第6章

研究所倉庫


ヴィルガ「警備がいない!?」

「罠か?」

「俺を誘き寄せるための」

「WoFは...まだ起動していないな」

「ふっ...これが最後の一仕事か」

「少し一服してから行くか」


すぅー[電子タバコを吸う]

はぁー[電子タバコを吐く]

ヴィルガ「よし、最高の調子(ベストコンディション)だ」


無線を入れる


ヴィルガ「これより最後の仕上げにかかる」


無線を切る


ヴィルガ「多分罠なんだろうが警備が居ないとういうことはあのパスコードを入力出来るな」

「試してみるか」



WoFに近づく


ヴィルガ「本当に誰も居ないんだな...」


WoFの搭乗席に入る


ヴィルガ「これか自爆コードを入れる基盤は」


カタカタカタ[入力音]


ヴィルガ「こんなあっさり行くとはな」


ポチ[入力終了音]


WoFが起動します[アナウンス]


ヴィルガ「なんだと!?」

「WoFが起動した!?」


WoFから降りる


デイビッド「感謝するぞ!兄弟!!」

「俺達はWoFの起動コードを知らなくてな!」


ヴィルガ「なに!?」

「騙されたのか!」


デイビッド「そうだ!お前は騙されたんだよ!」

「その顔だ!その顔が見たかったんだ!」

「残念だったな!ジャック!」

「ハッハッハッ!」


無線が入る


ヴィルガ「エアか」


エア「ヴィルガ...ごめんなさい」

「私が教えたのは自爆コードじゃなくて本当はWoFを起動させるコードなの」


ヴィルガ「君は!君はあいつの味方なのか!!?」


エア「いいえ、それは違うわ」


ヴィルガ「じゃあ何故あいつに加担するような事をしたんだ!?」

「あの話は嘘なのか!?」

「あの涙も過去の話も!」


エア「それは本当の事よ...」

「けど、あの時はあーするしか無かったの!」

「あれが"正しい道"だと思ったの!!」

「私は弟を人質にされていたの!」

「あなたには言って無かったけど」

「あの子のナノチップには大量のウィルスが用意されているの...」

「もし私が裏切ったら弟は殺されてしまう」

「けど、ヤツはテスタ・コルポは条件を付けてきたの」

「弟シャハト・ローレンスを助けたかったら」

「この基地に潜入しているやつを引っ張りだしてこい」

「そしたらお前の弟を解放してやる。って」


ヴィルガ「全てあいつの手の内だったのか!」

「クソッ!まあ仕方ない」

「これは俺達の戦いだ」

「本当に君達姉弟を巻き込んですまない」


エア「大丈夫よ...」

「私こそごめんなさい」

「騙してしまって」

「けど、今の私はあなたの味方よ」

「多分だけどヤツの狙いはあなたよ!ヴィルガ」

「わざわざ私に起動コードを入力させなかったという事は」

「WoFの起動それと同時にあなたを始末することなの」

「だから絶対に死なないでね!」

「あなたには私とシャハトが付いてるわ」


ヴィルガ「ふっ、そうか」

「俺の方こそすまないな。疑ってしまって」

「スウィットのことは俺たちに任せろ」

「うちには腕利きの医療班がいるんだ」

「心配するな」

「で、例の"アレ"についてだが...本当か?」


