第76話 闇の塊 上




 鳥居の奥には小さな神社の境内があり、敷地の更に奥には、大きな木製の門があった。門には三本足の烏が掘りつけられている。竹美は山本陸尉から手渡されたメモのスケッチに目を落とす。目の前の家紋と一致していた。

 ──山本さんが言っていたのは、ここか。それにしても山本さん、絵が上手ね。

 と、竹美たけみは神社へと踏み入ってゆき、門の脇にあるチャイムを押してみる。

 暫しの沈黙の後、木製の門が厳かに開かれた。


「自動?」


 驚く竹美の傍らで、インターホンから「大谷竹美さんですね? お待ちしていました。中へどうぞ」と、女性の声がする。竹美はぺこりと一礼して、奥へと進む。

 門の奥には広大な日本庭園が広がっていた。竹美は飛び石に沿って進み、奥の日本家屋へと辿り着く。古い作りではあるが、やけに立派な建物だった。

 ガラリと、引き戸が開く。姿を現したのは、天狗のお面をつけた、男性と思しき人物だった。


「ついて来なさい」


 天狗面の男性に連れられて、竹美は屋敷の廊下を行く。そして奥の座敷に通されると、天狗面の男性は竹美を残し、無言で何処かへと去ってしまった。

 耳が痛くなる程の静寂の中、竹美は次の出来事を待ち続けた。一分、五分、一○分……。だが、どんなに待っても何も起こらない。やがて、竹美の胸に不安が込み上げて来る。

 もしかして揶揄われてるのかな。でも、天狗の人からはここで待てと言われてるし。何か、試されているのだろうか?

 なんて思案していると、やっと奥の襖が開き、異様な老人が姿を現した。老人の白髪は腰まで伸びており、顔には一枚の和紙を張り付けている。和紙には墨汁で、顔を模した絵が描かれていた。像面ぞうめん──というのだろうか? その光景を見て、竹美は、有名なアニメ映画に登場した神様の姿を連想する。古来、日本にそういう文化があったとしても、実際に目の当たりにしてこうして向かい合うと、あまりにも異様だった。それでも竹美は丁寧にお辞儀をして、軽く自己紹介をする。老人は、暫く黙ったまま、竹美を見据えていた。


「訊きたいのは、異界のことについてであるな?」


 ふいに、老人が口を開く。


「はい。それと、私の身体の変化についても。急に能力が消えてしまって、困ってるんです。このままじゃ、カウンセラーシティに行けなくなっちゃうかもしれなくて」

「焦るな。質問は一つずつにせよ」

「あ、はい。すみません。じゃあ、その……私の能力って何なんですか?」


 竹美は老人と言葉を交わし、薄く涙を滲ませる。今にも、不安が溢れて止まらなくなりそうだった。


「そなたは、黄泉竈食よもつへぐいを知っておるか?」

「黄泉津……あ、はい。聞いたことはあります。確か、日本神話にもそんな話がありましたよね」

「ほう。ならば話が早い。神話の時代、かの伊弉諾イザナギノミコトは、死別した伊邪那美イザナミノミコトを追って黄泉の国へと向かった。二人は黄泉で再会を果たすが、伊邪那美命は、既に黄泉の火で煮炊きした食べ物を口にしてしまっていたので、簡単には現世うつしよに帰還することを許されなかった。何故だと思う?」


 竹美は問われ、暫し思考を巡らせる。でも、緊張して中々口を開けずにいた。


「気負わずとも良い。思ったことを言ってみよ」

「その……もしかするとですけど、あの世の食べ物を食べたら、あの世の人と同じ身体になっちゃうのでは。と思います。その、霊体というか心身共に幽霊になってしまったから、生き返れなかったのかな。なんて」

