第3話 リターン オブ ザ サン オブ ここが私の魂の場所

「勇者よ。良くぞ参られた」


 私は何をどう応えるべきなのか。私は自身の期待を裏切るのが見えている。その程度だ。選ばれなかった者にすぎない。論理的思考は私をこの理不尽な状況から脱出させることはできない。一体どうしたらいいのか。でも私は直ぐに思い出す。私は決して諦めない。そう諦めのわるい女だ。状況を見極めよう。


 世界の女神に転移させられただけだ。この目の前にいる御伽話の王様のような風体の老人に召喚された覚えはない。


「今、我が国は、滅亡の危機に瀕している」


 老王の長ったらしい話が続いている。今は何も考えないようにしよう。


 だから私は何も言わない。けど表情だけは真剣さを保つべきだろう。私がこの異世界人の戯言に耳を傾けているように振る舞おう。私は聞き役に徹すべきだろう。そして「それはお気の毒です」と応えよう。


 老人の長話が終わり沈黙が場を支配する。老王と側近たちは、私が彼らにとって都合の良い言葉を口にすることを期待しているのだろう。私はただ黙って女神とやらを呪う。心の中で一通り悪態をついた後、私は考え込んでしまった。そもそもAC乗りに一体何ができるのかと、今更ながらの事に気まずさが湧き上がってくる。


 突如として私は雄弁になった。


「王よ。偉大なる王よ。慈悲深き王よ。汝らの祈りは女神が聞き入れた。故に私が王の元に遣わされたのです」


 何かが私の心に触れている!


「この青のマグノリアがッ!」


 それが勇者というもの。特別な力チートというものなのだろうか?


「この国をッ。この世界をッ。黒い鳥の厄災から救ってみせましょう」

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ここ魂ッ! LMDC @LMDC_JP

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