エア「ふふ、本当よ」

「やる気なのね」


ヴィルガ「ああ、勿論だ」

「君達をここまで苦しませたんだ」

「その報いを受けてもらわないとな」


無線を切る


ヴィルガ「デイビッド!!」

「最後の戦い(クライマックス)と行こうか!」


デイビッド「そうかそうか」

「話は済んだようだな」


ヴィルガ「ああ」

「その前に、約束通りシャハト博士のウィルスを消してもらおうか」


デイビッド「ああ、良いだろう」

「もう奴らは用済みだからな」

「解放してやる」

「だか、しかし!」

「ここから逃げれたらの話だがな!!」


WoFに搭乗する


デイビッド「お望み通り叶えてやる!!3年前の決着をここでつけてやろう!」


WoF戦 開始

WoF戦 終了


デイビッド「クソッ!」

「何故だ!何故動かん!」


ヴィルガ「終わりだよテスタ・コルポ」

「いやデイビッド」


デイビッド「なんだと!?」


ヴィルガ「珍しいなお前がそんなに慌てるなんてな」


デイビッド「!?」

「ふ、ふふ、ふははははは」

「なーんてな」


ヴィルガ「まだ何かあるのか!?」


デイビッド「それは安心しろ」

「もうこの人工島にはこれと同じ核兵器はない」


WoFから降りる


デイビッド「が、この核兵器の『始祖の知恵』のデータが入ったチップがある」

「これがどういう意味か分かるか?」


ヴィルガ「!?」


デイビッド「そうだ!いつでも俺達はあの核兵器を量産出来るということだ!」

「もう忌々しい姉弟の手を借りずともな」


ヴィルガ「そのチップはどこにあるんだ?!!」


デイビッド「馬鹿かお前は?そんな易々と答えるはずが無いだろう?」

「だが、これだけ教えてやる」

「あのチップ『始祖の知恵』には俺達と同じ"呪い"のようなモノを感じた」

「ジャック!!」

「いずれまたお前の前に現れるだろう!」

「その時が来るまでお前は大人しく待っていろ」


ヴィルガ「なるほど。それは良いな」

「向こうからやって来る訳か」

「面白い...そんな物俺が全部まとめてぶっ壊してやる!」


デイビッド「ははははは!!」

「流石は俺が唯一認めた男だ!」


ヴィルガ「?急にどうしたんだ?!」


デイビッド「お前は知らないだろうな」

「俺達『神に選ばれた異才達(HEX)』の本当の姿をな」


ヴィルガ「!?お前も知っているのか!」

「あの計画の事を!」


デイビッド「ふん、反応を見るに」

「ナゾ・リングア...いやオブザレヴから聞いたな」


ヴィルガ「ああ」

「だが、何故俺達と同じHEXが知っているんだ?」


デイビッド「これは"Aのコード"と"Bのコード"しか知らない」

「いわば1位と2位の特権の様なものだ」


ヴィルガ「俺達下位には関係ないと?家族だったのに」


デイビッド「昔はな」

「だが!今は違う!!」

「何故ならお前が--ッ!!」

「あ、ぐぁ!あぁぁ!」

「急に...!なんだ!!」


???「おっとデイビッド様少々お喋りが過ぎますよ」


ヴィルガ「この声は!?」

「オブザレヴ!」

(だが、何処にいるんだ?)


