第5話 それぞれの旅

 マルスのメンバーや哲明は2人の周辺を洗った。

 加藤あいに似た美人が容疑者として浮上した。かつて、ひもの屋でバイトしていた虎島奈美子って、タイガースファンが喜びそうな人物だ。1年前の12月に首を切られるとき、『ババァ死ねよ!』と、毒蝮三太夫もあっと驚くような罵声を浴びせていたらしい。

 

 千尋せんぴろの滝ってところに奈美子はいた。屋久島中央部に水源を持つ鯛ノ川にある落差60メートルの滝である。屋久島南東部のモッチョム岳(標高940メートル)東側の斜面に広がる250メートル×300メートルの巨大な花崗岩の岩盤に面しており、その岩盤の大きさが千尋、すなわち千人の人間が手を結んだくらい大きいという例えから名付けられた。

 滝の南側の高台が展望台になっており、車で容易に訪れることが出来ることから、屋久島を代表する観光スポットとして知られている。

 奈美子は展望台で一眼レフカメラで景色をパシャパシャ撮っていた。

「あの〜、虎島さんですよね〜?」と、竜崎が近づくと、「私は何もしてないわ!!」と滝壺へと飛び込んだ。普通ならここで、死ぬが彼女は超人らしくケラケラ笑っていた。


「死ねぇっ!」

 廃校で梅太が一之輔にナイフで襲いかかってきた。

「全部、おまえがやったのか!?」

「ああ、そうだよ!?遠藤が宝石独り占めしようとしてたんだ」

 グサッ!ナイフが深々と一之輔の胸に突き刺さった。

「あんたが死ねば組織は俺のもんだ!」

 十亀たちは虎島の依頼で始末した。

 一之輔はやがて事切れた。

 タイムスリップしようとしたが、マルスに叶うはずもなく、廃校を出たところをお縄になった。

 菜奈たちは一足先に温泉の近くにある洞窟にやって来て、遠い世界へタイムスリップした。


「桜ァッ!おりゃあ、おまえがいないとダメなんだ」

 寅さんみたいに龍臣は旅館で泣き出した。

「泣いたらあかん、泣いたらあかん、人生舐めずにこれ舐めて」

 残間が突然、アレを露出させた。

  

 🏝

 嵐山、桜、菜奈……異世界編。

 龍臣、竜崎、呂宋、残間……現代編。

 


 

 

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闇に叫べ! 11  屋久島殺人事件 鷹山トシキ @1982

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