オマケ。なのじゃ。


「ジュン〜日曜日じゃしどっか行かんかの? な〜んもすることないのじゃ」


「う〜ん。でもなぁもう11時も過ぎちまってるし……」


「ジュンが寝坊するからじゃろ!?」


「お前は俺より10分早く起きただけだろ!」


 どうするかなぁ……。


「あ」


「どうしたのじゃ?」


「そういやこの前みんなでたこ焼きしたろ? あん時の粉とタコ焼き機がまだ残ってるな〜と思ってさ」


「なんじゃ。まだ小宮に返しておらんかったのかタコ焼き機」


「わ、忘れてた訳じゃないぞ。返す前に俺達でもう1回やるか?」


「好き♡ ナイスアイデアじゃの♡」


「……」


「何を顔を赤くしておるのじゃ?」


「う、うるさいな……じゃあスーパーまでタコ買いに行ってくるかぁ」


「待つのじゃジュン!」


「ん? 何だよ?」


「せっかくじゃから家にあるモノで闇タコ焼きとはいかんかの?」


「闇タコ焼きぃ?」


「そうじゃ。家にある物から適当に具を入れて何が1番合うかを確かめるのじゃ!」


「……まぁいいぜ。材料費も安く済むしな」


「決まりじゃな。それじゃ、そっち半分がジュン。こちら側はウチが担当するのじゃ。見るんじゃないぞ?」


「わあったよ〜」



◇◇◇


 30分後。



「で、焼けた訳だけど……何でお前のだけそんなぐちゃぐちゃなんだよ?」


「じゃ、じゃって〜。ひっくり返すの難しいんじゃもん。ま、味の方は確かじゃから安心するのじゃ」


「なんか自信満々なのが怖いな……とりあえず俺のから食ってみろよ」


「おぉっ!? さすがジュン! 形は完璧じゃ!」


「ほら、感想頼むぜ」


「お、ウィンナーにチーズ? こっちはベーコンが入っておるの。カマボコも中々じゃ」


「だろ〜? 絶対合うと思ってさ〜」


「じゃが」


「な、何だよ?」


「全て想定できる範囲の味じゃ。美味いのは確定という……の」


「ぐぬぬ。じゃあ、お前のタコ焼き見せてみろよ」


「ふっふっふ。ウチのタコ焼きは3種。まずはこれを食ってみるのじゃ」


 カノガミが指す先には形こそ悪いけど、どれもソースがてりてりと光り、鰹節と青のりが美味そうに振り掛けられていた。


 1つ摘んで口に運んでみる。


「……これは!?」


「どうじゃ!?」


「美味……くはないが不味くもない! でもなんだか口の中がヌルヌルして不快感がある!」


「な、なんじゃとぉ!?」


 カノガミがタコ焼きを口に運ぶ。


「本当じゃ……ソースかける前は納豆がイイ味を出しとったのに……」


「納豆かよ。醤油味ならともかくソースだとよくわかんねぇなぁ」


「それじゃあこれはどうじゃ!」


 カノガミが次のタコ焼きを差し出して来る。それを箸で摘んで口の中へ放り投げた。


「……」


「自信作じゃぞ?」


「これは……からあげ?」


「そうじゃ。中々じゃろ?」


「確かに美味い」


「そうじゃろ〜! 昨日の夕飯の残りを入れたのじゃ。ジュンが作ったからあげなのじゃから美味くて当然じゃ!」


 カノガミが胸を張る。いや、それはお前の手柄なのか?


「最後はコレ! コイツも自信作じゃ!」


 カノガミが最後のタコ焼きを箸で掴んで俺に差し出して来る。「あーん」みたいで恥ずかしかったけど、それを頬張った。


「……」


「どうじゃ!?」


「甘ぁぁぁぁっ!? 何入れたんだよコレ!?」


「何って砕いたカントリーマ○ムじゃが?」


「うえぇぇ……ソースとカントリーマ○ムは合わないだろ!」


「そうかぁ? ウチは結構好きじゃが」


「お前がカントリーマ○ム好きなだけだろぉぉぉぉっ!?」


「でもジュンは全部食べてくれるんじゃろ?」


 カノガミがイタズラっぽく笑う。その顔を見ると、なんだか胸の奥がムズムズする感じがした。



「クソォ!? 食ってやるよぉ!」



 勢いに任せて口に放り込む。ネバネバとジューシーさと甘さが口の中を駆け巡る。



 ……。



「どうだっ!! 全部食ってやったぜ!」



 完食してテーブルに勢いよく皿を置いた。



「おぉ!! 本当に完食するとは♡」



 カノガミは、喜んだと思うと急に顔を近づけて来た。頬に唇の感触が伝って俺の顔が急激に熱くなる。


「ななななな何するんだよ!?」


「ふふ。全部食べてくれたからの〜。タコ焼きのじゃ♡」


 な、なんだよ急にカノガミのヤツ。からかいやがって……。



 ……。



「カノガミ」



「ん? なんじゃ?」



「好きだ」



 油断してるカノガミの、その唇に近付いていく。一瞬だけ、柔らかい感が自分の口先に伝わった。



「なななな!? 何をするのじゃ急に!?」


「お前と一緒だって。タコ焼きのだよ」



「ううぅぅ〜」



「好きだよ。カノガミ」



「う、ウチを殺す気か!」


 カノガミが顔を真っ赤にしてポカポカ殴って来る。その顔がたまらなく可愛いと思って、自然に笑みが溢れた。



 今までは恥ずかしくて受け身だったけど……。


 これからはちゃんと伝えていきたいな。



 俺の好きな人に。



「不意打ちは卑怯じゃろぉぉぉ!!」



「ちょ!? やりすぎっ!? 痛てぇっ! お前も不意打ちして来たじゃねぇか! 痛てててて!? ちょっとカノガミさんやめてぇぇっ!?」


「やめんのじゃあっ!!」


「誰かぁぁぁぁっ!?」



◇◇◇


オマケ。おしまい。

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この超常現象ラブコメのヒロインは誰が何と言おうと超絶有能美女カノガミサマじゃっ!!! 三丈 夕六 @YUMITAKE

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