第16話_ギルド

なんかお腹すいたな。食事もできたりするのかな?

近くのお店を見てみると果物を売っていた。

「いらっしゃい。どれにしますか?」

 

  [HP回復のリンゴ:銅2]

  [MP回復のバナナ:銅2]


グラフィック的には様々な果物があるが、システム的には2種類しかないようだ。とりあえず一つずつ購入した。


さっそくリンゴをかじってみた。ガボリとかぶりつくと体のダメージが回復していくのを感じる。ちなみに味は全くしない。味覚を再現してしまうと、痛覚と同様に悪用できてしまうのと、リアルの食事を忘れる人がいるからだそうだ。


そしてリンゴは一口で消失した。あまりに唐突に消えたので最初は落としたのかと思ったが、こういう仕様のようだ。まあ、味のしないリンゴをまるまる一個食べるのも大変そうだしな。

バナナも同様だった。


なるほどね。でもせっかく色々な店があるのだから味わってみたかったなぁ。


とりあえず、多少ステータス的には元気になったので、街を見て回ることにした。ここに来た理由はクエスト探し、移動手段の発見、杖の素材探しの3つだ。

うーんでもどうやって探すかな。

・・・・・・・・・あ、そうか。NPCに聞けばよいのだ。リアルすぎて忘れがちだが、これはゲーム。RPGでわからないことがあればとりあえずNPCに聞きまくるのは鉄則だ。


それから僕は道行くNPCにとにかく話しかけてみた。それぞれのキャラがしっかり設定されていて凄いなと思ったが、ビジュアルは特定のパターンからランダムのようで、なんだか似通った顔つきが多い。モブって感じがわかりやすくて良いけどね。


そして、聞き込みをした結果、どうやら飛行船の発着所があるらしいことがわかった。行き先固定の定期便らしく、離れた街まで行けるようだが行き先は分からなかった。後で見に行ってみよう。


またこの街には冒険者ギルドもあるらしい。

僕が魔法使い風のモブに話しかけると、

「おや、魔導師様どうされました?」 

  

  [この街のことが知りたい]

  [なんでもない]


もちろん上を選ぶ。


「旅の魔導師様でしたか。見たところお一人のようですね。冒険者ギルドには行かれましたか?あそこなら旅の仲間やクエストの情報収集に最適ですよ。この道を進んだ先にあるのでよってみては?」


仲間かぁ。確かに仲間欲しいなとは思ってたんだよなぁ。魔導師って結局のところ、後衛の職業だからな。やはり前衛職とパーティを組まないと立ち回りが難しい。


というわけで、とりあえずギルドに行ってみることにした。こういうファンタジー世界ならやっぱりギルドは行ってみたいよな。憧れに近いものがある。

しばらく行くと白くて立派な建物が見えてきた。建物の前には門があって紋章がついている。

これがギルドか。入っていいのかな?

鉄製の門を押すと、簡単に開いた。

木製の立派な扉を押し開けると、そこは広いホールのようになっていた。椅子とテーブルが並んでいて、酒場のようにも見える。

実際、食事もできるようで、木製のジョッキや料理を運ぶウェイトレスもいた。

天井からは大きな旗がいくつも垂れ下がり、そこには紋章が刺繍されている。

「すげー・・・・・・」

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