第8話 新しい鞄 それから

夜会からしばらく後の事だった。


「前の鞄が痛みましたから新しいのを購入してきましたね」

ナジムがふむふむと見ている 旅行用の新しい荷物の山


ちょっとズレた自分の丸眼鏡を直しながら新しい鞄を

じっくりとそれはじっくりと見る。


「まあ、高価だが‥」

「旅先やホテルのロビーで大事な購入者、私たちの客人たちにも会いますからね」


「あの博覧会で賞を取った 迷ったよ 最高な品物ルイ・ヴィトンかエルメスか‥」

「で、こちらの大きなルイ・ヴィトンは小さな箪笥のようです」


「エルメスは元来は数代続く高名な馬の鞍職人ですから 

作りがしっかりしてますね こちらも購入 それも自分用」


「鞍の方も買っておいた」「いいですよ別に」


「‥・・・」「‥・・・」


「他にも沢山買いましたねムッシュ・ジェローム様」

「えええとナジム君」


「それになぜ、新しいドレス一式が 僕用ですか?」


「えええっと」


ジト目で軽くナジムは主人のジェロームを睨む。



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