地下アイドルのコンサートからは「天国が好き」という叫びが聞こえてくる。

作品の舞台は、〝 地下アイドルと未亡人〟という名の歳離れたふたりの女性がたどってゆく『地獄と天国』となります。
都会の片隅にあるライブハウスのさよならコンサートは、観客数なんて関係なく最高の盛り上がりに思えてくる。ポップスからメタルへの音楽の響きや楽しそうに絶叫するカスミンのビジュアルが手に取るように浮んできた。そして、繭子さんが遠い昔に置いてきた青春の日々まで偲ばれます。

きっと、年配の女性が飛ばした紙ひこうきは、今頃、亡き主人がほほえむ天国へと届いていることでしょう。

やっぱり、「好き」という言葉には、この上ない意味と共に、年代を超えた喜びがありそうです。読み終わっても素敵な余韻が漂っています。箸にも棒にも掛からぬレビューで申し訳ございません。

ありがとうございました。

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