無意味

白川津 中々

意味のない言葉の羅列を切り貼りして、あたかも文化人気取っちゃってさ。恥ずかしいったらないよ。評価しようのない、論外の駄文を吐き出してどうしたいんだ。まさか作家になりたいなんて言うんじゃないだろうね。

いいかい。馬鹿な夢は捨てる事だよ。君じゃ無理だ。何一つ自分の言葉がない、浅ましいツギハギなんかが世に出回るものかね。仮に、何かの間違いで表紙がつけられ、棚に置かれるとしよう。けれどね。そこまでだよ。そこで終わりさ。

君は書店に行った事があるかい。新刊を出している作家先生のお名前をご存知かい。ねぇ、知らないだろう。作品を発表されている先生方の何人か果たして食っていけているのだろうね。名も知られない世界で、手にすら取られるのが稀な世界で、君の本を読む人間がどれだけいるだろうね。

そうか、書いても君の文など誰も求めてやしないんだ。社会不適合者の君でも日本語は辛うじて書けるから。人と違うと、特別になれると思って小説なんかをはじめたんだろう。お笑いだよ。コメディアンの方が向いているんじゃないかな。いや、実際笑わせてもらった。そんな笑いが一瞬起きるだけの価値しかないんだ、君と、君の書いたものは。


君は所詮名もない凡人の一人なんだ。平凡なまま生きなさいよ。



これだけいって、まだ君は諦めないのか。結構な事だよ。では、将来を楽しみにしているよ。次は会う時は、橋の下かな。せいぜい無様を晒してくれたまえ。叶わぬ夢を求め、何者にもなれず、笑われながら生きていけ。お達者で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無意味 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る