第二話 人を相するは古の人有ること無きなり
三条殿は三条帝が譲位後に住まわれた旧三条院であり、寛仁元年<1017>に崩御された後、長年空き家として売りに出されていたのだが、菅原
しかし今や、
「なんで、あんたがここにいるの?」
衣装は春を意識した
「ひどいわ、
「……確かに、さっきまでは春の訪れに心が
不機嫌な
「今の
言外に自分の主人が軽んじられたのでは、と怒りを露わにする
「あなた、
何やら思い出したように
「古今集の仮名序にも『……心に思ふことを見るもの聞くものにつけていひいだせるけり』とあるわ。要は直感と感性。言葉は道具、
「あんたは直感と感性だけで生きてるよね」
あれこれ語り続ける
「ふふふ。そんな大したことでもないわ」
「で、ホントのところは何?」
「左府の件で」
「
「左府が
「よっぽど姉様に
父様は「『論語』ですか。確か『詩三百を
左府の人柄はともかく、お給金だけは良かったのに、と残念がってたわよ」
「ところで姉様。
切り出した
「……まだ、何も頼んでないわよ。来てるのは
「一緒に、
清盛の異母弟であるが従五位下・
「ああ、そうね。私が呼んだんだから。あと、
しみじみと
正殿となる寝殿に近づくにつれ、笛の
「ああ、姉上が
笛の
「確かに侍従の
同じく
「
「はいッ」
明朗で若々しい声を聞きながら、重ね
「
「あら。それでも若虎はいつも来てくれるじゃない」
無愛想に言う
「ま、まあ……
今から数十年前、待賢門院の養父である白河院の
暗転してゆく待賢門院・
一緒に連れ立った
「あなたが立派に成人したら真実を伝えることを私と
数間置いて、最初に
「てっきり姉様が
「悪かったわね。実は汚れてて」
しかし成人した娘がいたことは予想外だったらしい。
「……ということは、
「そうです。
何を今さらとばかりに
「そこで一つ目のお願い。
「
「
しゃあしゃあと言う
「私は姉上の息子になっても構いません。世に名高い『
「だがなァ……お母上の
なんとも複雑な感情を
今の平氏棟梁は
だが平氏一門には叔父にあたる平
平氏にとっても
「いえ、兄上。大丈夫ですよ。母上は姉上の
二人の異母兄、経盛と教盛は温厚な頼盛の物言いに大きく嘆息して黙ってしまった。様々な思いが交錯する中、熙子がちゃっかりと準備を進めていた御膳が女房達によって運ばれる。とうに
「なんにせよ、おめでたい席じゃない。今晩は天神様が大好物だった
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