第47話 ずっと一緒に。

 数日後にはリンの家族が拠点にやってきた。

 着いた時は、みんな唖然としていたらしい。

 リンの姿を見て、再度唖然としたらしい。

 ましろのおかげで、食糧は十分に確保できていたので、家族がきたら食べさせてあげてねと、言っておいたので、着いて早々に腹一杯食べてもらったようだ。

 その後は、身体を休めるために修理した家で休んでもらったとのこと。

 俺は、お昼に、挨拶しておいた。

 東は、土下座の文化があるようで、膝を突き出してタイミングで、慌ててとめて、リンの家族は俺の家族と同然だからと話しておいた。

 リンの家族は視線をリンへ向けていたが、袖で口を隠して微笑んでいた。


 また1週間程経つと、フィオナの家族が到着した。

 リンの家族同様のリアクションをしていたらしい。

 ただ、少し違ったのは、挨拶した時に、同じ様に言ったら、フィオナが腕を組んできて、こういうことだから安心しなと、言ったことだ。

 フィオナの家族は、みんな頷いていた。 

 うん、ま、それで安心するならいいんだけどね。


 拠点は数週間も経つと、人数も増えたことで、畑の拡張もすぐに終わり、家を建て替えたりする余裕も出てきたようだ。

 食糧は、ましろのおかげで、貯蓄も出来るほどに収穫できていた。

 少し落ち着いてきたタイミングで、ダンジョン組も拠点組も全員集めて、俺がこの世界の人間ではないことを打ち明け、そう遠くないうちに、アンナ、フィオナ、リンを向こうに連れていくことを話し、拠点には遊びに来れるからと説明した。

 フィオナとリンの家族は、それはめでたい! その時は宴を開きましょう! と盛り上がっていた。

 この話をした時、アンナもフィオナもリンもダンジョン組のみんなも笑顔だったので、俺も嬉しくなった。


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 半年ほど経過し、従魔の街にも変化があった。

 少しずつ街に訪れる人を増やしていったことだ。

 まずは、女性を優先してアプリを配布するとのことだ。

 その時は、従魔達と料理を作ることも触れ合いのひとつになるようで、俺の食事運搬もここで終了した。

 リリス達のお店も順調で、最近では、おじ様とジャズセッションして、好評を得ていた。

 

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 異世界組の家族が来てから、2年後。


 ダンジョンの攻略も50階層を超え、従魔達はそれぞれ強化進化していた。

 せっちゃんは、オリハルコンを取り込んで、並の攻撃では傷ひとつつかなくなり、オリハルコンの双剣で無双している。また分体創造のスキルも手に入れた。


 ラズは、属性付与も手に入れ、各種装備を量産してくれている。また身体成長というスキルも手に入れ、現在は高校生くらいの見た目になっている。

 

 トワさんは、闇魔法を手に入れ、拘束して闇魔法で撃破というスタイルも獲得した。そして、吸収制御というスキルも手に入れて、俺が触れてもリスポーンすることを制御できる様になった。


 桜は、進化して、ヴァンパイアロードになった。進化と同時に身体が成長し、20歳くらいになった。その時に、属性魔法を手に入れたようだ。今では、後衛としてダンジョン攻略に参加している。


 ましろは、エルフという種族特性なのかもしれないが、相変わらず、のんびりぐでぇっと過ごしている。俺たちがダンジョンに行っている時は、畑の桜の下でずっと寝ているようだ。トワさん、フィオナ、リンに甘えるのは今でも変わっていない。


 異世界組は、この機会に奴隷から解放の手続きをしたうえで、テイムすることになった。

 拠点では、盛大な宴が開かれた。

 宴の最後に、アンナ、フィオナ、リンが白無垢姿で現れた時は驚いた。

 驚いていると、ダンジョン組に手を引かれて、俺も紋付き袴に着替えさせられた。

 その後、部屋を追い出され、アンナ、フィオナ、リンが待つ広間へ。

 広間へ行くと、全員が正座して待っていた。

 誰も何も喋らずにいるので、オロオロしていると、俺が入ってきた扉が開かれ、ウェディングドレス姿になったトワさん、ラズ、桜、トワさんのアルビノバージョンの女性にお姫様抱っこされたましろが入ってきた。


「誰?」


『私です』


 と頭にいつもの声が響いた。

 トワさんアルビノバージョンはせっちゃんだった。

 どうやら分体創造の効果らしい。


 広間にいる全員が微笑んでいることから、俺以外はみんな知っていたらしい。


 何も準備していない俺は、もう何がなにやらでオロオロするばかりだったが、ラズに手を引かれ、あれよあれと場が整えられた。


 三々九度をみんなと行い(ましろはジュースだった)、ラズが用意したオリハルコンの指輪をみんなの左手薬指にはめたところで、アンナ、フィオナ、リンをテイムした。

 こっちの世界では禁忌の行いだが、みんな俺のことを知っているので、盛大に祝福され、シロとクロも遠吠えで祝ってくれた。

 そして、最後にみんなとキスをして宴が終わった。


 ダンジョン帰還を発動する時には、フィオナとリンの家族が最後まで笑顔で拍手して見送ってくれた。


 ダンジョンの部屋に戻ってくると、俺は気が抜けて、ぼーっとしてしまった。

 トワさんに抱っこされていたましろがスルスルとおりて、俺の前に来た。


「ん、眠い」


 と言って、俺の手をひき、畑へと連れて行かれた。


 時間は夜のはずだが、畑の空は快晴で温かかった。


 桜の木の下に着くと、コテンっと横になるましろ。

 俺は苦笑いして振り返ると、みんなが微笑んでいた。

 俺達は、そのまま桜の木の下に腰をおろした。

 みんなを見ると、幸せそうな表情をしていた。


「みんな、ありがとう。末永くよろしくお願いします」


 と言って頭をさげた。

 みんなも、こちらこそ末長くと言って頭を下げた。

 するとクスクスと笑い声が聞こえたので、なんだか恥ずかしくなって、仰向けに寝転んだ。


 舞い散る桜がとても綺麗に見える。


 これからも、みんなを大切にしていこうと誓い、瞼を閉じた。





———————————————


これにて完結でございます。

ここまで、お読みくださり誠にありがとうございます。

まさかこれほどの人達に読んでいただけるとは思っていませんでした。

今後も色々と書いていこうと思っております。

どこかで見かけた際は、チラッとでも見ていただけたら嬉しいです。

レビューしてくださった皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

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ダンジョンとダンジョンチューブ(仮) ヴィジラント @vigilant

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