刑事になるのは部外者が想像しているよりもはるかに大変だ。番組を見ていると思う。
その選ばれし者たちが、経験、技、最後は体力、全てをかけて目標物を追い詰める。
しかし、対する目標物は歴戦の勇士、百戦錬磨。定年間近のベテラン刑事だ。
果たしてこの大捕物の行方は。
ベテラン刑事が退職まで数刻を残して姿をくらませた。
思いを残して銃を手にするベテラン刑事、刻一刻と迫る退職までのタイムリミット。
おそらくこの刑事に指導鞭撻を受けなかった後輩はいまい。その後輩たちがきっと必死にその教えを思い出しながら足跡を掴もうとする。
あのテレビ番組を彷彿とさせる、いや小説という媒体を通して個人に寄り添えるからこそ越えてくる、ドキドキとスリル。
そして当事者たちにはとても言えないワクワク。
あなたがこのレビューを見て少しでも面白そうと思ったなら、7分だけ、時間をとってほしい。短編はこういうところが素晴らしい。
追われるように3分で一度目を読み、噛み締めてもう一度読んで4分。
あの番組を濃く煮出した奴を、是非味わっていただきたい。