お互いの恋人を交換。そんなことして、本当に無事にすむとでも思う?
- ★★★ Excellent!!!
高校2年の川原誠大と伊東咲良は恋人同士。そして、誠大の幼なじみと友人である、南伊織と橘遥輝も恋人同士。しかしある時、この2組のカップルの関係を揺るがす事態が起こります
なんと、ある時遥輝が、一時的にお互いの恋人を交換しようと持ちかけてきます。なんでも、あえて他の相手と付き合うことで、本来の彼女である伊織への気持ちを改めて確かめたいとのこと。
普通に考えれば、何を馬鹿なと一蹴するところ。しかし誠大はこれを了承。というのも、誠大は遥輝と伊織が付き合う前から、密かに伊織のことが好きだったのでした。
もちろん、今の彼女である咲良が嫌いなわけではありません。恋人交換したところで、今さら伊織と本気でどうにかなると思っているわけでもありません。
ただ、期間限定でそういうことをするのに、心惹かれてしまいました。
けど、こんなことして本当に大丈夫? 交換している間に、取り返しのつかないことになったりしない?
読者としてはそんな不安を抱きながらも始まる恋人交換ですが、続きを読んでみると、想像以上に大変なことになってしまうかも。
実はこのレビューを書いている時点では、それぞれの関係が決定的に壊れるような何かが起きているわけではありません。
ですが、ふとしたことで感じる不安や動揺。自分の知らないところで友人や本来の彼女が何かしているのではないかという疑心暗鬼。それらが少しずつ積み重なっていくことで、不思議な緊張感が生まれます。
誠大には悪いのですが、この恋人交換、とても穏やかな形で終わる気がしないのですよね。
積み重なったそれらが崩れる時は来るのか。そして、その時何が起こるのか。
奇妙な提案を受けてしまった代償は、想像を大きく超える形で支払わなければならないのかもしれません。