《なにがし》とかや云う剣、ありけり 魔傳流剣風録 

kou

このページは全話のあらすじです。ストーリーと人物確認にお使い下さい。 主な登場人物

 日本人なら誰しもが見た小景がある家。

 孫に請われて祖母は、昔話を語る。

 それは、人々から恐れ忌み嫌われた剣士の物語。

(第1話 語り部)


 男は待っていた剣士である少年との勝負をつけるために。

 やがて、逢魔が時と呼ばれる時間が来る。

 魔物と会う時間に、少年は現れると男との勝負を行い、男を斬る。

(第2話 逢魔が時)


 質屋に、諱隼人という少年が刀を求めて現れる。

 主人の黒井くろい源一郎げんいちろうは、娘の沙耶さなと共に隼人を迎え入れる。

 隼人は、一振の刀を手に言う。

「この刀なら、俺のやり方で、あの男の首を簡単に斬り落とせそうだ」

 と。

(第3話 隼の名を持つ少年)


 刀を手に入れた隼人は、男の殺害を狙っていた。

 場所は、人々の行き交う交差点。

 すれ違う隼人と男。

 その時、幕末に実在した暗殺剣が現代に蘇る。

(第4話 暗殺剣・行逢神)


 世戸大輔は女を引っ掛けていた。

 剣士でありながら麻薬の売人でもある大輔は、少女・風花澄香に挑まれる。

 戦いが終わった時、澄香は《なにがし》の情報を求める。

(第5話 戦場剣術)


 澄香は麻薬の売人であった世戸大輔の報酬を受取る為に、依頼元の剣術道場・鷹村館を訪れていた。

 師範・世戸重郎は、澄香の《なにがし》を討つという決意に難色を示しながらも知りうる限りの情報を提供をし、《闇之太刀》という術名を口にする。

(第6話 鷹村館)


 老人と、志良堂しらどう源郎斎げんろうさいという男がいた。

 二人は、人身売買の供給ルートをさせていた杉浦すぎうら正明まさあきが隼人に殺されたことを話す。

 そして、刺客として《がい》と呼ばれる三人組剣士を放つことを決定する。

(第7話 御老公)


 隼人は学校への通学中に、剣の素振りを行う。

 鍛錬でもあるが、雑念を振り払う目的もあった。

 それから通学に戻る隼人だが、その先に隼人にとって好ましくない女・月宮七海が待っていた。

 (第8話 素振り)


 口入屋は、先日の仕事の感謝を伝えると共に、隼人が斬った相手・杉浦正明が麻薬の売人であると同時に、海外向けに人身売買を行うブローカーでもあったと知らせる。

 だが、その動きが最近無くなっていたと、不審な点を指摘する。

 それと、裏社会で隼人の情報が動いていることを指摘する。

 そこに、《がい》と呼ばれる三人組剣士が現れる。

(第9話 口入屋)


 《がい》と呼ばれる三人組剣士は名乗る。

「数胴」「袖崎」「兜」と。それは、鎧を構成する部位であった。

 林に場所を変えた隼人と《鎧》の3人は、斬り合いを始める。

(第10話 飛刀術)


 高校に登校した隼人だが、遅刻ギリギリであった。

 すぐ後ろで、遅刻をしたクラスメイト高遠たかとう早紀さきが、生徒会副会長・小野おのたかしに叱責を受ける。

 竹刀にる暴行が行われようとしているのを見かねた隼人は、竹刀勝負を挑まれる。

 試合が終わった時、そこに風花澄香の姿があった。

(第11話 少女の殺気)


 昼休み。隼人は竹刀剣術の凄さを思い起こすと共に、刀の手入れを行う。

 そこに高遠たかとう早紀さきが、訪れる。今朝のお礼と、その際に隼人が受けたケガを心配してのことだったが、出血はすでに止まっていた。

 早紀は遅刻の理由と、父親が居ないことを口にする。

 それに対し、隼人も母親が居ないことを口にする。

 理由を早紀が訪ねると、隼人は言う。

 母親を殺したと。

(第12話 片親)


 放課後、早紀は図書室に本の返却行く。

 そこで、先は他校の女子生徒・澄香と遭遇する。

 澄香は早紀に隼人の写真を見せて、居場所を問う。

 早紀は、隼人が居ると思われる、川を口にする。

(第13話 放課後の少女)


 川に隼人の姿は無かった。

 ただ、棒に布を張ったものを見つける。その正体は分からなかったが、濡れていることから、人間が意図的に濡らしたのを知る。

 それが隼人だと悟った澄香は、畑を耕す隼人の姿を見るける。

 刀を抜く澄香だが、隼人は刀を抜かなかった。

(第14話 武と農)


