迷子の風船 〜約束の地へ浮かべ〜
藍条森也
約束の地へ浮かべ
ああ、ついに自分の前にもやってきてくれた。
迷子の風船。
それは、人生に迷い、悩む人間の前に現れるという。
迷子の風船をその手につかめば、もう迷うことも、悩むこともなくなる。一生、幸福なままに暮らせるという。
目の前を漂う風船に手を伸ばす。
風船はしっかりと手のひらに張りついた。
そのまま風船に連れられて空へ、空へと飛んでいく。
約束された幸福の地を目指して。
そして、いつか――。
自分自身が迷子の風船となって空を漂っていた。
「本日の人間ホイホイ捕獲者数二八九三〇人です」
「うむうむ。良い結果だ。いまや限られた地球の資源では役に立たない人間など養ってはおれんのだ。夢と現実の区別も付かないようなフワフワした人間は、さっさと風船となって消えてもらうに限るからな」
迷子の風船 〜約束の地へ浮かべ〜 藍条森也 @1316826612
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます