第36話 (宣伝もあるよ)「北魏馮太后」を観た話
カクヨムコンテストに「花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~」(https://kakuyomu.jp/works/16817330647645850625)を応募しました。カクコンは旧作には厳しい場であるのは百も承知ですが、小説家になろうの第11回ネット小説大賞にて、最終選考で落選したのが悔しすぎるので「またチャンスを!」の気持ちです。1万5千作品中の71作には残ったのだから、客観的にも面白さがあるていど担保されてると思います。
コンテスト期間中に番外編を追加するつもりでもあるので、(このエッセイをご覧の方はほとんど既読では、と思うのですが)この機会にお読みいただけると幸いです。
本稿で書いてきた京劇・中華の歴史や風俗を詰め込んだ中華後宮×演劇のエンタメ活劇、華やかさも爽快感も詰まっています。書籍三冊分くらいのボリュームがあるので年末年始のお供にも良いかと!
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強引に宣伝を挿入したところで、「魁国史后妃伝 ~その女、天地に仇を為す~」(https://kakuyomu.jp/works/16817330666693315522)の参考資料として視聴した中華ドラマ「北魏馮太后」の感想を述べていきます。
「北魏馮太后」、2006年作のテレビドラマ。全42話。
三代の皇帝の治世を見守り(そのうちひとりは、史実では殺したことになってるんですけどね)、政治に大いに影響を与えた女性の数奇な人生を描いたドラマ、ということです。軽く総括すると以下のような感じ。
北燕の皇族の流れを汲む名家馮家は、一族のひとりの敗戦・敵への投降の罪に連座する形で族滅される。ひとり難を逃れた
皇帝の孫である
寵愛争いや対立する者たちとの政争に明け暮れ、愛する者を多く失った
こうして圧縮しただけでも波乱万丈な人生で、ほぼ史実に則ったストーリーでここまでイベント盛りだくさんなのはさすが大陸! という感じがします。
さらには、この時代の有名人である
衣装・調度・建築等の描写の参考になれば、というのも視聴の動機のひとつだったのですが(もちろん考証については別途自分でも確認するとして)、さすが本場だけあって、かつWikiによると制作費用をかけただけあって豪華でしたね! 特に女性の衣裳や髪型、色鮮やかなだけでなく形もデコラティブで変化に富んでいて、かえって小説の描写としてそこまで書き込むのは難しかったりするくらいに眼福でした。
建物についても、しばしばフィクションのモデルにされる唐や明・清よりも前の時代、かつ遊牧民族をルーツに持つ国家ということで素朴さや質実剛健さを感じました。あと、この時代はまだ椅子に座る文化がないので、みんな床に座るスタイルなのが時代を感じますね。拙作でも一応それを前提にした描写にしております。
また、鮮卑族と漢族の違いがひと目で分かるのもこの時代のこの国ならではのことかと。
きっちり髪を結っている漢族に対して、鮮卑族は「胡族」らしく髪を降ろした人も結構いたし、袍衣と胡服などの衣服、冠の形も民族の違いを現していて面白かったです。(鮮卑族の皇族が、よくチョウチンアンコウを思わせるポンポン飾りのついた冠を着用していたのはいったい何だったのでしょう……たぶん考証もとがあるのでしょうが……)
ストーリー中においても、既得権益を握る鮮卑族と、改革を試みる漢族の対立が大きな軸のひとつとなっていましたね。この辺り、鮮卑族の皇族や王族はしきたりに囚われ私欲に囚われた頑迷な人々で、国の将来を思う漢族官僚が唱える改革案(もちろんヒロインの
先に読んでいた書籍だと「北魏の漢化政策とは従来の習俗のすべてを捨て去るわけではなく、複数の民族を統治する必要上、巧みに取り入れた方便であった」というような説明だったものですから……(前話参照)。このドラマが制作されたころはそういう漢族優位的な理解が主流だったのか、それとも中国のことだから「漢民族の文化は素晴らしい!」という方向にしなければならなかったりするの……? とちょっと悩んだりもしました。
なお、北魏史のざっくりした流れは頭に入れてから視聴に臨んだのですが、それでも最初は誰が誰だか分からなくてちょっと混乱しました。なぜなら字幕の人名表記がすべてピンイン準拠のカタカナだったから!
ヒロインの
ちなみに宗愛は太武帝(
フィクションの世界だと中華ものであっても鬚のない男性がほとんどですが、文化的には普通は鬚を蓄えるものですよね……。とはいえ、ドラマ中でも文成帝をはじめとしたヒーロー枠の男性登場人物は皆すっきりした顎まわりだったので「髭はむさい・美しくない」という概念は現代の日中両国に共通していそうな気がします。という発見でした。
そのほか魁国史后妃伝の執筆の予習としては、作品のテーマである「
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