お知らせ(※暴力、少しのグロ描写あり)

 その日は何もかも上手うまくいかず些細ささいなことにでも腹が立つ、そんな日だった。

俺は一服いっぷくしようと通りがかった団地に設置してあるベンチに座り、タバコを取り出し火をつけた。

イラつきながらあたりを見回しているとベンチの横の貼り紙に目がとまる。


 『ゴミの出し方!!

   燃えるゴミに燃えないゴミが

   混ざっていました。

  燃えるゴミは月曜日、

  木曜日です!!!』


その書き方に妙に腹が立ってしまい、

吸っていたタバコを投げ捨てた。

立ち上がり、貼り紙を乱暴にがし、ビリビリに破いて地面に落ちた紙を何度何度も踏みつけいかりをぶつけた。

どのくらいそうしていただろうか。

俺は少し気持ちがスッキリしてその場を後にした。


 数日後のことだった。

仕事帰りにタバコが吸いたくなりこの前の団地を思い出す。

あそこなら屋根もあるし座ってゆっくり

タバコが吸える。

ベンチに座ろうとした時、ふと貼り紙に目がいった。


 『ゴミの出し方!!!

   ポイ捨て禁止!!

  ゴミは各自かくじ持ち帰ってく

  ださい!!』


その文章とともに俺が投げ捨てたタバコの写真が載せられている。

カッとなり紙を引きちぎり破り捨てて

やった。


 それからなぜか貼り紙が気になりあの

団地へ足を向けるようになった。

正直、馬鹿だなと思う。

あんなのいちいち気にしなきゃいいのに。


 『ゴミの出し方!!!!

   ゴミを捨てる場所は守ってくだ

   さい!!!』


この前、俺がビリビリに破り捨てた貼り紙の写真とともにその文章は書いてあった。

何だか楽しくなってきてしまった。

俺が何かすると反応がかえってくる。

笑いながら紙を剥がす。

もちろんそれも丁寧にバラバラにして

やった。


 今日は仕事がなかなか終わらず団地に来るのが遅くなってしまった。

あたりはすっかり暗くなっていて

人もいない。

まあいいや、好都合だ。

さて、今度はどんなことが書かれている

のかな?

いつものように文章を読む。


『ここに貼ってあった紙を破いた人へ。

  どのような意図いとがありそのようなこを

  したのか知りませんが、

 露骨な嫌がらせはやめていただきたい。

  掃除、

 する身にもなってください』


何だこれ?

いつもと違うな。

しかもなんか文章がおかしいぞ。

まじまじと見て頭をひねる。

 その時、背中に気配を感じた。

振り向いたときにはにぶい痛みと地面の冷たい感触が肌に伝わってきていた。

俺は何度も何度も殴られている。

殴っている人間は一人ではないようだ。

複数人で手にスコップや金槌かなづちなどを持ち執拗しつように攻撃してくる。

意識が遠くなっていく…

朦朧もうろうとした頭で貼り紙を見つめ気がついた。


そうか…

そういう意味だったのか…


理解した直後に俺は死んだ。


 『ゴミの出し方!!

   生ゴミは、市が指定しているゴミ袋

  で出すこと!!』


透明だったであろうビニール袋がゴミ捨て場に置いてある。

その袋には無数のはえがたかっており赤黒い液体で汚れ、体育座りのような体勢で地面に横たわっている肉のかたまりが入っているのが見えた。



※解釈

『ここに貼ってあった紙を破いた人へ。

  どのような意図がありそのようなこを

  したのか知りませんが、

 露骨な嫌がらせはやめていただきたい。

  掃除、

 する身にもなってください』

 

 ↓

 ↓

 

 こ

 露

 す → 『殺す』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪文 梅田 乙矢 @otoya_umeda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