第5章

研究所3階 シャハト研究室


スウィットに無線を入れる


ヴィルガ「スウィット」


スウィット「良かった無事着いたんだね」


ヴィルガ「エアはそこに居るか?」


スウィット「いるよ」


エア「ヴィルガ...」

「シャハトから話を聞いたわ」

「失敗...したのね」


ヴィルガ「すまない」

「失敗してしまった」


エア「いいえ、大丈夫よ」

「まだWoFの破壊方法はあるから」


ヴィルガ「!?」

「まだ破壊方法があるのか!」


エア「ええ、そうよ」

「でも、これは少し手荒な方法になってしまうけど...」

「手順を教えるわ」

「まず...」

「WoFを起動させるの」


ヴィルガ「なんだって!?」

「WoFを起動ーー」


エア「話を最後まで聞いてヴィルガ」

「そこで私達がWoFに対してウィルスを流すの」

「私達が流すウィルスにはWoFを半永久的に停止させる事が出来る」

「でも、ウィルスを流し終えるまで時間がかかるの...」


ヴィルガ「なるほど」

「そこで俺が時間を稼ぐって訳か」


エア「そう...なるわね」


ヴィルガ「大丈夫だ」

「何とかしてみせるさ」


エア「!?」

「何を言ってるの!」

「あなただって人間なのよ!」

「いくら自分が特別な存在(HEX)だからと言って」

「あんな核兵器に自分は生き残れると思ってるの!」


ヴィルガ「ああ、勿論だ」

「皮肉だが」

「俺達HEXの抗えない"呪い(HEX)"のおかげでな」

「俺達は簡単には死ねないんだ」

「死ねない運命にあるんだ」


エア「そんな馬鹿げた話」

「信じろっていうの?」


ヴィルガ「・・・」


エア「...本当なの?」


ヴィルガ「そうだ」


エア「じゃあどうやってテスタ・コルポを倒すっていうの?」

「あいつも『HEX(呪い持ち)』なんでしょ?」


ヴィルガ「それは大丈夫だ」

「俺がいる限りな」


エア「どういう事?」


ヴィルガ「俺達HEXっていうのは『HEX(呪い持ち)』同士でようやく殺し合う事が出来るんだ」

「そう呪いを受けているからな」

「 "呪い(HEX)"を以て"呪い(HEX)"を解き放つ」

「振っても振り解けない宿命がな」


エア「信じられないわ...」

「まるで映画やアニメの世界だわ...」


ヴィルガ「無理もない」

「俺も最初は疑ったさ」

「銃に撃たれたとしても俺の体は平然と動く」

「これが俺達に与えられた"呪い(HEX)"なんだ」

「この瞳だってな...」


エア「もう、いいわ」

「ごめんなさい」

「余計な話をしてしまって...」


ヴィルガ「問題ない」

「改めて実感させられただけだ」

「しかし、俺も人間だ」

「大量に出血すれば死ぬ」

「脳や心臓を破壊されたら死ぬ」

「変わらないんだ。普通の人間とな」

「この"呪い(HEX)"のせいで俺達の命を繋げよう(continue)とするんだ」

「全く皮肉なものだよ」


スウィット「ヴィルガちょっといい?」


ヴィルガ「どうした?スウィット」


スウィット「そろそろ本題に入ろうかなってね」


ヴィルガ「ああ、そうだったな」

「エアにすまないと伝えてくれ」

「彼女には少し重すぎたかもしれない」


スウィット「ヴィルガって結構優しいよね」

「面倒見がいいって言うかさ」

「そんな所に姉さんはーー」


エア「シャハト!!」


スウィット「ああ、ごめんごめん」

「ちょっと姉さん!」


ヴィルガ「ふん、仲がいいんだな」


スウィット「今そんな風に見えるかい!?」

「ちょっと!姉さん悪かったって!」


ヴィルガ「・・・」

「で、スウィット」

「その本題っていうのは例の...WoFのあれか?」


スウィット「そうだよ」

「僕の実験ルームのロッカーに装備があるはずだ」

「それを着て欲しいんだ」


ロッカーに歩み寄る

ガチャ[開く音]


ヴィルガ「これか?」


スウィット「そう!それ!」


ヴィルガ「これを着るとどうなるんだ?」


スウィット「とりあえず着てみて」


ヴィルガ「あ、ああ」


スーツ装着


スウィット「着たね」

「首の横にあるタッチパネルを前にスワイプしてみて」


ヴィルガ「こ、こうか?」


キュイーン[起動音]

オールコネクト[アナウンス音声]


ヴィルガ「なんだこれは!」

「体に吸い付く感じ...いや馴染んでいると言った方が良いか」

「まるで元々俺の体の一部だったような感覚だ」


スウィット「これはねヴィルガ」

「リコンスーツといって」

「融和(リコン)を意味してるんだ」

「それを着ると身体に干渉して飛躍的に身体能力が上がるんだ」

「そしてもう1つ」

「その場で匍匐や壁に張り付いてみて」


チューン[色質感のコピー音]