 志良堂しらどう源郎斎げんろうさいは、鬼哭館・師範代・木場きば修司しゅうじと共に、隼人に斬られた《がい》と呼ばれる三人組剣士の二人の死体を検分する。

 一太刀で人を絶命させる隼人の剣の凄まじさを知ると共に、隼人が《なにがし》であることを源郎斎は知る。

(第15話 一太刀)


 隼人は居酒屋・酒乱で酒を口にする。

 水で薄めた酒だが、それでも美味いと感じる。

 そんな中、隼人は澄香のこと思い出す。

(第16話 軒醒め)


 居酒屋・酒乱を出た隼人は、鬼面を被った男達に襲撃を受ける。

 問答も無いままに、隼人は鬼面の集団と斬り合う。

(第17話 鬼面)


 澄香は道場の庭で、畳表を相手に隼人を想定して試斬を行っていた。

 勝負を受けない隼人に対し、澄香は自分のマネージャーである漆原うるしばら夏菜子かなこに相談する。

 そして、夏菜子はある作を思いつく。

(第18話 試斬)


 隼人は昼食を口にしていないことに、クラスメイトの早紀は気がつく。

 それで早紀は隼人の為に弁当を作るが、待ち合わせの時間になっても早紀は現れなかった。

 代わりに弁当を持参した澄香が現れる。

 そして、澄香は席に花が咲くことになると言い、隼人に左封じの手紙をよこす。

(第19話 果たし状)


 隼人は澄香との果たし状を受け、果し合いに臨む。

 澄香は言う。

 アレのありかを吐けと。

 隼人は問う間も無く、刀を抜くしかなかった。

(第20話 化け物)


 隼人と澄香の果し合いの最中、《鎧》の数胴が仲間を引き連れて姿を表す。

 その数、20人。

 突然の乱入に澄香は困惑するが、隼人は数胴との約束の方が先約であることを理由に、澄香との勝負を水入りにする。

 隼人は、数胴率いる20人の剣士を、たった一人で立ち向かう。

(第21話 20人斬り)


 澄香は道場の壁に自分の制服をかけていた。

 そして、果し合いの場で隼人が見せた下段からのスカーフ斬りを再現するが、斬れなかった。

 隼人とのいくつもの実力差を澄香は感じる。

(第22話 落涙)


 隼人は林の奥にある小川に居た。

 そこで早紀と会い、澄香が人質に取った件について謝る。

 だが、澄香は早紀を命の危険に晒すことをしていなかったことを知る。

 そして、澄香が川のほとりにある棒に布を張った物に水をかけたことを知る。

 隼人は恩義ができたと口にし、澄香との一件に関して強い覚悟と決意を決める。

(第23話 イザベラ・バード)


 澄香は、念流の霧生きりゅう志遠しおんを訪ね、勝負を挑む。

 最古の剣術流派・念流。

 澄香は、挑み戦うことで、己の強さを確かめようとした。

 戦いが終わった時、澄香は志遠に隼人を斬る理由を告げる。

(第24話 念流)


 紅羽くれは瑠奈るなは、隼人と待ち合わせていた。

 隼人が買い物に付き合って欲しいという頼みだった。

 行った先は、化粧品売り場。

 隼人は口紅を手にする。

 一方、霧生志遠は出かける支度をしていた。

 《なにがし》の少年に会いに行くために。

(第25話 化粧(けわい)) 


 隼人は牛丼屋に居た。

 そこに、志遠が相席を求める。

 志遠の食事の少なさを隼人は揶揄やゆし、志遠の名を口にする。

「志遠」

 と。

(第26話 食事断ち)


 隼人と志遠の会談は続いていた。

 そこで、隼人は澄香の目的が、親殺しの敵討ちであり、角間道長の娘と知る。

 角間道長は、隼人が果し合いを申し込まれ、逢魔が時に斬った剣士だった。

 志遠は隼人が持つ口紅と香水を見て、立会人になることを申し入れる。

 店を出た二人の前に、澄香が立つ。

(第27話 決意)


 隼人と再戦をする前、澄香は辻立ちをしていた。

 そこで、藤木ふじきとしという剣士と対戦する。

 対戦条件は、澄香が刀を使わないというもの。

 白刃に踏み込んだ時、澄香は殺された両親の姿を見る……。

(第28話 太刀の下こそ地獄なれ)


 隼人と澄香は、立ち合いの準備を進めていた。

 隼人は口に紅を引き、香水を付ける姿を見て、澄香は激怒する。

 澄香は、隼人に父だけでなく母をなぜ斬ったと問う。

 そして、奪われた父の首を口にする澄香。

 だが、それは隼人が預かり知らぬことだった。

 そこに周囲を鬼面の男達が囲む。

(第29話 男時) 


