随所から溢れる現実味に加え、爽快な読後感は感動的でもありました。
主人公はもりもりとキャラクターを描くデザイナーです。
おそらく現代には、それぞれの立場でここに描かれていることと同じような経験をされた方が既にそれなりに居るのでは、という気がします。
本格的なアポカリプスSF小説の始まりを思わせる冒頭。そこからの現実への動線がお見事です。はじめから最後まで読めば、更にその意味がよりしっくりくるはず。
もしかすると、くるくると巡る時間感覚を味わうような読書体験を経ることで、新たに1万時間を手に入れる方がぽつりぽつりと現れるかもしれません。
その時、貴方はどうしますか?
P.S.
オマージュとして登場するキャラクター名から一瞬でそのグラフィックイメージが浮かぶ瞬間があると思いますので、併せてお楽しみください。笑
グラフィックデザイナーとして社畜生活を送る主人公・凪。そんな彼女の前に天使が現れ、一万時間をプレゼントされることになったのはいいけれど……
翌日から始まったのは、一万時間分ループし続ける「金曜日」!!
どうせリセットされるからと、凪は仕事を休んで散財したり怠惰な生活を謳歌し始めるのですが……
好きで始めた創作活動なのに、楽しくない、辛いと感じてしまうこと、あると思います。
かつて自由な発想で絵を描くことが好きだった凪。
義務で押し付けられるデザインの仕事から解放された今、「自由」な時間の中で、何を見出すのでしょうか。
最終話に出てくる逸話に、胸を打たれました。
創作する人にとって、特に刺さる話だと思います。
静かに胸が熱くなり、清々しい読後感でした!