オブザレヴ「失礼しました」

「今貴方様方のナノチップに干渉させていただております」

「簡単に言うとジャック様の脳に直接私の言葉を送っているという仕掛けです」


ヴィルガ「"高みの見物"ってわけか!」


オブザレヴ「いえいえ、私はそれが"仕事"ですから」

「そのような事を言われても困ります」

「そうそう、今し方デイビッド様には脳に負荷を掛けさせてもらっています」

「色々と喋って貰っては計画に支障をきたしてしまいますからね」


デイビッド「分かった...今すぐ止めろ!オブザレヴ!!」


オブザレヴ「分かりました。デイビッド様」


デイビッド「はあ...はあ...」


オブザレヴ「今後とも計画のことは他言無用でお願いしますね」

「それではデイビッド様、ジャック様ごきげんよう」


デイビッド「はあ...」

「こんな感じに...俺達は管理...されているんだ」


ヴィルガ「・・・」


デイビッド「まあ、そういう事だ...っと」

「秘密を知りたければ俺を倒すんだな」

「ジャック・F・エバース!!」


ヴィルガ「言われなくてもな!」

「お前には色々と聞きたいことがあるからな!」


デイビッド「良いだろう俺を倒してみろ!兄弟!!」

「真剣勝負と行こうじゃないか!!!」


デイビッド(テスタ・コルポ)戦 開始

デイビッド(テスタ・コルポ)戦 終了


デイビッド「ぐはっ!」


ヴィルガ「うぐっ!」


ヴィルガ・デイビッド「「はあはあ...」」


デイビッド「流石は...俺が見込んだ兄弟だ...」バタンッ


ヴィルガ「約束通り...教えて貰うぞ...」


デイビッド「はぁ...はぁ...」

「何が聞きたい?何が知りたい?」


ヴィルガ「オブザレヴについてだ」


デイビッド「良いだろう教えてやる」

「・・・」


ヴィルガ「どうした?」


デイビッド「俺の脳に負荷が掛からないという事は教えても良いと言う事だな」

デイビッド「オブザレヴとは俺達HEXの"監視役(観測者)"だ」

「そして『新たなる天地創造計画』の立案者でもある」


ヴィルガ「なにっ!?」


デイビッド「奴、オブザレヴはレリオットの暗殺を企てた張本人だ」

「お前もうすうす勘づいていたはずだ」

「レリオットの死亡と奴らの計画についてな」


ヴィルガ「ああ...」


デイビッド「オブザレヴは、俺達を使って新人類という名の"神"を作る計画を立てたんだ。秘密裏にな」

「それがこの"呪い(HEX)"の始まり(始祖)だった」

「疑問には思わなかったか?何故俺達が選ばれたのか」

「理由はごく普通の事だった」

「俺達には身寄りという存在がいないかった分。実験体として色々と都合が良かったんだろう」

「科学者からしたら俺達は最高の実験体(モルモット)だったんだからな」

「しかし、その計画に邪魔が入ったんだ」

「全ての数値・情報を改竄されてな」

「その計画は、軍の者にも悟られること無く秘密裏に計画していたはずだった。」

「それなのに全ての俺達の情報が改竄されていた」

「それを目の当たりにしたオブザレヴは怒りと憎悪、同時に愉悦を感じたと言っていた」

「その後オブザレヴは情報を改竄した人物を追跡しながら計画を完全に修正していった」

「数日後、追跡が終わり改竄した人物が発覚した」

「その改竄した人物がレリオットだったんだ」

「まあ、あいつ(レリオット)からしたら俺達は息子の様な存在だったからな」

「俺達を守りたかったんだろう」

「あの馬鹿は...」

「そしてオブザレヴはレリオットの暗殺を提案した」

「改竄された日から数日が経ち、暗殺が実行された」

「レリオットは不慮の事故に装った暗殺によって死亡した」

「邪魔者を消したオブザレヴは遺体を抱えて俺達の前に現れた」

「新しい"保護者(創始者)"になるべくな」

「それからはお前も知っている通り俺達は実験漬けの日々が始まったわけだ」

「あいつが、オブザレヴがこの物語の黒幕だ」

ヴィルガ「なるほど」

「あいつが全ての元凶だったわけか」


デイビッド「そうだ」

「俺達HEXを"管理(観測者)"している」

「昔も今も、そしてこれからもな」


ヴィルガ「・・・」

「『始祖の知恵』を渡してもらうぞ」

「あとお前の身柄を拘束する」


デイビッド「殺さなくて良いのか?」

「俺を殺すのが目的じゃなかったのか?」

「なぜ殺さない?」


ヴィルガ「元々俺の目的はお前の身柄を拘束することだ」

「あと、お前からは聞きたいことが出来た」

「なおさら殺すよりも利用した方が良いと思ってな」


デイビッド「ふん、馬鹿馬鹿しい」


ヴィルガ「立て、デイビッド」


デイビッド「怪我人には丁重に扱えと習ったろ」

「あのバカ親父に」

立ち上がるデイビッド。


バンッ![銃声]


デイビッド「っ!!」

「ま…さか」

銃に撃たれるデイビッドが倒れる。


ヴィルガ「!?」

銃声の方に銃を向ける。

「お前は!?」

「ポルソ・オッキオ!」

「どうしてここに!?」


ポルソ「シェエラティプシート(愚問だな)」

「見て分からないか?」

「ジャック・F・エバース」

「いや、"異端者"よ」

「俺はその男を始末しに来たんだ」


ヴィルガ「なんだと!?」


ポルソ「あと、俺の名前はポルソ・オッキオではない」

「俺の名は、ジョセフ(神候補)・ケレット」

「お前達(HEX)と同じ"呪い持ち"だよ!」


ポチ[ボタンを押す音]

