主人公の前ではすべてが暴かれる

主人公はそれまで繰り返されてきた幾多の人生で理不尽に虐げられていたことへの反発から、同じ目に遭いたくないと力を得た今回の人生では悪党の道を歩む。けれども、ただ暴虐・悪行を重ねるのではなく、理不尽に対しては「否」を突きつけ、時には力で粉砕する筋の通った悪党である。
この主人公を前にしたとき、多くの登場人物(特に権力を持つ側)は自分の偽善・傲慢・偏見・独善が暴かれ、鋭い選択に立たされることになる。
戦いの場面や主人公がだんだんと強くなるところもさることながら、そうした描写こそがこの物語の何よりの魅力だと思う。