第17話_ギルド:太陽騎士団
奥にカウンターが見えた。あれが受付だろうか。そこには頭頂部に動物の耳が生えている女性が座っていた。あれは何耳だ?犬?狸?
僕が近づくと気が付いた受付嬢が挨拶した。
「あら、こんにちは。ギルドカードはお持ちですか」
喋るたびに耳がぴょこぴょこ動く。なかなか芸が細かい。
[持っていない]
[立ち去る]
立ち去るには早い。
「新規の方でしたか。ギルド
[クエストを依頼したい]
[クエストを受注したい]
[入団したい]
[仲間を探している]
[何でもない]
こちらからクエストの依頼をすることもできるようだ。ただし、報酬の支払いが発生するはずなので、これはある程度お金持ちになってからかな。
僕はとりあえず[仲間を探している]を選択した。
「はい、こちらは一時的な契約をお望みですか?それとも永続的な契約をご希望ですか?永続的な契約をご希望の場合は入団していただく必要があります」
なるほど、金で傭兵を雇うような使い方もできるのか。でも今欲しいのは傭兵ではなく仲間だ。
僕は[入団したい]を選んだ。
「かしこまりました。入団には審査があります。別室で行いますのでついてきてください」
「え、今から?」
なんだろう、学力試験は自信ないぞ。
受付嬢は階段を上って奥の方へと歩いていく。
通路の先には頑丈そうな扉があり、扉にもこのギルドの紋章と同じマークが描かれている。どうやらギルドマスターの部屋のようだ。
「マスター、入団希望者をお連れしました」
受付嬢が扉の外から声をかけると、静かに扉が少し開いた。
「ではこちらへどうぞ」
もう扉を開けるよう、手で促される。ここまで来てしまうと引き返すのもなんだし、入団しないことには仲間増えないし。僕は恐る恐る部屋の中に入った。
室内は思ったよりも広く、薄暗かった。カーテンが閉め切られているせいだ。
壁際には本棚が並び、あふれた本が床に積まれている。
図書館みたいだと思った。
部屋の奥には重厚なデスクが置かれており、誰かがこちらに背を向けて座っていた。
少しためてからその人物は喋り始めた。
「……君はどうやら別の世界から来たようじゃな」
僕が黙っているとそのまま話し続ける。
「魔導士、なるほど。素質もある。しかし経験が浅い」
うーん。もう少しプレイしてからじゃないとダメなパターンかな……
「………でも採用じゃ……」
……採用じゃ?
突如、一斉にカーテンが開いて光が差し込む。
「あああ、やはり太陽は最高じゃ!」
僕が眩しさで目を細めていると椅子がくるりと回転しこちらを向いた。
そこに座っていたのは、一人の少女だった。
「わしがマスターのミア・フォン・アルヴァリアじゃ。団長もしくはマスターと呼ぶがいい」
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