聞こえたのは『神の声』か、それとも──

選択の意味を問い直す将棋小説。プロ棋士を目指す主人公が、神頼みにすがりながらも、自らの限界と向き合っていく……人生そのものが描かれた力作です。

登場人物の思考や選択には、将棋界特有の緊張感とリアリティが宿っていて、作者の造詣の深さが随所に光っています。盤上の一手に込められた心理や、奨励会の空気感まで丁寧に描かれており、将棋を知る人にも、知らない人にも届く筆致です。

また、将棋を知らなくても、人生の岐路に立ち、重大な選択を迫られた際に『神の声』を願ったことがある人なら、きっと心に響くものがあるはず──ぜひご一読を。

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