ダァァン[何処かで爆発する音]

グラグラグラグラ[島が揺れる音]


ヴィルガ「何をした!」


ジョセフ「ああ、これか?」

「これはこの人工島を沈める爆弾のリモコンだよ」


ヴィルガ「!?」


ジョセフ「この島はもって30分だな」


ヴィルガ「あた方も無く消すつもりか!」


ジョセフ「良いのか?そんな喋っている時間は無いぞ?」


ヴィルガ「ッ!」

「・・・」

脱出路を探すヴィルガ。


ジョセフ「俺が逃がすと思うか?」

バァン!と銃声がなる。


ヴィルガ「クソ…」

「いいさ。10分で片をつけてやる」


ジョセフ・ケレット戦 開始


ジョセフ・ケレット戦 終了


ジョセフ「流石は"Fのコード"を持つ男だ」

「今のお前の力量はこんなものか」

「少し期待していたんだがな…がっかりだよ」


ヴィルガ「はぁ…はぁ…」

(こいつ…隠していたのか)

(デイビッド以上の強さだ…)


ヴィルガ「お前確か俺達(HEX)と同じと言ったな?」


ジョセフ「そうだが?」

「それがどうした?」


ヴィルガ「確かにお前からは俺達と同じ匂い(呪い)がしてな」

「またお前とは何処かで会うことになりそうだ!」

「その時は--」


ガタァン![建物が崩れ落ちる音]


ジョセフ「良いだろう」

「ジャック・F・エバース(異端者)」

「このジョセフ・ケレット(候補者)」

「必ずお前を討ち取ると約束しよう...」


研究所


大佐から無線が入る


大佐「無事任務は成功したようだな」


ヴィルガ「ああ、だが大佐」

「非常にまずいことになった」


大佐「大丈夫だ。私の指示を聞けば君は必ず生き残れる」

「ヴィルガ。君がこの人工島に向けて発射されたポッドを覚えているか?」


ヴィルガ「ああ、覚えている」


大佐「そのポッドには発信機が付いていてな」

「君がそのポッドに乗れば後で我々が君を回収する事が出来る」

「幸いにもあのポッドはとても丈夫だ」

「魚雷に撃たれない限り壊れることはない」

「すでに君のデータにポッドの場所を送っておいた」


ヴィルガ「助かるな」

「流石大佐だ」


大佐「当たり前だ」

「私を誰だと思っているんだ?」

「とりあえず、君は生きて帰って来るんだ」

「ローレンス姉弟はもうこの人工島から脱出している」

「あとは君だけだ」

「BADENDだけはやめてくれよ」


ヴィルガ「勿論だ」

「必ず生きて帰る」


人工島脱出



ヴィルガ「なに!?」

「あの民間人達...」

「全てアンドロイドだったのか!?」

「・・・」

「ふっ、なるほど」

「デイビッドのことだ」

「これを世界にばらまいて多発テロを引きこそうとしたところか…」


グラ[人工島が傾く]


ヴィルガ「っと!」

「沈むまでもう時間が無いか!」

「よし、ポッドまであともう少しだ」

「急ごう」


浜辺


ヴィルガ「はあ...はあ...」

「これで、ようやく終わるんだな」


ガチャ[開ける音]


ブロロロ[船の音]


ヴィルガ「?」

「あれはジョセフ・ケレット?」

「あいつも脱出したのか」

「悪運の強い奴め」

「?あれは...!?」

「デイビッド!?」

「どう--」


グラグラ[揺れる音]


ヴィルガ「まずい!」


ポッドに入る

ガチャ[閉める音]


ヴィルガ「よし...」

「ジョセフ・ケレット」

「あいつもオブザレヴに狂わされた男の1人」

「・・・?」

「待て、何故オブザレヴと同じ部隊に居たんだ?」

「奴は知っているのか?」

「いや、知っているはずだ」

「俺の事を"異端者"と呼んでいた」

「あいつも何かあるのか?」

「"コード(役割)"というのが...」


ダーンッ![ポッドと何かが衝突する音]


