ジャングルの象&星 🌟🐘

上月くるを

ジャングルの象&星 🌟🐘




 昼。🌞

 四本の足に重い鎖をいく重にも巻かれた母さんの象は、森の木材を運び出したり、人間や荷物を乗せたりして一日中働きづめでしたが、半年前に生まれた赤ちゃん象がいつも一緒にいるので、自分のことよりも、その子の無事が一番の気がかりでした。



 夜。🌌

 がんじがらめに巻かれた足の鎖はそのまま。粗暴な男たちに怒鳴られたり鞭で打たれたりしないだけましですが、くんくん甘えてくる赤ちゃん象を鼻でやさしく撫でてやりながら、母さん象はジャングルの上に広がる夜空に深く長い吐息をつきました。



 

 ――ああ、象の神さま、どうかどうかお助けくださいまし。

   やがて、この子も同じ目に遭うのだとしたら……。💧




 そのとき、チカチカ涙のようにうるんでいた星が、すっと尾を引いて流れました。

 せめて流れ星に願いを託したいと、母さんの象はウォ~ンウォ~ンと哭きました。

 そんな象の親子の全身に、きれいに丸い満月が金色の光の粉をふりかけています。

 



      🌠




 それから間もなくその国の法律が改正され、象たちは重労働から解放されました。

 法の網の目をかいくぐりヤミで働かせようとする人間には国際社会がきびしい罰を与えたので、重い鎖を引きずる痛々しいすがたは、まったく見られなくなりました。


 夜のジャングルで深い絶望と悲しみに暮れていた母さん象と、いまではその母さんと同じくらい大きくなった子どもの象も、細くてやさしげな目を三日月型に和ませ、象仲間や善良な人間たちと、痛くも苦しくもない歳月を穏やかに送っています。🥭




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