太皇太后様の悪役女房は待宵の女軍師《ロリババア》
武田 信頼
プロローグ 革命は常に辺境から始まる
明けて
ふと
「うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しも独りし思へば――なんてね……」
ぼやくように独り言を
「
「
もはや
たわいもないが失礼な発言にふつふつと怒りを煮やしていると、常陸はぺたんと正面に座り、ずいっと
「そんな、
思いがけない
「そ、そうかしら」
柄にもなく素直に照れる
「さすがは天神様のお血筋だけあって、その不思議なお力が大変お
賞賛も
「と、とにかく人様の
いずれにしろ、昨晩は弟の成清から母上がお隠れになられたと
そもそも菅原家は桓武の御代に
しかし、元々の身分が低い。
のちに、三十三年間に渡って育ててきた式部省を
(
祖父の
菅原氏長者は氏族の中で一番位の高い者が任じられる。そこで白羽の矢が立ったのが
更に問題があり、藤原氏や源氏と異なって一度補されると原則として終身その地位を
「
そっと
「そうでした。父・義清――西行法師殿から文を
そう言って
実際、二年前の
面目を
このようなことが続き、慣習や協調を無視した政策を
「……あまり良い内容ではないようね」
「さあ、私には分かりませんが、多分」
「とにかく、母上の
「承りました」
機敏な動きで
「左府様がその様なご無体をッ! 石清水臨時祭は貞観の
「……しかし左府が昨日の
一段と声を張り上げた上臈女房に対し、公達らしい男性の声が弱々しい。
会話は途切れ、弘徽殿の万事を
「小侍従、
「小侍従がお願いとは
「恐れながら……。実は母・
取り
「小侍従はこれへ」
「今、小侍従がいなくなってしまうと困るわ。
「
私も十三日で明けましたらご心配なさらずに戻って参りますわ」
「小侍従が言うのではあれば間違いはないわ。でも今は……どうしたら良いと思う?」
恐る恐る
「
そもそも石清水臨時祭は本祭とは別の恒例行事として行われており、朱雀帝の
昨今、再び坂東が乱れ始めている時節に合わせて今上帝は
儀式の復活には多くの公卿が賛同した。帝だけでなく鳥羽の法皇、そして美福門院までもが病に
いくら太政大臣・三条
(さて、どうしたものか)
頼長は
「少将殿。お聞きかと思うが、皇后は坂東の
「はあ……、いちいちご
しどろもどろの
「
「実は……」
「それを聞いた左府は『孟子
「なんと!」
隣に控える
落ち込んだ
「左府が特にこちらの方々に申し伝えるようにとのお言葉がありまして――」
「なんでしょうか」
「――『
声は震えていた。
衝撃のあまり
「少将殿」
「左府様のお
右近衛権少将・三条
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