ヴィルガ「ぐぁっ!?」

「・・・」

気を失う


昔の記憶

レリオット「ジャック...」

「またデイビッドと喧嘩したのか」


ジャック「だって、あいつが俺の物を横取りしたんだ!」

「悪いのはあいつだ!俺は悪くない!」


レリオット「そうか...」

「後でデイビッドにも言っておかなきゃな」

「けどな、ジャック喧嘩はしちゃダメだ」

「暴力なんて以ての外だ」

「俺達には"言葉"があるんだ」

「もしジャックがデイビッドに暴力を振るったなら」

「俺はお前を叱る。逆の場合でもな」

「けど、ちゃんと自分の意志を己の"言葉"で伝える事が出来たらジャックお前は一人前の男だ」

「分かったか?」


ジャック「う、うん」


レリオット「んじゃ早速!デイビッドと仲直りするか!」

「行くぞ!ジャック!」


ジャック「ちょっと!待ってよ!」


目を覚ます


ヴィルガ「レリオット...」


???「!?」

「ヴィルガ!」


ヴィルガ「ん…ここは?どこだ?」


???「ここはアメリカの軍事病棟だよ!」


ヴィルガ「...スウィット」


スウィット「心配したんだよ!君がポッドの中で気を失ってから10日が経ってるんだ!」

「ヴィルガが...うぅ...っく...」


ヴィルガ「心配かけてすまなかったな」

「ところでなんでここ(アメリカ)にスウィットが居るんだ?」

「お前の姉さんはどうしたんだ?」


スウィット「...んっ。いきなり目覚めて質問攻めかい?」

「まずは感動の再会だろ?...っく」涙を拭く

「全く忙しい人だよヴィルガは」

「僕達は今ウィリアム大佐に保護させてもらってるんだ」

「条件付きだけどね」

「保護させてもらう代わりにお前達2人には研究所の仕事を手伝ってくれってね」


ヴィルガ「大佐らしいな」


スウィット「そこに姉さんも居るんだ」

「今の姉さんはすごいイキイキしてるよ」

「あんな姉さんを見るのは久しぶりだよ」

「これも全部ヴィルガのお陰さ」

「ありがとね。ヴィルガ」


ヴィルガ「あ、ああ...」


スウィット「どうしたんだい?」

「そんな重たい表情してまだ身体が痛むのかい?」


ヴィルガ「いや...」

「そうじゃなくてな」

「あの計画について考えていたんだ」


スウィット「え?」

「あの計画は終わったはずだろ?」

「確か『新たなる地創造計画』だったよね?」

「でも、あの計画が終わったからこうして今ヴィルガが居るんだよね?」

「?もしかして...ヴィルガにも知らない隠された計画内容があったってこと?」


ヴィルガ「ああ、そうだ」

「スウィットは話が早くて助かるな」

「確かにあの計画は終わった」

「いや、正確に言うと終わったように見せていた。の方があってるな」

「裏でまだその計画は今も続いている」

「現にジョセフ・ケレットという男に会った」


スウィット「ジョセフ・ケレット?誰だいその人?」


ヴィルガ「ポルソ・オッキオだ」

「テスタ・コルポの右腕のな」


スウィット「なんだって!?」


ヴィルガ「奴もまた『新たなる天地創造計画』のメンバーだったんだ」

「それに俺よりも計画について詳しかった」

「まだまだ俺達の"呪い"は続くかもしれない」

「また"長い時間"に囚われそうだ...」

「ジョセフ・ケレット、オブザレヴ・フィクス」

「この2人が居る限りな」


スウィット「そんな事が...」

「・・・」

「でも!ヴィルガならきっと!」

「きっとこの"呪い"を断ち切る事だって出来るよ!」


ヴィルガ「ふん、そうだな」

(俺は1人じゃない...)

(今は心強い仲間がいる)

(そうだよな。レリオット...)