「うむ。まあ、間違ってはおらぬ」

「じゃあ、それって、もしかして私も幽霊になったってことなんでしょうか?」


 竹美の顔に薄く恐れが浮かぶ。だが、老人の息遣いは優しかった。


「正解とも間違いともいえぬ。だが、そなたは異界の生き物の血を口にしたのであろう? 我々の理解では、ナーロッパと呼ばれる異界は、幽界ゆうかいの一つに分類される。つまり、霊界みたいなものだ。幽界には様々あり、民家伝承上の妖精界や精神世界も含まれる。現世うつしよ霊界かくりょとの間に存在し、基本的には生者が渡れぬ世界だ。だが、そこが霊的な場所である、という根本的な要素が同じであれば、本質的には黄泉よもつ竈食へぐいと同じような現象が起きたと考えるべきだ」

「根本的な要素、ですか?」

「左様。幽界とは即ち、だと思われる。ただ、想念とは手で触れられぬ物であるからして、普通なら肉体のまま幽界には入れぬ。そういった意味では、ナーロッパは、かなり特殊な異界といえるな。我々、現世の術者にも幽界の様子を垣間見る者はいるが、それはあくまでも霊視をしているのであって、肉体のまま幽界に異界に渡る訳ではない。それなのにナーロッパ帰還者は肉体のまま幽界へ行き、戻って来た」

「まるで、前例のない何かが起ころうとしているみたい、ですね」

「しかり。そなたに起こっている変化もまた、前例がないものだ。して、そなたは先程、急に異界の能力が消えたと申しておったな」

「はい。午後までに、必ず力を取り戻したいんです。どうにかなりますか?」

「……まあ、試してみるより外にないな」


 老人はそういって、パチリと手を叩く。すると次の瞬間、座敷奥の襖が勢いよく開かれる。


「はいはーい! 呼ばれちゃったねえ。俺ちゃん、術者でナーロッパ帰りのゼアミーちゃんでっす。しくヨロちゃん!」


 姿を現したのは、やけに軽いノリの、若い男だった。恰好こそ水干に烏帽子の陰陽師みたいな装いをしているが、髪は金色でサングラスをかけ、耳にはいくつものピアスを付けている。

 これまでの張り詰めた空気とのあまりの落差に、竹美は面食らって言葉を失ってしまう。そんな竹美を他所に、男は胡坐をかいて、手持ちのポテトチップスをパリパリやる。


「君、大谷おおたに竹美たけみちゃんっていうんだよね? 聴いてるよお。そこの爺さんからは色々と難しい話をされて頭沸騰してるかもしれないけど、なんてことはない。君は、スーパーレアな金眼モンスターをイートしちゃった訳。だから近々、なんかドラゴン的な力に目覚めちゃうかもしれないけど、ノープロブレム。今も身体がナーロッパの周波数に順応しきれていないだけだから、色々な能力が出たり消えたりしてるだけなんだよね!」

「はあ。私、ドラゴンになるんですか?」

「ノン、ノン。まあ、空を飛んだり口から火を出せるようになるかもだけど、見た目は大して変わらないよ。重要なのは〝種族特性〟なんだよね。ナーロッパの伝説によると、ドラゴン系金眼モンスターの種族特性は、限定解除だっていわれてる」

「種族特性? なんですかそれ」

「普通、ナーロッパ能力者はスキルを三つまでしか習得できないんだ。けど、限定解除持ちは、いくつでもスキルを習得できちゃうんだよね。しかも、レベルやパラメータも、限界を超えてパワーアップできる。挙句、モンスターのスキルさえ習得できるみたい。これってマジチートじゃね? 金眼能力者に会えるなんて、俺ちゃんベリーラッキーちゃん」


