夜景の歓喜 後編

 さぁ、始まりました。

 まずは2人でベンチに座る。


「わ〜。すごくきれい〜」

 女の子が目をキラキラさせて、夜景にとても感動しています。

 ーーめっちゃかわいいですね。


 ここで、「ぼく」がライトアップされた辺りの景色を見ながら言った。


「きれいだね〜」


 出ました! 女の子の言葉の繰り返し。

 ーー今はムードを高めていく作戦ですね。序盤はこうやって、良い雰囲気を作っていくことが大事ですから。

 

 2人とも夜景にうっとりしていますね。

 ーーそうですね。そして、周りには2人以外誰もいませんから、完全に自分たちの世界に入ることができてます。すごくいいですね〜。


 とても良いムードが漂ってます!

 

 ここで、2人の今日のファッションをご紹介しましょう。

 まずは「ぼく」のファッションです。GUで購入した白パンツにネイビーのシャツ。大人っぽい統一感のあるおしゃれなコーデです。そして、女の子は、本人お気に入りのチェックのワンピース!

 ーーかわいいゾ!

 

 おっと、ここで……女の子が、「ぼく」の肩に、頭をもたれたぁぁ!

 ーーかなり積極的ですよ! そして、めっちゃカワイイ!

 これは「ぼく」にとって想定外のプレーです! 少し照れくさくて体温が上がっていっている!


 しかし、ここで浮ついてはいけません。


 出ました! 後ろからそっと肩に回すこの手! 今までドラマや恋愛漫画でしか見たことなかったが、現実世界でやってのけた!


 ーー状況によって、アドリブを加えていく。これは素晴らしい対応力です。


 さぁ、うっとりとした時間が流れる。既に20分経過。

 ーーさっきからたわいない会話が続いていますね。雰囲気は最高潮ですから、そろそろ、良いんじゃないですか!?


 そろそろ決めてほしい「ぼく」!

 

「あのさ」

 ここで切り出したぞ!

 ーー一気にいけ!


「僕、君のことが好き」


 いいぞ! いいぞ! 流れは完璧!


「だから、──付き合ってください」


 どうだ……?



(沈黙)



「……よろしく、お願いします」


 照れながら頷いたぁぁぁぁ!

「ぼく」、前回の悔しさを今日、塗り替えることができましたぁ!


 ーーマジで、ブラボー!!


 これでいいんです!くぅ〜!!

 喜ぶ「ぼく」、抱き合うふたりぃ〜!


 ブラボー!!


 ここまで夜景スポットよりお届けしました!


 ーーマジで!マジで!ブラボー!!(cmへ)

 


 了

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夜景の歓喜 醍醐潤 @Daigozyun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

sorrow

★22 恋愛 完結済 1話