 鬼面の剣士達に囲まれた、隼人、澄香、志遠の3人は、共闘をすることを選ぶ。

 3対40という数だが、隼人は一度に8人を絶命させる。

 隼人は、その8人忠告をしておいた。

 二度と俺の前に姿を見せるなと。

 その約束を違えたことによるものであり、澄香は《なにがし》の異様性を目の当たりにする。

(第30話 介者剣術)


 負傷した澄香を、隼人は介助する。

 生気を取り戻す澄香を志遠に任せる中、黒い道着の男が隼人の前に立ち塞がる。

 存在感から、リーダー格と判断する隼人。

 隼人と鬼面の男との刃が交錯する。

(第31話 剣の鬼)


 傷病の床から澄香は目覚める。

 瑠奈と志遠が澄香の質問に答え、ここが念流道場の離れ屋敷なのを聞く。

 手術を行った志遠は、澄香が一命をとりとめたことを安堵する。

 そこに、隼人が姿を現す。

(第32話 父の刀)


 澄香は刃毀れした刀が研ぎ直されていることに驚く。

 鬼面から斬られた際に、隼人が救ってくれたこと。

 3日の間寝ずの看病をしていたのが、隼人だと聞かさ愕然とする。

 そして、澄香は果し合いの際、隼人が男であるにも関わらず口紅を引いた理由を知る。

(第33話 完璧な心の持ち主)


 澄香は、離れ座敷の庭で素振り稽古をする隼人をみつける。

 様々な気持ちが渦巻く中、澄香は隼人と二人だけで話し合う。

 隼人の言う《恩義》とは何か。

 その中で、隼人は《流れ灌頂》という儀式を口にする。

(第34話 流れ灌頂)


 隼人と志遠は、澄香の回復に安堵する。

 そこで、隼人は鬼面の男達について、考察を交える。

 奴らが何を目的にしているのかを。

 そこに、口入屋・月見七海が姿を見せる。

(第35話 邪魔者)


 七海から、隼人と澄香が狙われたのは、麻薬の売人を斬ったことが切っ掛けと分かる。

 売人達が高額なLSDを使い、女を集め仕事をさせていたことが判明する。

 それは男が逆立ちしてもできない、事だった。

(第36話 金打)


 代理出産が違法に行われている《愛生殖医療医院》を、隼人と七海は訪れる。

 思わぬ一悶着が生じるが、隼人は澄香と共に、カルテ保管庫で代理出産のカルテを調べると全員に不適合とあるだけでなく、精子提供者が同一人物であることが分かる。

(第37話 不適合)


 隼人は、《愛生殖医療医院》で遭遇した老人を思い出せないでいたが、街頭ビジョンのCMより、黒瀧コンツェルン会長・印藤隆元であることを思い出す。

 そして、様々な状況を整理し、隼人は代理出産の目的に至る。

(第38話 目的)


 隼人と澄香は、印藤隆元の目的が自分の骨髄ドナーであることに行き着く。

 そこに、二人を狙う刺客があった。

 追手を撒くつもりだったが、二人は追い込まれる。

 そして、隼人の裏切りと、澄香の裏切りが交錯する。

(第39話 裏切り)


 前回の刺客より『鬼哭館』という名を知った隼人は、月宮七海に調査の依頼をしていた。

 そこから鬼哭館と黒瀧の繋がりを訊く。

(第40話 真刀館)


 澄香は、今まで《なにがし》の隼人と対峙するだけでなく、仲間として戦いながら、《なにがし》が使う《闇之太刀》という異様な剣を恐れていた。

 隼人を知る志遠に、澄香は疑問を口にする。

 《なにがし》《闇之太刀》とは何なのか?

(第41話 闇)


 澄香と志遠の会話は続いていた。

 そして、志遠の口から上州に伝わる幻の秘剣術・魔傅流の歴史が語られる。

 それこそが《なにがし》の歴史であった。

(第42話 魔傅流)


 隼人は敵の本拠地である鬼哭館に乗り込む。

 なぜ鬼哭館が、澄香の父のことを知っていたのかを確認するため。

 そして、澄香の母親が斬られた理由を知るために。

(第43話 斎)


 鬼哭館を出た隼人。

 そこに、鬼哭館師範・志良堂しらどう将冴しょうごが放った刺客が襲いかかる。

(第44話 刺客)


 志遠宅に戻る隼人。

 鬼哭館で得た、澄香の両親の件を話す。

 そして、澄香は単独で動き始める。

(第45話 単独)


 澄香は鬼哭館に乗り込んでいた。

 父の首を取り戻すためだった。

 しかし、首を取り戻した澄香を待っていたのは、鬼哭館の剣士達。

 源郎斎と印藤隆元だった。

(第46話 澄香の戦い)


