サムライとエクソシスト

@hjkkssll

継承者 1

「コレにて我が流派全ての型を会得し、

お前を七代目継承者として正式に認める」


親父は息切れする俺にそう告げる。

10年間の厳しい修行の元俺は先祖代々受け継がれた技術。だが今の時代にそんな剣だのと古びた物を身につけた所で残りの学生生活で剣道部部長の俺が全国大会でその腕を披露する以外使い道など無いのだ。


「コレをお前に」


そう言って渡されたのは竹刀だった。一見普通の使い古された竹刀に見えるのだが手に持つと想像以上の重量が両手に乗っかる。

親父はそんな俺を見てゲラゲラと笑っていた。


「これからはその竹刀を常に持ち歩け、いづれ使う日が来るだろう」


なんか意味深な事を言われたが道場に似つかわしくない電子音が響く、コレは俺のスマホからの着信音だ。親友からの熱いラブコールである。


「やっと朝の稽古が終わるもう俺も来年は受験生なんだ親父もこれからまだまだ鍛錬が必要だって言うなよ」


「分かっておる、はよ支度して学校に行け」



俺は親友からのラブコールを受け身支度を済ませて学校に向かう。


我が親友は既に椅子に座りスマホを操作していたが前の席に荷物を置き俺が座るとニンマリと笑顔を浮かべた。


「聞いたか転校生の話」


「興味ない」


「相変わらずの剣道バカか、剣以外趣味はないのか?」


やれやれと言いながらスマホを再び操作し今度は俺に画面を見せてきた。そこには金髪長髪のシスター?の衣装をしているコスプレ写真を見せてきた。


「SNSやるのはいいけど、そういうの漁り続けるのはどうかと思うぞ」


「違うってこの子が転校生、今朝この服で校内歩いてたんだと」


「盗撮じゃん」


「べ、別に俺がやった訳じゃねーし」


はいはいとなだめると担任が教室に入ってきたと同時にチャイムが鳴る。

担任が開口一番「転校生を紹介する」ときたもんだ。クラスはざわつき俺は後ろに奴を見ると、な言った通りだろと顔に書いてある。


再び振り向くとそこには金髪のろりっこが立っていた。背が低いとはいえ140あるかないかぐらいだクラスの中でもダントツで小さいだろ。それに透き通るような白い肌に妖精のような顔立ち。


それからクラスを沈めたのは転校生の一言だった。それからは目まぐるしく時間が過ぎたが俺達は転校生とは特に関わりを持つ事がなく下校時間となっていた。


下駄箱では相変わらず一緒に引っ付いてきている。


「そんで楓はどうするんコレから」


なんとなく俺はいつの間にか七代目となった事を口にしていたらしい。


「去年は個人で優勝したし今年は丁度団体戦出られる人数いるしそれ出て引退かな」


「辞めちまうのか?」


「10年だぜやっと辞められるんだ、高校で彼女作るんだ、剣道なんてやってられるか」


「勿体ねぇ」


珍しいことを言うもんだ普段はヘラヘラとしているのにこんな時ばかり真面目になりやがって。


「別に嫌いじゃないなら続けてもいいんじゃないか?」


バツが悪そうにしているこんな感じは本当に初めてだった小学2年の頃からツルんできたが。


「まぁあと半年あるし、それに来年は受験だぜ、剣道ばかりに構ってられない」


口を窄めながらそうだなと頷きながら頭を縦に振り納得させていた。


喋りながら歩いていると校門にたどり着いた。


「そんじゃまた明日な」


俺たちは別れ帰路につく。


家に帰ると道場の方から声が聞こえた。

走って向かうとそこには親父と金髪ロリが言い合いをしていた。


「丁度いいこの子の相手をしてくれ」


「相手?」


それは剣でのなのかそれとも話なのかわからないまま俺は近づくとそこに立っていたのは転校生だった。


「私が命令しているのいいからこの家の秘宝マサムネを渡しなさい」


俺に向かって彼女は指を刺す。人差し指を真っ直ぐ向け俺を睨むが親父も呆れた表情だった。


「そもそもそんな秘宝ここにはないしそもそもそれってムラマサの事だろ確かそれって名古屋の方で補完されてるだろ」


「why?」


いや急に英語で喋られても。


「そんな筈は、確かにエリーゼからここにあるって」


ポケットから一枚の紙切れを取り出して俺に見せる。確かにこの家の住所だが、そもそもそんな名刀こんな場所にあるはずが無い。何と勘違いしてそんな嘘教えられたんだか。


「出直すわ」


髪をかきがげ彼女は帰って行った。一体何だったのやら。

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