第87話 上杉さんの友達の女性と合うことが決まったよ

 さて、上杉さんと一緒にフィットネスルームで運動した後の夜、上杉さんの部屋の風呂に一緒に入る流れになり、そのままなし崩し的に上杉さんと一晩を過ごしてしまった。


 そして気がつくと俺は裸でベッドに横になっていて、俺の横にはやはり裸の上杉さんが寝ていた。


  そして上杉さんはパチっと目を覚ますとニコっと笑っていった。


「おう、おはよう。

 お前もだいぶうまくなってきたな」


「はは、それならいいんですが」


「まあ今回は脱衣所で脱いで体を洗った後に、風呂の中とベッドでやったしな。

 最初から裸だったから、余計なことを考えずに済んだのが良かったのかもしれんな」


「服を脱がせながらするって、結構難しいですからね」


「まあ、やっぱり最初はお互い裸から始めたほうが良いな。

 特にあんまり慣れていない相手とやるんなら、あまりモタモタしていると気持ちも萎えたり焦ったりするから」


「そりゃあ、その通りですよね」


 慣れてくれば自然に脱がせたりできるようになるかもしれないがなれないとなかなか難しい。


「ああ、そういえば北条がやっていた、私の悪友たちの身辺調査が終わって、書類も確認できたらしいから明日は北条へ確認しにいっておいたほうがいいぞ。

 妊娠初期の卵子が子宮に着床する妊娠2週目から4ヶ月目くらいまでは妊娠期間の中でも性行為が特に危険な時期だからな。

 だから妊娠検査薬ではっきり妊娠していることがわかったら私とはできなくなる」


 真面目にそう話す上杉さんにオレも真面目に頷いて答えた。


「ああ、なるほどわかりました。

 後で北条さんのところへ行って確認してみます。

 ああ、妊娠検査薬で妊娠しているという結果がわかるのが2週間目くらいなのはそういう理由ですか。

 確かに上杉さんとの一番最初の夜がオリエンテーション合宿から帰ってきたときですから、そろそろ2週間目ですし、上杉さんが流産したら大変ですから、これ以降は上杉さんとの行為は当分控えましょう」


 オレがそう話すと上杉さんは少し心配するように言った。


「お前が素直なのはいいことだが、少し淡白すぎてそれはそれで心配だよ」


「うーん、まあ今はやるべきこともたくさんありますしね。

 とは言え子供をつくるというのもやらないといけないことのひとつなわけですが」


 それから俺はベッドを降りて服を着始めた。


「じゃあ、俺はいったん自分の部屋へ戻りますね」


「ああ、そうだなわかった」


 俺は自分の部屋に戻って、念のためシャワーを浴びなおし、身支度を整えたあと北条さんの部屋へ向かった。


 そのまま北条さんの部屋の前にたってインターホンを鳴らす。


 ピンポーンと音がなって中から北条さんが応答してくれた。


『あら、今日は早いですわね?』


「うん、ちょっと話したいことがあって」


『わかりました。

 では、いまドアを開けますわ』


「よろしくね」


 というわけで北条さんがドアを開けて中から顔をのぞかせた。


「では、どうぞ部屋の中へお入りください」


「では、お言葉に甘えて」


「では、ダイニングチェアに座っていてください。

 今朝食を作ってしまいますので」


「了解。

 じゃあごちそうになるよ」


「フフ、こうしていると新婚の夫婦のようですわね」


 ごきげんな表情でそういう北条さん。


「たしかになぁ。

 今の場面だけ見たら大学結婚した若夫婦に見えるのかもな。

 実際最上階メンバーはオレと同棲してるようなものだし」


「たしかにそうですわね」


 しばらくして北条さんは大きめのプレートに朝食を載せて運んできた。


 そしてそれが俺の目の前に置かれる。


「お、栄養バランスも良さそうだね」


 朝食の内容はバターがたっぷり塗られた食パンに、プチトマトときゅうり、千切りキャベツのフレンチドレッシングのサラダ、スクランブルエッグ、ヨーグルト、カットされたグレープフルーツだな。


「これこそが洋食のブレックファーストって感じだね。

 見栄えもいいし美味しそうだ」


「ではどうぞお召し上がりください。

 まあいずれはハウスキーパーを雇って家事は任せようとは思っていますが」


「うん、いただきます。

 確かに北条さんは忙しいだろうしそうしたほうが良さげだね」


 その旨さにあっという間に平らげてしまった。


「うーん。

 やっはり美味しかった」


「それは良かったですわ」


「あ、それで話したいことなんだけど、上杉さんの友達の身辺調査が終わって証明書類も出てきたんだよね」


 オレが荘きくと北条さんは頷いて答えた。


「ええ、そちらについては問題ありません。

  そういえば昨日は上杉さんのところに行っていたようですが」


「ああ、うん。

 そろそろ一番最初の寄りから2週間たつし、妊娠してたら性行為は流産の危険性が上がるから危ないんだって上杉さんに教わったんだ」


「なるほど。

 それで、夜の行為ができなくなるから上杉さんのご友人について確認しに来たというわけですか」


「うん、と言ってもすぐに手を出すつもりはなくて、まずは一緒に食事をしたり、出かけたりしてからのつもりだけどな。

 それに北条さんたちや浅井さん、それに元ゲーム制作部の女性メンバーや東大女子には大学を卒業、あるいは芸能界を引退するまで妊娠してしまうようなことはしないつもりだしね」