「ところでスウィッ--」


スウィット「あー!」

「もうこんな時間だ!」

「ごめん!ヴィルガ僕もう行くね」

「まだまだやる事が山積みでね」

ガラガラ[扉を開ける音]

「また落ち着いたら会いに行くよ!」

「ちゃんと安静にしててよ?」

「じゃあね!」

ガラガラ[扉を閉める音]


ヴィルガ「あ、ああ」

「これじゃどっちが忙しい人なのか分からないな」


喫煙所


ヴィルガ「ふぅ...」[煙を吐く]


???「怪我人がタバコ吸っていいのかしら?」


ヴィルガ「!?」

「お前は...エア」


エア「久しぶりね」


ヴィルガ「ああ、久しぶりだな」

「そっちはどうだ?上手くやってるか?」


エア「上手くやってるわよ」

「お陰様でね」


ヴィルガ「そうかそれは良かった」

「・・・」


エア「何?緊張してるの?」


ヴィルガ「まあな、君があまりにも綺麗でな」

「緊張しているかもしれない」


エア「ふっ、冗談よ」

「ねぇ」

「あの"言葉"覚えてる?」


ヴィルガ「!?」

ゴホゴホ[咳き込む]


エア「どうしたの?」


ヴィルガ「いや、何でもない」

「ただ昔のことを思い出しただけだ」


エア「なるほどね」

「ま、あなたの過去で何があったかは聞かないでおくわ」

「いずれあなたが話したくなった時に聞いてあげるわ」


ヴィルガ「すまない。助かる」


エア「・・・」

「それで覚えてる?あなたが私に言ったこと」


ヴィルガ「ああ」

「自分が思った"正しい道"を選択しろ。だろ?」

「覚えてるさ」


エア「そう、あなたのその言葉に私は救われたの」


ヴィルガ「ふん、俺はそんな大層な事は言っていない」

「それじゃ、俺はそろそろ戻ーー」


エア「待って!」

「まだ、あなたに伝えたい事があるの!」


ヴィルガ「なんだ?」


エア「弟をシャハトを助けてくれてありがとう」

「本当にあなたには感謝してもしきれないわ」

「シャハトの事なんだけど、もう大丈夫よ」

「あなた達の医療班が的確に処置してくれたの」

「ヘレン?さんだっけ?」

「あの人は凄いわ」

「シャハトの状態がみるみる良くなっていったの」


ヴィルガ「そうか、ヘレンも喜ぶだろう」

「それじゃあな」

「うぐっ!?」


エア「!?」

「ちょっと!どうしたの!?」


ヴィルガ「なーんてな」


エア「!!」

「ヴィルガ!...あなたねぇ」


ジャック「ジャックだ」


エア「?」


ジャック「俺の名前だ」

「本当のな」


エア「あっそ」

「じゃあね」

「ジャック」


ジャック「ああ」

「また何処かでな」


ホワイトハウス 大統領執務室前


ジャック「大佐」[小声]

「少々キツイんだが…」[小声]


大佐「仕方ないだろ!」[小声]

「君が軍服を忘れてくるからだ!」[小声]

「全く呆れた男だよ...」[小声]

「愛国心というものは無いのかね!」[小声]

「はぁ…これが世界の英雄とはな」[小声]


SP「そこ!何を喋っている!」


大佐「すいません」

「少し隣のやつが緊張していたもので」


ジャック「大佐お喋りは良くないな」[小声]

「大事な式を前に」[小声]


大佐「誰のせいだと思ってるんだ!」[小声]

「全く...」[小声]

「もうすぐ始まるぞ」


ジャック「そうだな」


大佐「おめでとう。ジャック」

「昔から君の面倒を見てきたが本当に大した功績を残してくれた」

「君は国(大統領)から認められた英雄になったんだ」

「胸を張って行ってくるといい」


ジャック「ああ」


ガチャ[扉が開く]


パチパチパチパチ[拍手]

パチパチパチパチ[拍手]


