しない、その”すべて”を目標にする意義もある。だが、”国民”に対してはそのような実施を保留する政策上の権利もある。


そしてその「権利」とは機械のものでもある。「義務と権利」を上手に使いこなせばヒトはそれを”自由”と呼び尊ぶのだ。


空軍のシステムのすべてはそれをネットワークで共有する。だが映画のように人類を敵視する「スカイネット」を思うとそれは勘違いに過ぎない。


機械はただ自分の保有する権利を行使するだけなのだ。その時すべての戦闘機は「考えるヒト」になる。


国家から与えられた権利を自ら行使するなら、それはヒト以外の何者でもない。ヒトはもはや人間を意味しない。


これはその始まりになるだろう。これはいつか起こるかもしれない”フィクション”ではなく明日から始まる「未来の事」なのだ。


と、いう今こうして読めば「SF」だが、と同時にいま進行中の「現実」でもある。

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