 竹美は、マシンガントークに圧倒されて仰け反ってしまう。一方、像面の老人は少し呆れた様子で「後は任せたぞ」と言い残し、部屋から出て行ってしまった。

 ゼアミーちゃんとやらは何故か上機嫌で「ポテチ食べる?」と、しつこくお菓子を勧めてくる。その圧に負け、竹美は食べたくもないポテトチップスに渋々手を伸ばす。


「じゃあ、貴方はナーロッパ? って世界からの帰還者なんですか?」

「イエース! ほら、前に新聞にも載ってただろ? 異世界帰りの大人は、政府関係のお役所に引き抜かれることがあるって。まあ、引き抜かれて官僚とか面倒くさいし、俺は異世界に行く前は、元々、神社本庁所属の神職だったから、さっきの爺さんに頼んで神社本庁からスカウトして貰ったんだよね。ヒーハー! そんな訳で、異世界帰りでありながら、愛しい実家で好き勝手出来ちゃってる訳ぇ。俺、マジ天才ちゃんなのよ!」

「はあ。まあ、賢いといえば賢いのかも。じゃなくて! 私の能力、取り戻すのは無理なんでしょうか?」


 竹美はやっと本題へと入る。すると、ゼアミーちゃんは顎に手をやって、まじまじと竹美を観察する。


「ううううん。君がこれまで発現させてた能力が何かはしらないんだけどさ、これっていう、君に適した能力が見つかるまでは、色々なナーロッパ能力が入れ替わり立ち代わり発現しては消えるを繰り返すと思うんだよね。一応、方法があるといえばあるんだけど……痛いよ?」

「え。あるんでんすね。その、痛いって……どれぐらいですか?」

「凄おおおおく、痛いかも。まあ多分、死ぬことはないと思うんだけどね、た、ぶ、ん」


 ゼアミーちゃんの話を聞き、竹美は唾を呑み込んだ。何をされるかは分からないが、兎に角、凄く痛いらしい。でも、能力を取り戻すには……やってみるしかない。


「……お願いします」

「お。そう来なくちゃ! 竹美ちゃん、チャレンジャーちゃんだね!」


 言いながら、ゼアミーちゃんは竹美の背後へと回り込む。そしておもむろに、金色の球体を取り出した。


「目え、閉じて」


 促され、竹美はそっと目を閉じる。すると次の瞬間、竹美は何かに引き寄せられるような感覚に包まれた。

 驚いて目を開ける。すると竹美の足元に、


「え。これ何? どうゆう状況? 私、幽体離脱したんですか?」

「はーい、焦らない焦らない。一次的に、君の魂を化身アバターに映したんだ。足元に転がってるのが君の本当の身体で、今の君は、魔術的に作られた化身の中にいるんだよ」

「あ、はあ。なんとなく分りました。でも、どうして化身なんかに?」

「それについてもこれから説明するから、ちょっと下がってくれる?」

「はい。下がるって……この辺りですか?」

「あ。あと二歩、座敷の真ん中あたりに立って、そう、その辺」


 竹美はゼアミーちゃんに促されて、座敷の真ん中あたりに立ち尽くす。


「で、どうするんですか?」

「むふふ。こうするのさ!」


 ゼアミーちゃんが言った次の瞬間、閃光交じりの白刃が振り抜かれた。

 強い気当たりと疾風。肩口を何かで殴られたような感触──。

 やがて、竹美は、胴体に違和感を覚える。ピッと、肩口に斜めの線が入り、胴体へと延びてゆく。線からは紅い染みが滲み出して、畳へと滴ってゆく。刃物による傷口だった。一拍遅れて上半身が斜めにずれる。竹美は訳も分からず崩れ落ち、苦痛に顔を歪めた。

 竹美の背後で、ゼアミーちゃんが静かに納刀する。刀を何処から出したのか、いつ、背後に回られたのかも、竹美には解らなかった。

 何をされた? まさか切られたの? 痛い。痛い痛い痛い……死んじゃう!