ヴィルガ「迷彩服にもなるのか!」


スウィット「そう!これでステルスミッションがスムーズに進むよ」


ヴィルガ「これはありがたい」


スウィット「あともう1つ」

「そこの横にある大きなロッカーがあるんだけど」

「開けて欲しいんだ」


ヴィルガ「ああ」


ガチャ[ロッカーを開ける音]


ヴィルガ「これは...」


スウィット「今ヴィルガの目の前にあるのは」

「対WoF用武器」

「SHAHALENS-SLAPだ」

「回転式の擲弾銃だよ」

「装弾数は6発」

「弾はそこの箱に入ってるよ」

「これを使ってWoFと戦うんだ」

「WoFの装甲でも少しダメージは入ると思う」

「少しは足止めが出来るはずだよ」


ヴィルガ「なるほど。助かるな」

「これがあればあの兵器を壊す事だって出来そうだな」


スウィット「ごめん。これはあくまで足止め程度にしか使えないんだ」

「弾がもう少しあれば出来たんだけどね」


ヴィルガ「そうなのか...」


スウィット「そんな落ち込まないでよ」


ヴィルガ「いや、落ち込んではないぞ」

「ただ俺の想像していたのとかなり違ってだなーー」


スウィット「それを落ち込んでるって言うんだよ!」


ヴィルガ「ああ、悪かった悪かった」


エアが入る


エア「お気楽な人ね」


ヴィルガ「なんだって?」


スウィット「これに関してはヴィルガが悪いよ」


ヴィルガ「あ、ああ」

「すまない」


スウィット「ん"ん"。とりあえずさっきの研究所倉庫に向かうんだ」

「もしかしたらWoFの最終調整を終えているかもしれない」

「だから急いで!」


ヴィルガ「了解だ」


研究所3階


研究所1階


オブザレヴ「まだ生きていたんですね」

「ジャック・F・エバース様」


ヴィルガ「オブザレヴ」

「何故ここに?」


オブザレヴ「そうですね。何やら強い気配を感じましてね」

「見た所あなたの潜在能力が引き出されているじゃないですか」

「正直驚きを隠しきれませんね」

「以前のあなたとはまるで見違えるように変わった」

「私事ながら少し高揚感を覚えてしまいました」


ヴィルガ「そうか、それは良かったよ」

(スウィットが作ったこのスーツ)

(それ程までに上がるのか)

「なら、俺と勝負してみるか?」

「今の俺なら楽しめるんだろ?」

「食べ頃の食い物は嫌いか?」


オブザレヴ「ふふ、良いでしょう」

「どれ程強くなったか試して見るのも私の務め」

「その挑発乗って差し上げますよ!」


ヴィルガ「そうこなくっちゃな!!」

「リベンジマッチと行こうか!」


オブザレヴ戦 開始

オブザレヴ戦 終了


オブザレヴ「やはり私の期待以上ですね」

「これがあなたが持つ本来の力...」

「もしかしたらあなたこそが本来あるべき器だったのかもしれない」

「"最後の1人(神為者)"として」


ヴィルガ「含みがある言い方だな」

「何か知っているのか?あの計画について」


オブザレヴ「それは"まだ"言えません」

「あなたにはこれから先色々なモノを見てもらうのですから」

「ただ強くなっただけでは誰も喜びません」

「人の上に立つということはそれ相応の能力・人格・経験が必要ですから」

「あなたにはまだそれがない」

「まだ教える義理が無いという事です」


ヴィルガ「なんだと!?」


オブザレヴ「私は"観測者"という"コード(役割)"がありますから」

「ここで私(観測者)とあなた(異端者)が同士討ちしてしまっては計画が失敗してしまう」

「申し訳ありませんがここは退くとします」

「それではまたどこかでお会いしましょう」


ヴィルガ「待て!!」

「どこまであの計画を知っているんだ?!!」


バン![銃声]

銃弾がすり抜ける


ヴィルガ「クソ!また幻覚か!」

「あの計画は終わったはずだ!!」

「答えろ!!」


・・・


ヴィルガ「クソォッ!!!」


大佐から無線が入る


大佐「ヴィルガ!」

「目的を見失うな!」

「今優先するべきはWoFの破壊だ!」


ヴィルガ「大佐すまない」

「取り乱してしまった」

「そうだな。今優先するべきなのはWoFの破壊だ」


大佐「そうだ」

「君が取り乱すのも無理はない」

「君にとって重要な話なのは分かる」

「が、今は世界の命運がかかってるんだ」

「それを忘れないで欲しい」


ヴィルガ「了解だ...大佐」

「作戦に戻る」

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