第18話_ギルドマスター

ミアと名のり、自分が団長だという少女は年齢にして十五歳前後だろうか。プラチナブロンドの髪が太陽光を浴びてキラキラと輝いている。

この一見華奢な少女がギルドの団長?


「おや、信じてはくれぬか。いや、困惑しておるだけじゃな」


ミアはうんうんと頷く。

「まあ、わしはこう見えて300歳ぐらいでな。訳あって不老不死なのじゃ」


ロ、ロリババアだ!しかも「のじゃロリ」だ!まさか実在するとは……いや、実在はしてないのか?


「……なんか、失礼なことを考えておらぬか?」


ミアが怪訝そうな顔で言うので、僕は慌てて首を振った。


「まあ、よいじゃろ。今日から採用じゃ。期待しておるぞ、米俵丸太郎」


  [ギルド:太陽騎士団に入会した]


ポップアップメッセージが表示されたので、確かに採用されたようだ。

また名前変えるの忘れてたけど、なんかこれはこれでいい気もしてきたぞ。

ちょっと気に入ってきている僕がいる。


とりあえずギルドに入れたらしい。僕何もしてないけど。

審査とか言われたから身構えてしまったが、形式的なものだったのか。

とりあえず一安心。


「いや、ちゃんと審査はしたぞ。わしは慧眼(EX)のスキルを持っとる。見るだけで全てわかるんじゃ。お主の心もな……」


いやいや、そんなことあるわけ……あれ?

違和感に気づく。

彼女はどんなに作りこまれたキャラであっても所詮はNPC。プレイヤーである僕とはシステムコマンド以外で会話できないし、そもそも僕は喋っていない。

にも拘わらず、会話が成立している。というより先読みされている?


心が読めるのか?本当に?


「ふふふ。冗談じゃ。心までは見えぬ。いやあ、ビビらせてしまって申し訳なかった。すまんすまん。ははは」

ミアは楽しそうに笑った。


……今のも読まれた気がする。

うーん流石ギルドマスターで300歳。底が見えない。


「さて、それじゃあわしは読書に戻るぞ。あとは頼んだよ、フレッタ君」

「はーい。ではこちらにどうぞー」

いつの間にか背後に現れた先ほどの受付嬢…フレッタさんに連れられて僕はギルドマスターの部屋を出た。

最後に振り返ると部屋はまた真っ暗に戻っており、すぐに扉は閉まった。

うーん不思議な人だ。


「それにしても、即採用なんて、あなた凄いのね!」

受付のカウンターまで戻ってくると、フレッタさんは耳をピコピコ動かしながら言った。

「期待してるわよ。えっと仲間が欲しいんでしたっけ?」

  

  [そうだ]

  [違う]


もちろん[そうだ]を選ぶ。


「そうねぇ。あなたは魔導士だから相棒は戦士とかがおススメね。これが今登録している人たちの名簿よ」


目の前に本が置かれたので、開いてみると、顔写真付きの名簿となっていた。職業と簡易的なステータス表記もある。


パラパラ見てみるが、今選べるのは10人ほどのようだ。

その中で前衛ができるのは……剣士ぐらいかな。

他には弓兵や回復術師、魔導士などがいるようだが、魔導士は僕で十分だ。


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エクストラ・アース/ゼロ 浅川さん @asakawa3

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