「あなたの場合は上杉さんくらい年上の女性が好みなのではないかとも思えますが?」


「うーん.、それについては否定できないけどね」


「まあ、あなたが適当に路上で声をかけたり、逆に声をかけられて知らない女性と深い仲になって問題になるよりはずっといいですから私としては問題はないですが」


「美人局やハニートラップやらもあるからそんな迂闊なことはしないっつもりだけどね。

 では、上杉先生の短大時代の悪友って言われる人たちとはあって話せそうかな?」


「ええ、大丈夫です。

 この後、先方に電話で連絡して、こちらにお呼びし、お会いできる方からあって話をしてみましょう」


「うん、ありがとうね」


「とりあえずわかっている範囲ですが、年齢は上杉さんと同級生だったので同じ24歳。

 お一人は幼稚園の女性教諭の生駒美晴いこまみはるさん

 もう一人は保育園の保母の笠間明菜かさまあきなさん。

 最後の一人は家事見習いの高桑美奈子たかくわみなこさん。

 忙しく働いているお二人に来てもらうのはすこし時間ががかかるように思いますので、まずは家事見習いの高桑さんに連絡をしてみようと思います。


「ん、ありがとうね。

 たしかに幼稚園や保育園で働いていたら平日は無理かな」


 上杉さんいわくみんなそこそこ男性経験はあるが、今は彼氏とかはいないし結婚も絶望的っていってたな。


 生駒さんや笠間さんは職場に年頃の男性がいない上に仕事が忙しいからだろうし、高桑さんは料理の腕が壊滅的らしいな。


 彼女たちの間に子供ができたらちゃんと認知・養育はするつもりだけど流石に会社の役員とかにはしないつもりだ。


 もちろん上杉さんみたいに何らかの会社を任せてもいい人材だと思ったらその限りではないけど。


 そして大学へリムジンで登校し、講義を受けてそれらも終わって帰りのリムジン。


 そこで北条さんが俺に言った。


「高桑さんですが、ぜひあなたと早くあってみたいということで、あなたが問題なければこの後お呼びしますがどうしますか?」


「あ、うん。

 あちら側が早めがいいって言うなら、オレは全然問題ないよ」


「では寮に到着次第連絡いたしますね」


「うん、よろしくね」


「ちなみに高桑さんは家事手伝いで特に働いていないんだよね」


 俺がそう聞くと北条さんは頷いた。


「ええ、そのようです」


 80年代だと高校や短大を出た後には、家事手伝いとして会社では働かない女性も多いが、ニートの引きこもりのように家にいても何もしないで部屋いいるわけではなく”日常的に家事を行っており結婚して家事に専念する意思がありお見合いなどを積極的にするのがニートとは違う。


 家事といっても掃除、洗濯、買い物や料理だけではなく、育児や介護のようなものも含む。


 そのため、朝起きる時間も家族の誰よりも早く起きて朝食の準備やお弁当を作ります。その後、掃除や洗濯をしたり買い出しをしたりしなければなりません。


 母親になると朝早く起きないといけないから大変だよな。


 上杉さんは”結婚できず、子供も作れずに25を過ぎて売れ残るクリスマスケーキのままで年を取っていくくらいなら、そのほうがずっとマシだろう”といっていたが専業主婦は専業主婦で大変だとは思うんだよな。


 まあ、俺に会いたいということは最終的には俺との夜の相手を務めることには同意しているんだろうし、今付き合ってる男や家族なんかに変な人がいないのではあろう。


 とはいえ大金が絡むと豹変する人間もいるらしいから安心はできないけども。


 とはいえ上杉さんは高桑さんのことを遠い目をしながら”そいつは料理がど下手なんだよ。すぐ焦げつかせるし、味付けも安定しないからなぁ”と言っていたから専業主婦志望の家事手伝いとしては厳しいとは思うけどな。


 俺達がそんな話をしていると斎藤さんが聞いてきた。


「あなた達一体何の話をしているのよ?」


「え、ああ、ちょっと北条さんの友達の女性を紹介してもらうって話になっててさ」


 俺がそう言うと斎藤さんは俺をジト目で見てきた。


「ふーん」


 そして長谷部さんがニヤニヤしながら言う。


「まあ、もはや日本有数の財閥グループの総裁ともなれば色々大変なんだろうなぁ」


 俺はとりあえず笑ってごまかす。


「あははは」


 そして北条さんが言う。


「では応対はどこで行いますか?」


「取り合えすはエントランスロビーの応接か地下一階の応接用個室でちょっと話してみて、その後は外で食事をしてみるなり再紹介を見せて見るなりするつもり」


 俺がそう言うと北条さんは頷いた。


「では、上杉さんもお呼びしてエントランスホールにの応接セットで待ち合わせをした後で、地下一階の応接個室で最初は対応しましょう


 そして車載電話で寮マンションのコンシェルジュさんに連絡を取ってくれているようだ。


 高桑さんがどんな人なのか楽しみだな。

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派遣社員の人生やり直し 日本の未来を変えるために各種ゲーム製作から成り上がる!大学生編 水源 @minamoto1616

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