主人公のサカキは、クララという少女を大切に想っています。なぜ大切なのか。それは小説を読んでいただきたいです。コミカルな物語なのですが、そこには悲しい理由が……。
そしてキャッチコピーにもありますが、たしかに壮大な愛の物語でした。全てクララへの愛で物語は進んでいきます。
サカキが悪の組織を作って世界を征服しようとしている理由は、クララが幼い頃に、ヒーロー番組の悪役が好きだと言ったから。ただそれだけ。ばかばかしい理由ですが、サカキは本気です。
でも正直に言って、サカキは悪役には向かない人。真面目だし、いい人すぎるし、涙脆いから。いいキャラだなと思いました。
それでも、愛するクララの為ならなんでもやっちゃいます。ただ、実際には悪いことはできていません。それに気づいていないところがまたいいんです。
もう笑っている内に、全部読み切ってしまいます。
愛のために生きる男サカキの物語を、ぜひ読んでみてください!
本作、実は、別のおはなしのベースとなっています。
わたしはその、別のおはなしが大好きで、だから、こちらもぜひ知っておきたいという気持ちで読み始めました。
少しずつ、少しずつ読んでいこうと。
試みは失敗しました。
あんまりおもしろくて、最後まで、一息に拝読してしまって。
わかんない。うまく表現することばが見つからない。でも、なんかもう、みんな大好きでたまらないんです。サカキさんも、ラ・ドーンさんもレイナさんも、クララちゃんもヴィグくんも、警察のひとも殺し屋のひとも。
こんなに個性のかたまりみたいな登場人物が、あんなにあちこちで、こんなにたくさんのできごとを経て、それでもちゃんと、おはなしとしてまとまってて。
泣くし、笑うし、ドキドキするし。
もう、なんだか、わからなくなりました。
ずっとこの世界にいたい。
もっともっと、サカキさんたちと、どたばた、わちゃわちゃ、たくさんの風景をみたい。
ふるきよき、ってことば、使っていいのか迷いましたが、やっぱり、そうなんだと思います。
ふるきよき、活劇。
どんな時代にあっても傑作とされるべきおはなし。
愛も、涙も、活劇も、ぜんぶそこにあります。
大好きです。
ありがとうございました。