第7話 夢のそのあと
「カイ君早く」
「マキナさん待ってくださーい」
今日もマキナさんとゴミの収集をしていく。
孵化した魔獣を討伐できたことでオレの試用期間は終わり、晴れて正社員になれた。
魔獣化オオカミの一件以来、あの現場周辺のゴミの出し方は少しだけ良くなった。魔石ゴミを雑に出すとどうなるか、住民の方が意識してくれているだと思う。
魔石をつけたまま剣を不法投棄した犯人は、やっぱりあの勇者だった。
噂によると、勇者免許の取り消しと多額の賠償金、それに再研修という地獄の特訓が行われるらしい。仲間も一緒だとさ。ケケケ。ざまあみろだ。
おっと、いけない。他人の事を笑うだけじゃあマキナさんみたいになれないぞ。気をつけねば。
ホルダおばあちゃん家も、ちゃんとゴミを分別できている。
「おばあちゃん。おれがやるよ」
勇者の付き人だったエメットさんが、ゴミ袋と魔石をちゃんと分別して軒先に出していた。
孫が帰ってきたおばあちゃんは、笑顔が多くなったらしい。魔獣化オオカミに襲われたとき、助けたのはエメットさんなんだけど、そのことはもう覚えていないそうだ。
「ごめんねぇ。すぐ忘れちゃう。覚えられなくて」
エメットさんはおばあちゃんの手をぎゅっと握る。
「大丈夫。おれは覚えているから。おばあちゃんが忘れても、そばにいるから」
オレはおばあちゃん家のゴミ袋を持った。ゴミの中には勇者のパーティを示す腕章が入ってる。
オレは微笑み、ゴミ袋を収集車に入れた。
剣聖のゴミ収集 ああたはじめ @tyomoranma2525
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