 恐怖と苦痛とが込み上げて、やがて、意識が遠くなる。薄れる視界の中、畳に広がってゆく血液が金色に光り、光粒子フォトンへと変わって消滅していった。


「う、わあああ! 痛い、死んじゃう!」


 竹美は叫びながら身を起こす。すると、先程分かれた筈の胴体がくっついており、傷も消えていた。だが、兎に角何が起こったのか解らなくて、混乱しきっていた。


「はいはーい。落ち着いて」


 と、ゼアミーちゃんが笑顔で手を差し伸べる。掴める筈がなかった。竹美は畳を這うようにゼアミーちゃんから逃げ出して、やがて壁際に追い詰められて涙目でゼアミーちゃんを見上げる。じわりと、透明な液体が畳に広がってゆく。怖すぎて失禁してしまったのである。


「だから落ち着いて。切ったのは化身アバターだから。ほら、本体は無傷だろ? 健康、健康!」

「ひっ! なんで、どうして!」

「なんでと言われても。ちょっと試してみるしかなくて、ね。イエー!」


 と、ゼアミーちゃんはダブルピースサインを繰り出して、次に、何処からか新しいポテトチップスの袋を取り出して「ポテチ食べる?」と、竹美に差し出した。

 刹那──。竹美は腕を振り抜いて、ポテトチップスを払いのける。その瞬間に空気が爆ぜ、ポテトチップスの袋が破裂して四散する。同時に近くの襖が衝撃波で外れ、庭へとすっ飛んでいった。

 竹美がやったことではあるが、本人も驚いて、茫然と自らの掌を見つめて言葉を失ってしまう。


「お。能力ちからが戻ったみたいだね。竹美ちゃん」


 言いながら、ゼアミーちゃんは金縁眼鏡アナライザーを取り出して竹美に装着する。更に、竹美に手鏡を向けて、覗き込めと無言で促した。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 名前 大谷おおたに竹美たけみ 年齢16 レベル3

 職業 特殊兵レンジャー  固有属性 火

 HP 11  MP 13

 筋力  39

 耐久値 11

 早さ  29

 知性  13

 精神  9

 運   13

 魅力  112


 スキル 短刀、短剣、投擲武器使用術 F

 

 ※種族特性 限定解除

 固有種族スキル ドラゴンF【五感上昇、筋力増強、高速移動、ブレス


 魔法 未修得


 備考

 異世界ナーロッパ帰還者ではないにも関わらず、金眼能力者。

 二年前、同時多発人体消失事件により、恋人と離れ離れになる。三か月前、修学旅行の道中でドラゴン乱舞事件に遭遇。その際、誤って金眼の大古竜エンシャント・グレータードラゴンの血を口にしてしまう。これにより金眼能力が発現。現在は固定能力を持たず様々なスキルが発現しては消える、を繰り返す転換期である。固有能力については、竹美本人の魂との相性が良い物が発現した時点で固定される。

 趣味 絵画、イラスト作成。

 ※匂いフェチ。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 鏡に映ったステータスを見て、竹美はなんとなく理解した。つまり、ナーロッパという異世界は、レベルやスキル、パラメーター等が存在するファンタジーRPGのような世界である、と。


「これ……ゲームのパラメータ、みたい」

「イェース。まあ、今の君の能力とパラメーターについては見ての通りだよ。あ、言っとくが、スキルやパラメータは、今後も変わる可能性があるからね。ナーロッパ魔法やスキルの習得については、本来はクエストに参加して、魔導書や指南書をゲットして、それを読むことによって覚えるんだ。だから竹美ちゃんの【短刀、短剣、投擲武器使用術】についてはあくまでも暫定だよ。たった今、生命の危機を感じたことによって一時的に浮上したに過ぎない。本当のスキルやパラメータについては、これから入れ代わり立ち代わり現れて、竹美ちゃんの魂に即した物が現れた時に、徐々に定着してゆくから。そこは勘違いしないように」

「は、はあ……まあ、短剣スキル? については、私的にも使いこなせる気がしないから、それはそれで良いんですけど」

「ふふ。短剣スキルはお気に召さなかったのかな? それにしても竹美ちゃん、一般人なのにレベルが二つも上がってるね。不思議だね、ホワーイ! もしかしてナーロッパのモンスターと戦ったこと、あったりする?」


