『バレンタインに推しが君の為にチョコレートを作ってくれたと思ったらこっちからも渡すので交換チョコになったよ』
バレンタインの放課後、部活終わりの夕方、暗くなった頃。
推しくんと待ち合わせに駐輪場の裏で二人が出会う場面から始まる。
まだ寒い頃なので二人の吐く息が白く空気を濁らせている。
二人は少し俯いたまま、帰り道を進んで行く。
↓以下本文
推し「ごめん、待った? ちょっと部活終わるの遅れちゃって。駐輪場今日込んでてさ……」
いいよ、とあなたは答えるが、お互いにどこか気まずくなって、再び俯いてしまう。
しばらく間を開けた後、推しくんがこちらを向いて、ゆっくりと話し出す。
推し「あ~、その、なんていうか、こういうのって言い出しづらいんですけど……」
推し「その、今日って、そういえば、ヴァレンタイン、だったよね。それで、その、そう。そういうことなんだけど」
しどろもどろになりながら、推しくんは不器用にバッグから何かを取り出す。
推し「まあ、なんだ、ろう。とりあえず、そういうことだから、あはは……不自然かな。でも、受け取って欲しいんだよね」
推し「あんまりこういうの、作ったことないからさ。あ……でも、ちゃんとレシピ見て作ったし、味見も……したし……その……人間が食べられるもの作ったつもりだから……その……」
的を射ない発言にあなたは少し言葉を返す。
すると推しくんは余計に言い淀みながら、照れくさそうに頭を掻いて答える。
推し「い、いや。あの。逆チョコってやつなんですけど。あの……はい。言い訳とか、そういうのは、ないです」
推し「で、その……今度、今度でいいからさ、どっかで、映画とか行きませんか……? 二人で……」
推し「……? あ、忘れ物でもした? 鞄の中何かないの? 取りに戻る? えっと、違う、の?」
あなたはタイミングを失いかけて、急いで鞄からチョコレートを取り出す。
推し「え……? これ、なに?」
推し「チョコレイト? ……あ、ああ。お友達と交換した分のあまり?」
そう言われると、あなたは首を横に振る。
推し「じゃ、じゃあ、これ、僕にくれるための、なの?」
推し「えっと、じゃあ、つまり、これは。あの、ぼくの?」
恥ずかしそうに二人とも頬を赤らめて俯く。
推し「あ、ありがとう……」
推し「そ、その。さっきの質問の返事なんだけど、さ。OKってことで、いい?」
あなたは頷き、それを推しくんが確かめる。
推し「う、うん、じゃあ、また、予定一緒に決めよ。あ、もうここか。君、あっちだよね、僕逆だから、ここまで」
推し「じゃあ、ばいばい。後、チョコ、ありがと。君ので、お母さんから貰った以外だとはじめてだから、今とっても嬉しい」
推し「ね、ねえ。ちょっとだけお願いしてもいい?」
推し「手、握っても、いい?」
ボイス動画用台本 安条序那 @jonathan_jona
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ボイス動画用台本の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます