最終話

「あれ? 誰もいねぇじゃん」


「みんなまだ終わっとらんのかの?」


「にゃ! 誰か来たのかにゃ?」


「「ココ?」」


「十兵衛様を探してるにゃ〜♡」」


「猫田先生だったら直江達とトレーニングするって体育館に行ったぜ」


「にゃ!? ありがとにゃ〜♡」


「行ってしまったのじゃ」



 ……。



「すまん! ちょっと隠れさせてくれ!」


「「犬山?」」


「まーた洋子かの」


「そ、そこの棚にいる事は言わないでくれよ……」


「わあったよ〜」


「ねぇ。犬山君来なかった?」


「あ、方内先輩」


「早いの〜」


「何か言った?」


「な、何でもねぇぜ」


「ふぅん。それで……犬山君が部室に来なかったかしら?」


「いいやぁ。知らんのじゃ」


「そう。ねぇ2人とも、犬山君からキスして来た時の話聞きたい?」


「「うぇっ!?」」


「い、犬山から……?」

「洋子にじゃと……?」


「嘘だっ!? そんなことしてないぞ!!」


「やっぱり隠れていたわね。ほら、校長から依頼来てるんだから行くわよ」


「嫌だあああぁぁぁ!? 2人とも助けてくれ!!」


「すまん犬山……」

「頑張っての……」



 ……。



「オウオウオウ! ソトッち! カノちゃん! 取材だよ!」


「何の取材だよ小宮?」

「メガネをギラつかせとる時は嫌な予感がするの〜」


「なんと! なっつん家の裏の池にはがいるらしいの!!」


「龍?」

「イアク・ザードと違うのかの? この前時間玉預けたじゃろ?」


「違う違う! ニョロニョロの方の龍らしいんだよね〜♪ 干支とかの」


「へ、蛇みたいなヤツかの……うえぇぇ鳥肌が……」


「じゃ、2人とも、取材よろしくぅ♪」


「小宮は行かんのかの?」


「行きたいけど〜学校新聞の発行もしないといけないし〜♪」


「しゃあねぇなぁ」



◇◇◇


「で? 何で私まで……」


「だってみーちゃんは頼りになるじゃろ?」


「仕方無いわね……」


「みーちゃん。無茶したらダメだからね?」


「分かってるわよ舞」


「あれ? 比良坂さんは行かないの?」


「行きたいんだけど……ちょっと用事が……」


「用事ってなんじゃ?」


「舞サーン! 今日は世界史を教えてくれる約束ですわ。情報部室に早く行きますわよ!」

「オシエテ! オシエテ!」


「クシアと約束してたのか」


「同じクラスになったの!」


「舞は優しいの〜」


「舞サンの教え方は丁寧で分かりやすいですわ♡」

「ワカリヤスイ! ワカリヤスイ!」


「舞も遅くならないようにね」


「分かってるよ〜気をつけてねみーちゃん〜」


「比良坂さん嬉しそうだったな」


「友達が増えるのは良いことじゃ」



 ……。



「あ、猫田。今から芦屋の屋敷に行くんだけど……」


「すまんみー殿! 拙者急いでいるゆえ……」


「待つにゃっ!! ココと一緒にお昼寝するにゃ〜」


「来たっ!? 拙者に付き纏うのはやめて欲しいでござる〜!」


「忙しそうじゃの……」



◇◇◇


「あれ? 外輪君。これからどこか行くのかい?」


「あ、蝶野先輩! ちょうど良かった。今から夏樹の家に行くんですけど、一緒に来てくれません?」


「あ〜行きたいのは山々だけど、今日は師匠に新技を教えて貰う約束してるんだ」


「なんじゃあ……」

「蝶野君、修行続けているのね」


「最近の弟子は飲み込みがさらに早くなったのデス」


「レイラさん!? 急に空から降りて来るのはやめて!?」


「飛べたら準もこうすると思いマス」


「無茶苦茶じゃの〜」


「早速修行に行きマスよ♡」

「今日こそ新技で空を飛んで見せます!」


「レイラに抱えられて飛んで行ってしまったのじゃ……」


「どういう修行してるのよ……」



 ……。



「おーい外輪〜」


「夏樹。表の方の秋菜ちゃんも」


「今からちょうどオヌシ達の家に行くところじゃぞ」


「小宮から聞いたぜ〜」

「ちょっとですね……説明しておかないといけないことがありまして」


「何よ説明しておかなきゃいけないことって」


「お兄様とばば様と話してですね、イアク・ザードを裏庭に放っているのです」


「「「えぇっ!?」」」


「イアク・ザードを……?」


「ま〜アイツも色々協力してくれたしな〜」


「本人と約束して、見つかっても問題無い時は外に出しているのです」