 澄香を下がらせ、隼人は源郎斎と対決する。

 一進一退の攻防。

 決着がつかないでいたが、そこに銃声が鳴り響く。

(第47話 魔物)


 金を天まで積んでも手に入らないもの。

 それを隼人は持っていた。

 《なにがし》を倒す名誉と、得ることができる《力》を欲する源郎斎は、最後の勝負に出る。

 対する隼人は、刀を鞘に納めた。

(第48話 決着)


 入院をしている隼人の元に、印藤隆元が姿を見せる、

 和解の申し入れであった。

 100億円を提示する隆元。

 隼人は、和解の印として互いの礼を求める。

(第49話 暗殺剣)


 志遠宅を出ていく澄香。

 そんな澄香に、志遠は復讐を思いとどまるように進言する。

 澄香の父の死に関して、志遠は秘されていた事実を口にする。

(第50話 斬られた心)


 隼人は澄香から果たし合いを受け取る。

 一方、志遠は庭先にある月下美人の花が落ちているのを目撃する。

 それは、二人の内、どちらかが果てたことを意味するものだった。

(第51話 落ちた花)


 祖母の語りを孫娘は聞き終わる。

 だが、孫娘は知りたがった。

 隼人と澄香の結末を……。

(第52話 語り終わり)


 隼人と澄香。

 月明かりの下で、二人は会う。

 互いの気持ちを伝え合う。

 そして、二人は刀を抜き、最後の戦いが繰り広げられる。

(第53話・最終話 世界の片隅で)


 登場人物

 いみな隼人はやと

:現代においても刀を持ち続ける高校生。剣士として生きる。《なにがし》と呼ばれる剣の使い手で、《闇之太刀》という剣技がある。

 鍔の無い刀・無鍔刀を使う。

 一尺五寸の雁金斬りができるなど、剣腕を持つ。

 過去に母親を殺したと述懐する。


 風花かざはな澄香すみか

:戸田流の剣士。

 依頼を受けて麻薬の売人をしていた世戸大輔を斬る。

 《なにがし》の情報を求め、隼人を討つために動く。

 隼人に、アレのありかを求める。


 霧生きりゅう志遠しおん

:最古の剣術流派・念流の剣士。

 道場では師範代を務める、美しい男性。 


 月宮つきみや七海ななみ

:黒いチュールワンピースに、黒のブラウスを羽織った女。

 隼人は彼女のことを、口入屋と呼ぶ。


 高遠たかとう早紀さき

:隼人のクラスメイト。遅刻の常習者故に、生徒会副会長・小野崇から叱責を受ける。離婚で父親がおらず、母親、弟、妹と暮らす。

 友人に相川優、小森結衣が居る。


 志良堂しらどう源郎斎げんろうさい

:鬼哭館の館長。鬼面の剣士を抱える。

 御老公・印藤いんどう隆元りゅうげんに従う。


 木場きば修司しゅうじ

:鬼哭館・師範代。源郎斎の右腕的存在。


 御老公・印藤いんどう隆元りゅうげん

:老人。杉浦正明に人身売買の供給をさせていた。

 黒瀧コンツェルン会長。


 《鎧》

:三人組の流れの剣士。志良堂源郎斎より、隼人の刺客として向けられる。

「数胴」「袖崎」「兜」という名前。


 漆原うるしばら夏菜子かなこ

 澄香のマネージャー的存在。


 黒井くろい源一郎げんいちろう

:質屋の主人。隼人に刀を売る。


 黒井くろい沙耶さな

:源一郎の娘。


 世戸せと大輔だいすけ

:鷹村館の師範代。

 剣士でありながら女をターゲットに麻薬の売人を行う。

 澄香のって始末される。


 杉浦すぎうら正明まさあき

:人身売買を行い女の供給を行っていた男。

 隼人に始末される。


 世戸せと重郎しげろう

:剣術道場・鷹村館の師範。

 世戸大輔の父親でもあるが、大輔の殺害を澄香に依頼する。


 高坂たかさか正信まさのぶ

:鷹村館の門下生。

 澄香に世戸大輔の殺害の為に、依頼元として動く。


 小野おのたかし

:隼人が通学する高校の生徒会副会長。

 剣道を行うが、責が強すぎる一面がある。


 男・角間かくま道長みちなが(第2話 逢魔が時に登場)

:隼人と果合を行う。負けることは分かっていたが、それでも隼人に勝負を挑み敗れる。妻:秋香と共に死亡。


 風花かざはな秋香しゅうか

:澄香の母。何者かによって斬殺される。


 藤木ふじきとし

:辻立ちを行っていた澄香と対戦した竹森流の剣士。

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