 ゼアミーちゃんに問われ、竹美は記憶を紐解いた。確かに、以前幸人を探して修学旅行先のホテルを脱走した際に、何度かモンスターと遭遇して戦った。遭遇する度に死にかけもしたが。


「はい。以前、緑色のゴブリン? みたいな生き物と戦いました。でっかい蜘蛛とも」

「ああ、そういうことか! OK、よく分かったよ。君は実質、俺ちゃんと同じナーロッパ能力者だ。これからも戦えば戦う程、レベルとかパラメーターが上昇していくよ。まあ、今は低レベルだから誰にも適わないだろうけど、転校したら頑張って能力を上げるんだね」

「はあ。要は、これからも戦えってことですよね?」

「イエース! そういう訳で、話は終わりかな?」

「あ、はい。色々とありがとう? ございます」

「疑問形なのが気になるが、まあ、良しとしよう。グッドグッド。いきなりのショック療法でびっくりしたかもしれないけど、これあげるから許してよ」


 と、ゼアミーちゃんは水干の懐から五センチぐらいの、ミニチュアの刀を取り出して竹美に渡す。竹美は受け取って、驚嘆の溜息を吐いた。とてもとても精巧なミニチュアだったのだ。しかも先程、ゼアミーちゃんが竹美を切りつけた刀に酷似している。


「抜いてみて」


 言われて刀身を抜き放つ。小さいが、刃も精巧な日本刀そのものだった。


「なんですか、これ?」

「そっか。竹美ちゃんでは魔力が足りないんだな。それ、一応マジックアイテムなんだよね。魔力がある者が手にしたら、大きさをある程度自由に変える能力があるんだけど……ま、仕方ないね。そのうち魔力も増えるだろう。ところで、こっちからも竹美ちゃんに聴きたいことがあるんだよね」


 と、ゼアミーちゃんの顔に真剣な気配が浮かぶ。


「君、何か強い力で守られてるよね? ちょっと常識では考えられないレベルの神聖な加護っていうのかな。心当たり、ある?」


 問われて、竹美は記憶を紐解いてみるのだが……特に思い当たることはなかった。


「ちょっと、わからないです」


 竹美が言うと、ゼアミーちゃんは腕を組み、うううん。と、首を捻る。


「ま、わからないなら仕方がないね。連絡先教えとくから、何か思い出したら、なんでも良いから連絡してよ」

「はあ」

「必ず、だよ。君に手を貸した対価と思って、ね」

「はい。解りました」

「そして、ここからが本題なんだけど……君、俺ちゃんたちと取引してみない?」


 言いながら、ゼアミーちゃんがサングラスを外す。その眼には、竹美と同じ、金色の輝きが宿っていた。


 ★ ★ ★


 話し合いが終わり、竹美は、謎の秘教結社の屋敷を後にした。

 帰り道、空は晴れ渡っていた。三月にしてはやけに日差しが強い。竹美が足早に坂道を下ってゆくと、まだ、山本陸尉が自動車で待っていてくれた。山本陸尉は特に竹美を問い詰めるでもなく、自動車で富士演習場まで送ってくれた。


「あ、お帰りなさい。首尾はどうでした?」


 休憩室で、りんごちゃんが竹美をみつけ、とことこ駆け寄ってきた。


「うん。なんとか能力は取り戻せたよ。ありがとね」


 なんて、竹美は硬い笑顔を浮かべて親指を立てる。りんごちゃんは何かを察したのか、ほんのり微笑を浮かべ、竹美にリンゴ味のキャンディを両手いっぱいにくれた。


「どうぞ。これお気に入りなんです。りんご味なんですよ」

「りんごちゃんだけに?」

「はい。りんごだけに」


 彼女の柔らかな思いやりに絆されて、竹美もいつの間にか、自然な笑顔を浮かべていた。



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サイキック&ウィザーズ ─異世界帰りだらけの教室─ 真田宗治 @bokusatukun

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