閑話 じぇーど


 ずっと水の中過ごしてた。


 踊って、回って、泳いで遊んでた。


 はじめて、あの子がきた日


 なんてきれいなんだろうとびっくりした。


 青くて、透明で、でも、緑っぽくて。


 ちいさな手足で、なにかをしてるのを見るのはたのしかった。はじめてきた日から、何回も来てくれるのが嬉しかった。


 水をすくいあげた器に果物が浮かべられる。初めて見るものばかりだったけど、これはくれるってことだと思ったから、中身だけ食べちゃった。


 甘くて、時々酸っぱいものとか苦いものもあって。



 それでも初めて食べたから。



 今日も来てくれるかなとウキウキしてた朝、思考に未来がかぶって見えた。



 泣いているあの子。


 血だらけで、あの綺麗な色が濁ってるあの子。


 周りには時々近くを通る大人たち。



 あぁ、あの子が泣くなんて。


 泣くなんて許されない。


 綺麗な綺麗なあの色が濁るのなんて見たくない。



 そうだ、あの子はいつも贈り物をくれる。


 だったら、こっちもあげてもいいと思う。



 キラキラ綺麗な宝石。沢山力がこもってる。きっとあの子を守ってくれるよね。


 不格好だけど、強い石でできてる剣。爪も牙もないあの子の力になれるよね。


 いつも薄着のあの子。丈夫な服があれば転んでも血が出ないし、涙も出ないよね。




「神様なの?」


 かみさま、ってなんだろう。


 何回か会話出来て喜んでた時に不意に聞かれた。申し訳ないけど少しだけあの子の記憶を覗き見た。


 祀られるもの、人を守る?


 なら、かみさまでいたいと思った。かみさまになりたいとおもった。



 えりくときあもどき、大好き。大切。


 だから。



 まもりたい。



 はやくこの村からでないとだけど行ってしまったら寂しい。そう思っていたら、えりくが一緒行けないのか聞いてくれてやっと気づいた。


 石や、剣や、服を作ったように、自分をつくれば一緒にいられる。


 差し出した自分の石をえりくは大切そうに受け取ってくれて、首に提げてくれた。心臓の音が近くなって、うれしい気持ちがつい溢れてしまったみたい。



 でも、話せた。

 名前だって貰えた。



 じぇーどは、じぇーど。



 えりくと、きあもどきのかみさまになりたいの。

 ずっとずっと一緒に居たいの。




 大切だから、そうするって決めたの。





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幼馴染(?)の育成記録 星屑 @hitotuno-hosikuzu

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