第15話   ラストバトル

限界を超える。


おそらく、いや、絶対にそうしないとこいつには勝てない。


ソラは折れている手で剣を握りしめる。


重力魔法。これがこいつに勝つためのカギだ。


「ガアアアアア」


「身体強化」



自分に減重はかけない。無駄に魔力を消費したくないから。




「ガアアアアア」



「____フッ_____ハッ___」




オーガ自体の攻撃は、一撃一撃が重たいが、予備動作やためが長いため、集中すれば、避けることはさほど難しくない。


しかし、



「ガアアアアア」



「っち、やはり硬い」



問題なのは、オーガが誇るその強度。生半可な攻撃ではびくともしない。ゆえに、こうやって逃げ続けていても、いつかは負ける。



「ガアアアアア」



「なら、やるしかねぇよな」



さっきの一撃よりも、より重い一撃をオーガに与える。


それが最後に残された道。



しかし、それは困難を極める、これ以上の重力の操作には今まで一度も成功したことがない。



失敗すれば重力操作を誤り、自分が死ぬかもしれない。








それがどうした?


どうせやらなければ二人ともこ死ぬのだ。どっちで死のうがどっちも同じ死だ。変わりない。




「それに、誓ったからよ。絶対に勝つって」



ならば、




「____纏い_____



とてつもない重力が空間を軋ませる。




「ガアアアアア…」



オーガは今まで感じたことが無い感情を感じる。




「___重力剣___奥義___」




それすなわち、




「____鬼殺一刀___」




恐怖。





その一刀は鬼を切り裂き、





地面を二つに割った。




その瞬間、少女は目を覚まし、確と捉える。



「___ハァ__ハァ___ハァ___」




己がために限界を超えた、小さな英雄の大きな背中を。













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元お調子者英雄譚 @mashimahibomber

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