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概要
絶ちたいご縁、御座いませんか
嘉宮という家がある。
古くから様々なものを絶ってきた。
ひととひとの縁、医者が匙を投げた病、時には命を。
人の縁とは不思議なもので、切っても切っても切れない縁──所謂腐れ縁、鎖縁である──があったり、どんなに繋がっていたいと強請ったところでぷっつん、と音を立てて切れることもある。それはもう箸が落ちるより軽い音である。呆気ない。
嘉宮の、絶つ力をもつ者には、女しかいないと云う。共通している姿は薄い肌と、濡鴉の髪、衣にえがかれる菱に覗き陰細桜の紋だけである。それだけが、嘉宮の家の者であると判ずる材料である。
今、嘉宮の家は風に紛れる噂だけをひとびとの耳に残し、姿を消している。
古くから様々なものを絶ってきた。
ひととひとの縁、医者が匙を投げた病、時には命を。
人の縁とは不思議なもので、切っても切っても切れない縁──所謂腐れ縁、鎖縁である──があったり、どんなに繋がっていたいと強請ったところでぷっつん、と音を立てて切れることもある。それはもう箸が落ちるより軽い音である。呆気ない。
嘉宮の、絶つ力をもつ者には、女しかいないと云う。共通している姿は薄い肌と、濡鴉の髪、衣にえがかれる菱に覗き陰細桜の紋だけである。それだけが、嘉宮の家の者であると判ずる材料である。
今、嘉宮の家は風に紛れる噂だけをひとびとの耳に残し、姿を消している。
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