ボールを蹴る。ただそれだけなのに、こんなにも物語が生まれる。

 主人公はその日、テレビでサッカーの試合を見ていた。特にサッカーが好きだったわけではない。サッカー好きは、父親の方だった。ところが、そのサッカーの試合を見ていた主人公は、ある選手のプレーに釘付けになり、心を鷲掴みにされてしまう。ここから、主人公のサッカー熱はぐんぐん上昇して行く。
 女子中学生になった主人公には、麺好きで優等生の友人がいた。主人公はサッカー部の門を叩き、友人と共にサッカー部のマネージャーになる。その部にいたのは個性豊かな面々だった。
 さて、主人公が憧れた選手はどうしていたのか。その選手はあることがきっかけで、荒んだ気持ちになっていた。そして功利主義的な女性から目をつけられ、彼の人生は大きく変わっていくことになる。
 しかし、消して交わるはずのなかった二人の人生が交差する時、奇跡が起こるように思われたのだが――。

 サッカーやフットサルの知識がなくても、作中の説明が分かりやすく、読み進めることが出来ました。また、サッカーの試合の描写は、まるで映像を見ているように巧く、臨場感があり、とても楽しく拝読しました。
 前向きで明るく、元気な主人公に励まされる一作です。

 是非、御一読下さい。

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