大統領「ジャック・F・エバース」

「会えて嬉しいよ」


ジャック「こちらこそお会いできて嬉しいです」

「クリストフ大統領」


大統領「君の話は聞いているよ」

「この国、いやこの世界を救ってくれて本当にありがとう」


ジャック「いえ、私は当然のことをしたまでです」


大統領「はは、そうかそうか」

「では、早速」

「君にこの勲章を与えようじゃないか」

「これはーー」


ジャック「すみませんクリストフ大統領」


大統領「?」

「どうしたんだね?急に」


ヴィルガ「いえ、私にはそれを与えられる資格はまだありません」


大統領「!?」


ジャック「なぜなら今もこの世界は見えない何かに恐怖させられているのです」

「私は私にしか出来ない責務(任務)がまだ残っています」

「なので、私にはその勲章を与えられるような資格は無いのです」


大統領「なんだそういう事だったのか」

「いや、こちらこそすまないね」

「君の気持ちも知らないで」

「この勲章は君の為に保管しておくよ」


ジャック「すみません。ありがとうございます」


大統領「ふふ、大丈夫だよこれぐらい」

コホン

「これよりジャック・F・エバースの解任式を執り行わせてもらう!」


大佐「!?」


大統領「安心したまえ」[小声]

「これは君にとっての解任式だ」[小声]

「軍を抜けた方が君も色々と動きやすいだろ?」[小声]

「勿論こちらからも支援はさせてくれ」[小声]

「期待しているぞジャック・F・エバース」[小声]


ジャック「クリストフ大統領...!」[小声]

「ありがとうございます」[小声]


大統領「今までこの国の為に忠義を尽くしてくれてありがとう」

「君のような男を手放すのは大変心苦しいが...」

「只今を持ってジャック・F・エバースは除隊することとする」


ジャック「はっ!」敬礼


大統領「これにてジャック・F・エバースの解任式を終了とする!」


大佐「待ってください!クリストフ大統領!」

「どうしてジャックを除隊させるんですか?!」


大統領「これは彼を思っての提案だ」

「分かってくれウィリアム大佐」


大佐「それは...どういうーー」


ジャック「大佐俺の事は気にしないでくれ」

「俺は、俺のやるべき事が沢山残っているんだ」


大佐「!!」

「まさか...」


ヴィルガ「ああ、そうだ」

「大佐の考えている通りだ」


大佐「なんだと!?」


ジャック「俺はこの"呪い(HEX)"を背負った以上終わらせなければならない事が出来たんだ」

「すまない大佐」

「突然で悪いが俺は軍を抜け一人で動くことにした」

「また何処かで会えたらいいな」

その場を去る


大佐「待て!待つんだジャック!」



ホワイトハウス 大統領執務室


とある無線記録


???「はい」

「そうです」

「無事『始祖の知恵』と『Aの遺体』を確保しました」

「しかし、今回の件で我々以外にも『始祖の知恵』を狙う者が出て来るでしょう」

「政府に然り...そうです」

「この『始祖の知恵』には国をいや世界を揺るがすことが出来る機密データが刻まれています」

「あの姉弟達の手によってね」

「よく働いてもらいましたよ」

「まさかあの二人も『コード(役割)』持ちだとは思いもしませんでしたがね」

「ふふ、そうですね」

「今頃政府も怯えているでしょう」

「『始祖の知恵』は今我々の手にあるのですからね」

「大慌てでしょう」

「そしてAの遺体についてなんですが...」

「はい...はい」

「綺麗に保管してあります」

「はい...」

「AのDNAを使うのですね」

「分かりました」

「彼はとても優秀でしたから」

「とてもよいモノが造れるでしょう」

「現にあのアンドロイドたちはそのために造られたのですからね」

「エクスマキナを…」

「はい...はい…」

「それともう1つ報告があります」

「例のFについてです」

「はい...そうです」

「どうやら彼は軍を除隊したようですね」

「今あの姉弟達と共に動いているそうです」

「我々の計画を阻止する気でいるのでしょう...」

「全く無謀な事をしますね彼は」

「その行動でさえ計画の一部に計算されているというのに」

「あまりにも不運な男だ」

「どうしますか?」

「まだ彼を泳がせますか?」

「はい...はい...」

「分かりました」

「また彼の身に変化があるかも知れませんからね」

「全ては私達の『ADAM』の為に」

「はい。次の目標(ターゲット)は...」

「DとEの双子(ツインズ)を狙います」


終わり

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Wisdom Found 岩田珠立 @shriwt

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