浜辺と人魚と俺の恋
junhon
第1話 これがほんとのマーメイド!(笑)
その日の早朝、
お供はゴールデンレトリバーのビート、要は犬の散歩である。
リードを持った手にはレジ
「ワン!」
普段めったに
体重四十キロ半ばの大型犬だ。本気を出されれば男の俺でも引き留めるのは難しい。リードをしっかりつかみつつ、俺もビートの後に続いた。
目を細めて先の方を見れば、浜辺になにか大きなものが流れ着いている。流木? ――いや、あれは人じゃないか!?
「マジかよ!?」
俺はビートと
半身を海に
俺は恐る恐るその女性の身体に
そして思わず見入ってしまうほどの美少女だった。年の
「おい! しっかりしろ! おい!」
俺はそう呼びかけながら
とにかく海から引き上げようと彼女の
そこにあったのは青く
「にん……ぎょ……?」
俺は
◆
今、俺の部屋のベッドの上に人魚の少女は
あの後、俺は着ていたパーカーで彼女の下半身を出来るだけ
じっと魚の尾を観察してみても作り物とは思えない。指でつつけば鱗の下にちゃんと肉の
「……うっ」
少女の口から
「……ここ、は?」
「だ、
俺は上から彼女の顔を
「……」
しばし
「ひぃいい! 人間! 食われる!」
「いや! 食わねーよ! ちょっ、落ち着け」
俺はベッドから
「
「え? そうなのか?」
俺は思わず聞き返す。人魚の肉にそんな効能があるなんて初耳だ。
「……ハッ」
少女はしまったとばかりに自分の口を両手で
「えーと……キミは人魚なんだよな? 本物の」
「……そうよ。私は高貴なるブルーマーメイドの一族を束ねる女王の
少女――マリンはふて
「俺は竜児、
俺は彼女を見つけた
「――そう。それならお礼を言わなければならないわね。どうもありがとう」
マリンは
「じゃあ、他の人に見つからないうちに海に帰してやるよ。夜まで待ってもらえるか?」
「いいえ。助けてもらってお礼をしないのはブルーマーメイドの
「出来る事って……その脚でか?」
俺は指で彼女の魚の尾を示す。人魚なんて地上じゃなにも出来ないだろう。
「……ふっ。見てなさい」
マリンは不敵に笑うと瞼を閉じた。なにか集中している様子だ。
すると彼女の尾が
「どうかしら? これなら問題ないでしょう?」
マリンはベッドの上に立ち上がり、下半身を見せつけるのだが俺は
「おまっ、
「なによ? よく見なさいよ」
どうやら人魚には下半身に対する
――ガチャ。
そこへいきなり部屋のドアが開く。顔を
「おい、竜児。さっきから
ただいまの
「……
「
俺はそっとドアを閉めようとする親父にツッコむのだった。
◆
「はぁ……人魚ねぇ……」
俺は親父に事情を説明した。マリンにはもう一度人魚の姿に
「そういうわけでお礼がしたいの。なにか私に出来ることはないかしら?」
マリンには俺のジャージを着せている。あいにく男所帯で女物の服はないのだ。
「となるとアレかな?」
「アレに丁度いいよな」
親父と俺は視線を交わし、ニヤリと笑い合う。
「なら、身体で
俺は満面に笑みを
◆
「――こ、これでいいのかしら?」
「似合ってるよマリンちゃん! サイコー! これがほんとのマー
親父はテンション高く
いまマリンが身に着けているのは、黒のビキニに白い
「うちの酒屋は毎年海岸に海の家を出しているんだ。マリンちゃんにはぜひそこで働いてもらいたい」
数日後の夏休みから海の家がオープン、俺も夏の間はそこで
俺はマリンに接客を教え
――そして夏休みが終われば店じまいだ。美少女マリンのおかげで店の売り上げは例年以上だった。
「世話になったわね」
「こっちこそ、助かったぜ」
マリンを見つけた海岸、その人気の無い岩
そのまま、俺たちはなにも言わずに見つめ合った。
「竜児。私、あなたの事が……」
ふっとマリンが口を開く。
「マリン……」
マリンも同じ気持ちだったのか。一緒に働き
「でも私はブルーマーメイドの姫……帰らなければならないわ」
マリンは悲しげに瞼を
「だから……せめて……」
マリンは俺の胸に身を寄せた。そして
「私、あなたの子供が欲しい」
「マリン……」
ふっ……とうとう俺も大人の階段を上る時が来た様だな。
マリンは
俺はゴクリと
――と、マリンの脚が輝き人魚の姿となった。
え? マリンさん、その状態だと出来なくない?
「う~~~ん」
マリンは何やら力み始める。するとスカートの中からテニスボール大の白い球体がポトポトと
その数五つ――これは、卵!?
「さ、いっぱい
マリンは
……。
……。
……。
「この魚類がぁあああああ!!」
俺は血の
浜辺と人魚と俺の恋 junhon @junhon
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