第30話
どれくらいの日が過ぎ去ったのかは分からない。
でもね、毎日がとても忙しくて楽しくて仕方がないの。片言だった言葉も今は普通に話せるようになった。朝起きたらお祈りをして、朝食を取る。
お昼まで畑の世話して昼食を取って午後はお守り作り。夜は食事とお風呂。毎日欠かさずにお風呂は入っているよ。
畑に出ると、リスやウサギ、猫やたまに犬も遊びに来てくれる。
お守りをある程度数を作って数日に一度、村の神父様に持っていくの。神父様は教会を通してお守りを販売してくれているらしい。持っていく度にまとまったお金を渡してくれるの。そのお金でお肉や布を買う。
月一の行商では香辛料や王都で流行っている服、食べ物や沢山の刺繍糸を持ってきてくれる。目新しい物に心躍ってついつい一杯買ってしまうのは仕方がない。
そしてシェダム先生と手紙のやりとりをしている。私は日々の生活や前聖女様達の知恵で今だ実現出来ていない事を少し書く。
先人の知恵って凄いね。輪作だったり、治水だったり、馬車鉄道だったり。長い戦争で消費するばかりだったけれど、これからは文明も急激に発展していくだろうなぁ。
先生からの手紙には王宮の出来事や私が書いた知識を実現させるために動いている事が書かれていた。今回の手紙には鉛筆が完成したと一緒に同封されていた。
そして不思議な事に私を探し出そうとする人は何処にでもいるようで行商人や手紙の配達人に付いていくらしいけれど、村に辿りつく事ができないのだとか。
村が守られているのはきっと神様のおかげね。
そうそう、今度陛下が退位して皇太子殿下が陛下になるらしい。王妃と五人の側妃を同時に娶るのだとか。凄いね。みんな幸せそうで良かったよ。
私はお茶を飲みながら城の人達を思い浮かべる。
さて、想いに耽るのはさておき、今日は教会にお守りを持っていかないとね。
いつもの何気ない毎日。神父様にお守りを渡して雑談をしていると、
「ミナミ、やっと、やっと君に会う事が出来た」
振り向くと、そこには窶れた彼が立っていた。
【完】
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最後までお読み頂き有難う御座いました⭐︎
このお話はここまでとなります!(`・∀・´)
え!?という終わりですが、この後はご想像にお任せ致します。
孤独な聖女 まるねこ @yukiseri
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