少年はひたと見据える。人斬りの果ての生と死を。

澄んで硬質。純度の高い魂。
血に塗れて尚、汚れなく美しい。

【なにがし】という曖昧な剣、或いは流派か。
【諱】死後におくられる、或いは生前の名。
それは死の匂いを纏う少年を表すもの。

――今までに叩き殺した蚊の数を覚えているか?

人斬りの少年は無感情に問う。

彼にとって命は決して軽いものではない。
しかし、生と死の狭間で生きる彼にとって、
命を奪うことは息をすることと同義。

時代に取り残されたように生きる少年。
彼の眼差しは気高く尊い。
彼に惹かれて集まる…男、女。
剣を交えてこそ、わかる孤高の魂。

時代物のような凛とした空気感と
命の重み、死の痛みを感じながら、
それでも戦い続ける定めの剣客。
剣の技に魅せられる…そんな作品です。
お勧めします。

その他のおすすめレビュー

瑞崎はるさんの他のおすすめレビュー747