永久凍土のような心の中には、強い毒性が潜んでいます。

契約社員の玉木による、職場の現状を綴った物語です。
現代OLの内心で抱えている不満がとても伝わってきて、そこが見どころだと思います。
働く女性には、分かると共感頂けると思います。


玉木は、心の中では愚痴を言うのですが、批判的な感情は全てマスクの下で隠されています。
現代社会を生き抜く処世術。

人の内面は見えない、見えているのは氷山の一角といったような感じを受けます。
この小説では氷山の下に潜む、OLの内面がとても描かれていて、共感しました。


物語は、永久凍土になぞらえて進展していきます。
永久凍土の下には、毒性の強い細菌が隠されているように、徐々に玉木が周りのストレスから溶かされていくような物語。

いつか玉木の内包している毒が、ぶちまけてしまうのではないかと、気づかないうちに溶ける玉木の様子が楽しめると思いました。
最終的に凍土は溶けてしまうのか、毒が出てきてしまうのか、お楽しみ下さいませ。