概要
そうしてふたりの物語は、ようやく始まったというわけでした
とある双子の姉妹が、ふたりならんで仲良くしにました。
外に出てはいけない、と母親にきつく言い渡された家のなかで、しかしいつまで待っても誰も帰ってこなかったのです。電気もガスも水道も止まった真冬の部屋で、生きるために二人にできることといえば、互いに寄り添うことぐらいでした。
一体それ以外に何ができたでしょうか。
母親の言いつけを破ることなど考えられません。玄関のドアを開いて外に助けを呼ぶなんて想像もつきません。母親と自分と自分によく似たもうひとり。外からは小さく見えても、姉妹にとってはその世界がすべてなのです。
すべてなのでした。
「――やれやれ」
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