「ペットみたいなのじゃ」


「スケールデカい話だなおい」


「たはは……クシアさんとエアリーもいるし、屋敷も一気に賑やかになったぜ〜」


「クシアさんの件は私は許しておりませんよ!」


「そんなこと言うなって〜俺は秋菜が喜んでることも知ってるぜ?」


「ま、まぁ……確かに彼女は色々と実情も知っておりますし、話しやすいですが……」


「何だか、意外に上手くやってるようね」



◇◇◇


 芦屋の屋敷、その裏庭では3つ首竜が横になっていた。


「「「む、小僧とご息女達ではないか」」」


「元気しとったかの?」


「随分リラックスしてるわね」


「「「我らとて普段はこんなものだ」」」


「え、ホントか?」


 外輪は、夏樹達の顔を見る。


「そうだな〜だいたい寝てるか時間玉に戻ってるな」


「私はよくお話ししておりますよ」


「「「お、表の秋菜よ。我らとの話を他の者へ言うのはやめなさい」」」


「あ。」


「ん?」

「あ。ってなんじゃ?」

「あ。って何よ?」


 秋菜の瞳がみるみる鋭くなっていく。


「まぁ、基本彼ノがみがいかに素晴らしいかという話だ」


「「「や、やめろウラ秋菜よ!」」」



「そんなに私に会いたかったのぉ〜?」



 声の方を振り返ると、そこにはノがみがニヤニヤしながら立っていた。


「彼ノがみ!?」

「母上!?」

「お母様!?」

「「「彼ノがみ様!?」」」

「彼ノがみさん!?」

「彼ノがみだと!?」


「そんなに驚かなくてもいいジャーン♡ 私は2003年1月の彼ノがみだよ?」


 彼ノがみはスカートの裾を持ってクルリと1回転した。


「また未来から来たのかよ!?」


 彼ノがみが急に真剣な顔つきになる。


「そうだよ。今日みんなはね〜に遭遇してとんでもない目に遭うから」



「ま、マジかの……」

「そんなに恐ろしい存在なの?」



「龍の方が♡」



「龍の方かよおおおおぉぉぉ!?」

「紛らわしすぎじゃろぉぉぉ!?」


「「「そ、それでなぜ彼ノがみ様が?」」」


「わざわざお母様が来るようなことなの?」


「1月のみんながね、龍が可哀想だから止めてあげてくれって頼んで来たの」


 夏樹とウラ秋菜は困惑したような顔をした。


「そんなことになるんだ……」

「一応我が家では龍神として祀っていたハズだが……」


「ちょ〜っと50年ほど? 祠の掃除して無かったでしょ?」


 彼ノがみが2人の顔を覗き込む。


「え、そうだったの……?」

「確かに、掃除なんて聞いたこと無いな」


「そ。それで怒って暴れちゃうんだよねぇ〜」


 外輪達が顔を見合わせた。


「あ、暴れるんだ……」

「まーた龍退治かの〜」

「めんどくさいわね」


「「「こら! またとは何だ!!」」」


「じゃ、早速池に行こー♡ ……でもその前に」


 彼ノがみが何も無い空間を見上げる。それに釣られて、外輪達もコチラ側を見つめた。


「ジノちゃんもこっちおいで♡ たまには一緒に騒ぐのもいいもんだよ?」


 え? 私?


「なんだよ〜いたのかよジノちゃん」


「いるならいると早く言うのじゃ」


「さっきまでいなかったじゃん。何してたんだよ?」


 ちょっと確かめに行ってた。の世界に。


「外の世界?」

「よく分からないわね」


「ま、いいのじゃ。ジノも早く出ておいで」


 う、うん……今、出て行く。



 何も無い空間から少女が現れる。



 みんなはその少女と一緒に池の方へと歩いて行った。


 ふと、少女が目をやると、カノガミがそれとなく準の手を握り、彼は顔を真っ赤にさせて……でも、その手をしっかりと握り返していた。


 騒がしい声が遠ざかっていく。でも、彼らの先には晴れ渡る空がどこまでも広がっていて……。




 きっと。




 これからも騒がしい日々が続くことを予感させた。




◇◇◇


これで、この物語はおしまい。



 ううん。観測者さんに見せてあげられる私達の世界の話はここまで。



 アイツが言ってた。私達の世界も観測者さん達の世界も繋がってるって……。



 もしかしたら、偶然どこかで出会うこともあるかもね。



 思いもよらない場所で。




 それまで……。




 バイバイ。

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